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開戦準備

「魔法兵器を起動しろ! 魔法部隊は出撃準備だ! 急げ!」

 エレーナがテキパキと兵士たちに指示をする。城内が慌ただしくなってきた。


「ユーマたちの中で魔法を使えるものはいるか?」

「あ、わたし使えます」

「おれも使えるぜ」

「ではアリスとクラウスはこっちに来てくれ。飛行板の使い方を教える」


 飛行板とは、この大陸では割と普及している魔法道具とのことだった。大陸には様々な魔法道具があり、ここまで乗ってきた魔法列車もその類だ。

 元々は軍用に開発された飛行板だが、今では遊具としても万人に普及して一大ブームを巻き起こしたとか。


「アリスとクラウスには遊撃隊の役を任せたい。ヒュドラおよび周辺の魔族やドラゴンを空中から魔法で攻撃してもらう」

「わ、わかりました」

「そんなに魔力があるわけじゃないんだけどな」


「そしてユーマとフリーダだが」

「はーい」

 やっぱりおれにも役目があるよな。そりゃそうか。


「二人には迎撃部隊に入ってもらう。遊撃部隊が撃ち漏らした敵が街を襲う前に撃破してもらう。主に地上からの敵に対応してもらうことになるだろう」

「よーし、がんばろっ! ユーマ!」

「うす」

「気をつけてくださいね、ユーマ、フリーダ」

「ああ、そっちもな。あんまり無茶はするなよ」

「はい!」

 アリスとクラウスとはここで一旦別行動か。二人とも本当に無茶だけはしないでくれよ……。


「そうだ、ユーマ。お前にこれを渡しておこう」

「……これは?」

「前勇者、リザリオが持っていた短剣だ。まあ『クラウ・ソラス』を持ってるなら必要ないかもしれんが、なんとなくお前に持っていて欲しいんだ。切れ味は保証するぞ」

「わかりました。では貰っておきます」


 ——ん? なんだ?


 悠真がその短剣に触れた瞬間、視界に円形のレーダーみたいなものが浮かんだ。

 ゲーム画面の右上らへんによくある、マップのようなものだった。


「これは……」

 そのマップには光る点が蠢いている。悠真は一番近い一つの点に対して意識を集中してみた。


 名前:エレーナ

 種族:ヒューマン


 視界に情報が浮かんでくる。これは便利だな。


「どうしたのー、ユーマ?」

 傍から見たらまっすぐ前を見てぼーっとしてる悠真の前で、フリーダが顔を覗かせて手を振っていた。


「ああ、この短剣を触った瞬間、急にマップみたいなものが浮かんできて……」

「……どういうことだ?」

「自分でもわからないんですけど、索敵みたいなことだできるようになったっぽいです」

「なに? その短剣にそんな力が……? しかしわたしが触ってもそんなことにはならなかったが……」

 一体どういうことだ?


 悠真は再びマップに目をやる。

 円形のマップはそこまで範囲が広いわけではなさそうだ。せいぜいこの街全体が表示範囲というところだろうか。


「地図アプリみたいに拡大縮小みたいなことができれば……」

 すると地図の縮尺が変化して、さらに広範囲が円形に収まるようになった。

「おお……これは便利だぞ」

 街の北のほうに点が集中してる箇所がある。そこに意識を集中してみると、その点の種族は全て魔族とドラゴンだった。

 そしてその少し後方に一際大きな点……ヒュドラだ。


「……ヒュドラを捕捉しました」

「なに!?」

「どうやら魔族たちがヒュドラをうまく誘導して少しずつ街に近づいてるようです。街に到着まであと二時間ぐらいだと思います……たぶん」

 エレーナの目が見開いていた。

 この能力。前勇者のリザリオも同じような能力を持っていた。リザリオの短剣に触った瞬間にユーマにリザリオと似たような能力が……?

 なんだか出来すぎてる。

 エレーナの頭の中に色々な考えが錯綜したが、今の切羽詰まった状況が考えを整理させてくれなかった。

 ともかくこの能力はこの戦況において重要な能力だ。


「ユーマ、でかしたぞ。ユーマはわたしとともに後方の作戦本部に入ってもらうことにする」

「わ、わかりました」

 作戦本部か。危険は少ないかもしれないが……。


「では各自配置につけ!」

 エレーナの号令でそれぞれが走り出す。

「ユーマ! 頑張ってねー!」

「ああ、フリーダも気をつけろよ」


 悠真はエレーナとともに作戦本部に向かった。

 作戦本部は外壁の上に作られているとのこと。確かに壁の上なら戦況もよく見渡せるだろう。


「遊撃部隊には魔法兵器の射程圏内まで敵を引きつけるよう指示している。魔法兵器と遊撃部隊の魔法である程度数を減らし、迎撃部隊が撃ち漏らした敵を相手にする。ユーマの能力で魔法兵器をより効果的なタイミングで撃つことができるはずだ」

 なるほど。遊撃部隊を援護するようにタイミングを計って撃てればいいんだな。


 悠真は改めてマップを確認する。遊撃部隊は確かにある地点で待機してる。遊撃部隊と思われる点の中にアリスとクラウスを捕捉することができた。

 頼むから死なないでくれよ。


 遊撃部隊と魔族の群はまだ少し離れてる。あと10分ほどで会敵するといったところか。

「そろそろ魔法兵器を撃つ準備をしといたほうがいいですよ」

「よし、魔法兵器起動!」

 エレーナの号令で大砲のような兵器がブウウンと音を立て光り始める。


 いよいよ始まるのか。魔族との戦いが……。

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