表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
助けた犬獣人の破棄奴隷は伝説級の元冒険者?~そんなことよりもふもふしてもいいですか?~  作者: 有


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

26/57

◆バーヌサイド◆


 い、生きてる。



 驚いて、上半身を激しく起き上がらせる。

 って、起き上がれる。

 両手を見る。

 手が動かせる。

 目が、見える。

 雑踏の音がうるさい。

 耳が……。

 そっと頭に手を持っていけば、失ったはずの耳がある。

 顔、腕、首……肌がすべすべに戻っている。焼けただれた跡も、切られた傷跡も鞭うたれた跡も、引きちぎられた指さえも元通りだ。

 病で曲がった骨も、折れた骨も……すべて治っている。


 匂いが。

 自分の変化に驚いていると、彼女の匂いが鼻に届く。


 目の前には「少年」の姿をした彼女。

 匂いは大人の女性なのに、不思議と「少年」」の形をしている。

 迷いはなかった。

 奴隷ではなく、僕を人として扱ってくれた彼女だけれど……。

 彼女の奴隷になりたいと、心からそう思った。

 どうせ、奴隷であり続けなければならないなら、ほかの誰でもない、彼女のものになりたい。

 すぐに彼女の前に跪いて、願う。

 

 どうか、僕を、あなたのものにしてください……と。


 彼女からは、驚きと戸惑いの香り。それから……どうしようもなく愛しいという香りもしてきた。


 ああ、彼女に僕は好かれている。


 愛しくて愛しくて仕方がないと、香りは告げているのに、彼女は僕を奴隷にしてくれない。

 否定しても、否定しても、香りは嘘をつけないのに。


 バーヌって呼ぶよと言われた。

 バーヌ……それが僕の新しい名前。

 嬉しい。

 三回回ってワンとは何だろう。

 あなたが望むなら、僕は何だってする。

 

 僕を奴隷にしてくれるならば、何だって。


 僕の願いは、あなたの奴隷になること。

 ああ、願わくば、その愛しいという感情に、少しでも発情の匂いが混ざりますように。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ