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助けた犬獣人の破棄奴隷は伝説級の元冒険者?~そんなことよりもふもふしてもいいですか?~  作者: 有


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夜に向けて

 銅貨が208枚と小銀貨が36枚。全部で日本円にして約5万8千6百円程度の売り上げだ。

「えっと、ヌルク2匹とクルルの実の買い取りが銀貨1枚と言っていましたよね。そのあとヌルク1匹を追加したので、銀貨1枚と小銀貨5枚いただいてもいいですか?」

 と、小銀貨15枚を抜いて、残りをダタズさんに渡します。

「え?こ、こんなに?いや、もらえないよ。料理の手間賃だけなら、それこそ銀貨1枚分で十分」

 首を横に振る。

「パンのお金、それからタレのお金もありますよね。それから調理器具も提供しています。技術料が銀貨1枚だとしても、原材料費と、機材レンタル費用と、出張費と、いろいろ考えれば、多すぎるとは思いません」

 ダタズさんが口を開く隙も与えずペラペラと話をする。

「レンタル?え?出張?」

 そういう概念はないのでしょうか。

「それから、ダタズさん、お願いしたことはしていただけますか?夜か明日の営業です。えっと、同じ程度には収入が得られるとは思うのですが。割に合わないと思うのであれば断っていただければ構いませんけれど……」

「割りに合わないなんてとんでもない。店で客を待っていることに比べたらすごい売り上げだ。夜も、私でよければモモシシを料理させてもらうよ」

 ほっ。よかった。

「だけど、あまり私ばかりがもらいすぎてしまうと、心苦しい。せめて半分ずつと」

 いいひとすぎますよっ。

「駄目ですよ。仕入れるためのお金もあるんですから。これだけのサイズのモモシシです。タレを作るにはどれくらいの材料費が必要ですか?昼間のことを考えると、パンも多めに用意したほうがいいかもしれません。ほかに、モモシシを使った料理で作れそうなものはありますか?そのために必要な材料を買ってきてください。それから調理器具や必要なら食器類もいるでしょうし、半額券もこれからも使うのであればもう少しちゃんと作ったほうがいいでしょう。メニューを準備したほうがいいかもしれませんね。自立するように加工した板の看板開いたり閉じたり持ち運びも容易な方がいいでしょう。メニューは日によって違ってくるでしょうから、板に直接書かずに紙に書いて貼ったほうがよさそうですね。それから、屋台のお客さんを街にあるダタズさんの店へ誘導するために紹介もどこかにしておくといいかもしれません。ああ、そうだ、通りと番号と店の名前を屋台の店の名前にして……」

 と、ペラペラとまた思いつくことを次々に口にします。

「すまん、坊主。ちょっと、もうちょっとゆっくり話してもらえるか?私は、何をしたらいいのか」

 ちょっと一度にいろいろ言いすぎました。つい、売り上げをあげるためにはどうしたらいいのか、店舗運営について考える癖が出てしまいました。

「夜に営業していただけるということなので、夜のメニューを考えて、材料を仕入れてきてください。それからすぐに仕込みを始めましょう」

「ああ、分かった。モモシシ料理か。まずはタレを作ろう。肉を焼いたものと、パンを仕入れて。そうだな、せっかくだ。モモシシシチューも作るか。煮込んでも柔らかくておいしいんだよ。このクルルの実をすりおろして隠し味に使うとより肉は柔らかくなって、味に深みも出て……おっと。妻に秘伝の味付けをペラペラしゃべるなってまた怒られちまうな……」

 ちょっとダタズさんが悲しそうな顔をする。


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