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3 はじまりの街1

お待たせしました、本日2話目の投稿となります。

孝がこの世界に来て初めてほかの魔族と出会います。

 俺がこの世界に降り立って4日が経った。

 この4日間、人生で初めての野営──道具の使い方すらわからなかった──をしていたのだが、サクラ様直筆の説明書のおかげでなんとか寝ることには成功した。


 慣れてないからか野営だからか、疲れが少しづつ蓄積はしてるもののなんとか生活はできている、という状態だった。

 サクラ様のおかげで十番ご飯は食べれてるしね。


 そして幸運なことに魔物にも出会わなかったため、移動の間に魔法の試し撃ちをしてみたり〖鑑定〗して使えそうな草を採ったりしていた。

 これまでまとめた魔法スキルの検証結果は下の通り。


 ・〖ドレインタッチ〗は植物には利用出来ない。

 ・〖火魔法〗は森の中で使うと普通に引火するよで要注意。クリエイトファイアーですら火事になりそうになった。

 ・魔法スキルには相性があった。火は風に強く、風は土に強く、土は水に強く、水は火に強い。光と闇は不明。

 ・<4属性魔法>の○○ボールは直径30センチくらいの球状で、大体5メートルくらいまでは普通に飛ばせるがそれ以上になると小さく萎み7メートルくらいで消える。

 ・自分にかけてみたところ〖光魔法〗のフラッシュと〖闇魔法〗のポイズンの効果時間はほらぞれおよそ5秒と20秒。

 ・収納空間の中のものは時間経過しない


 ここまでが素手での検証。

 魔物が出てきていないので検証できてない部分もあるけどそれにしては上出来だと思っていたのだが……。


 その後同じようなの検証を『聖魔の杖』を使ってしたところ、信じられないくらいの結果が出た。

 上の結果と対応させて箇条書きにする。


 ・クリエイトファイアーで木3本が一瞬で炭になって燃え広がりすらしなかった。

 ・クリエイトウォーターで旅館の庭にある池サイズの水たまりができた。

 ・クリエイトウィンドで竜巻が起きた。

 ・クリエイトアースで自分の身長を超えるほどの山ができた。

 ・○○ボールがおよそ直径1.2メートル程になり射程距離に関しては測れなくなった。

 ・フラッシュとポイズンの効果時間がそれぞれおよそ20秒と80秒になった


 最後の2つから効果が4倍ほどになってるだろうから射程距離も多分20メートルほどなんだと思う。

 それにしてもクリエイト○○でさえ攻撃魔法を凌ぐ力を出してしまうとはさすがに思ってなかった。

 そもそも4倍という数字にしても破格以上の何物でもない。

 サクラ様ちょっとやりすぎてないですか……。


 というわけで、俺は杖は強すぎるということで、封印していくことにして〖収納空間〗にぶち込んだ。

 どうしても勝てないような相手に出会わない限りは出さないようにしよう、と心に決めて。


 草は〖鑑定〗して[種類]が薬草、毒草、霊草って書いてあるやつを採っている。

 薬草は言わずもがな、毒草も毒薬に使えるかもしれないと思って確保、霊草は何かはわかんないけど他の草とは何か違うんだろうと思って採っておくことにした。


 どの種類もそこそこの数があるので紹介はとりあえず後回しにする。



 そんなこんながありながら5日目になってようやく建物が見えてきたし、今日は街までなんとかたどり着きたいかな。


 ☆


 太陽の位置的に昼過ぎくらい。

 あと2、3時間で街に着くかなと言うところでちょうどいいところを見つけたので、ちょっと遅めの昼ごはんを食べていた時だった。


 何やら街の方から急いで馬を飛ばしている人──いや骨だねあれは──が何故か俺のところへ一直線で飛んできた。


 そして開口一番

「私リージュからの使いのものでございます。遅れて申し訳ございません!!何卒御寛大なご処置を」

 なんて言ってるんだけど。


「寛大な処置も何もまず状況が一切飲み込めてないんですけど」

「貴方様はリッチーであらせられますよね?」

「あ、はい。リッチーらしいですね」

「であれば何故でございましょう。歓待は普通のことではないので?」

「いや俺まだこの世界に来て、というか生まれて5日目だし、控えめに言ってなんも分からんのですよ」

「なるほど……。リッチーのような高貴なお方がスケルトンごときに敬語などお使い頂かなくて結構でございます。しかしながら歓待せずというのも我々の沽券に関わるのです。誠に身勝手ではございますが、歓待の方受けていただけませんでしょうか」


 まず歓待って何するかわかんないけど。

 なんかペコペコしてるし悪い気はしないからとりあえず受けてみよう。受けないと骨さんも困るみたいだし。


「あ、うん、そう言うなら。それくらいなら大丈夫。むしろ気遣いありがとう」

「あ〜!お褒めに預かり光栄にございます!早速村に帰って準備をさせていただきます!あ、お名前お聞かせいただいてもよろしいでしょうか」

「タカシだけど」

「タカシ様でございますね、ありがとうございます。すぐにお迎えの者が参りますのでしばしお待ち願います」

 と言って一礼してからまた馬を飛ばして帰っていった。


 お待ちも何もまだご飯食べかけだしね。

 とりあえず食べて待とうか。




 30分くらいして3人の骨騎士(勝手に名前つけた)が一頭立てではあるものの馬車とともにこちらへ走ってくるのが見えた。あれがお迎えかな?


 5分後、3人の骨と1人のアンデッドが俺の前に跪いていた。


「お待たせ致しましたタカシ様。私ホーマット伯爵領騎士団リージュ守備隊長を拝命しておりますインキュバスのサトラと申します。私が領主館までお供致します。至らぬ部分もあるかと存じますが何卒お許し願います」


 インキュバスというだけあって、男なのに露出が多いし、なんかこう……エロい。

 他のスケルトンの面々より少しだけ小さいが意外にガッチリしてて男なのに何故かかっこよく見える。


「お迎えありがとう。サトラさん、よろしくね。」

「はっ。どうぞ」


 馬車は小さいが座るところは狭くないし、ふかふかのクッションが敷いてある。十分快適に生活できそうだ。


 ☆


 そう思っていた時期が私にもありました。


 クッションがあるのにめっちゃお尻痛い……。異世界あるあるその1、サスペンションの無い馬車を舐めてました。

 普通に貫通してダメージを与えてくる。


 サスペンションがないだけじゃなくて道が凸凹なせいでより痛い。

 早くつかないかな……。



 仕方ない。サトラさんと話でもしていようか。


「サトラさん、リージュってどんなとこなの?」

「リージュはホーマット伯爵領第二の都市でございます。とはいえ領都とはそれはど規模の差はございませんが」

「へえ。領都じゃないってことは誰か別の人が治めてるってこと?」

「その通りでございます。現在は伯爵のご子息が先代から経営を学びながら治めていらっしゃいます。最近ではもう先代はほぼ隠居状態ではありますが」


 よかった。領主はいないっぽい。

 いたらガチガチに緊張してそれどころじゃなくなりそうだったからね。


 「その息子さんはどんな方なの?」

 「研究や魔道具がお好きでいらっしゃいまして、先代が引退なさってからリージュに来るまでは実験室に籠っていらした時もあったとか」


 魔道具かぁ……。見てみたいね。

 道中の魔物よけとか絶対欲しい。


「そう、わかった。ありがとう。あとは……サトラさんそんな薄着で大丈夫なの?騎士ってもっと重武装してるイメージなんだけど」

「タカシ様のようなリッチー程ではございませぬが、一応インキュバスも種族ランクBの高位魔族の端くれであります故、魔法の心得がございますからご心配はいりません。あ、もうしばらくで到着致しますので御用意等ありましたら今のうちにお願いいたします」

「ありがとう。ごめんね、つまんない話に付き合わせちゃって」

「いえ、なかなかこのような機会もございませんから良い体験となりました。こちらこそありがたく思っております」


 ということは、魔術師も騎士団と同じ枠組みってことなのかな?

 あと種族ランクがC以下だと魔法が使えないっぽいね。全然分からないから参考になる。


「到着致しました。どうぞ、お降り下さい。」


 馬車から降りると、ザ・御屋敷という大きな建物の前で、門から建物の入口に向かって、大勢の人が列をなして道を作っていた。

 そして目の前には、黒髪、大きな八重歯、そしてマントを着た男性が。


「タカシ様、リージュへようこそ。ヴァンパイアで子爵をしております、ネールス=ホーマットでございます。今後ともよろしくお願い致します」

「こちらこそ、急に申し訳ない。リッチーのタカシです、よろしく」

「家督も継いでいない1ヴァンパイアに敬語なぞお使いいただく必要はありません。ささ、パーティの準備が出来ておりますので、中へどうぞ」


 その言葉に促されるように、俺はこの世界にきて初めての建物、初めてのパーティへと向かった。

師匠とミーナはもう少ししたら出てきます。



少しでもいいなと思ってくださったらブックマークして追いかけてくださったら嬉しいです。

また、☆評価、感想、レビューも大変励みになりますので是非よろしくお願いします!


また次回お会い出来ることを願っています!

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