本物の鑑定魔法使いのポーション屋
乗合馬車に乗り込むみます。
ホロ付きの馬車じゃないですよ。
枯草とか山と積んで運ぶイメージの荷馬車?そこに、人や荷物ごちゃごちゃで載せられています。
次の街まで馬車で2時間ほど。
歩けば半日ちょっとで着くらしいんですけど、モンスターが出て危険なため腕っぷしが強い人間じゃないかぎり徒歩移動はしません。
街と街の移動は、冒険者ギルドで冒険者を護衛としてやとうか、こうして護衛付きの乗合馬車を利用するのが普通だそうです(WEB調べ)。
「坊主は一人か?」
馬車には護衛の男が2人、商人の男が2人、商人の手伝いの少年が1人と、女性が1人乗っていました。
「おじさんは、商売ですか?」
商人の一人に話しかけられ、にこやかに答えます。
この世界の情報はどれだけあっても邪魔になることはありません。おしゃべりができるチャンスがあるならば、積極的におしゃべりするのが私流です。
うん、接客業だったから、お手の物ですよ。
鑑定魔法の検索で何でも調べられそうに思いますが、目の前にある物しか鑑定できないのです。
そして、鑑定結果に出た検索窓からしか検索はできません。
ですから、妹がどこにいるのか、妹の名前を検索窓に入れて探すなんて便利な使い方はできないのです。
「ああ、そうだ。どうも、隣の町の近くにあるダンジョンでお宝祭りが始まってるらしい」
「お宝祭り?」
ダンジョンなんて行く気がないからさっぱり分からないです。
「そう。モンスターを倒すと宝箱が出ることが稀にある。稀なはずなんだが、ある時期倒せば倒すほど宝箱が出ることがあるんだ。それがお宝祭り。冒険者たちがこぞってダンジョンに潜るってわけだよ」
へー。
そりゃ、行きますよね。ハズレくじなしのくじ引きみたいなものってことですよね?
ん?あれ?ルクマールさんって冒険者でしたよね?もしかして、あの”またな”って、行先が一緒っていう意味だったのでしょうか?
でもまぁ、私はダンジョンにはいきませんし、もう会うことはないですよね。
「で、、隣町では冒険者が集まってるし、ダンジョンで多少無理をする奴らも増える。ってわけで、ポーションをたんまり仕入れて、あっちで売るってわけよ」
と、馬車にのせられた木箱をぽんぽんと叩いています。3箱あります。
「ポーションですか?見せてもらってもいいですか?」
「おお、いいぞ」
さっそく箱を開けてもらいました。
「【鑑定】」
「お?坊主鑑定もちか?」
「あ、えっと、レベルの低い鑑定魔法しか使えなくて、使っているうちにレベルが上がるって話を聞いたので……」
商人がにっと笑う。
「そうか。努力してるんだな。よし、じゃぁ、鑑定結果を言ってみろ。俺も鑑定もちだからな。合ってるかどうか答え合わせをしてやるよ」
え?
それって、効果大とか、効果小とかそういう答え合わせってことですよね……。
どうしましょう。私の鑑定魔法だと、すんなり効果の大小って出てこないんですよね……。でも、今更できませんなんて言えませんし。
箱の中のポーションの鑑定結果。
【鑑定結果
ポーション(マイク印)
続きはWEBで】
はい、やっぱり何度鑑定しても、私の鑑定魔法だと誰が作ったポーションか分かるだけで、効果大とか、効果中とか分かりません。
検索窓に、ポーション、マイク印と入っていますが、マイクって同姓同名多そうですよね。
何か単語を追加しないと駄目そうです。街の名前、えっと、カバノを追加で検索。
検索結果。
【なかなかいいレシピが作れない。効果中よりいいものが作れない。だけれど、まぁ中レベルのものを安定して作れればそれなりの金になるから、無理をすることもないかな】
という情報を見つけ、口を開きます。