(3)
翌朝、僕はいつもの通りに家を出た。
僕がカミラの母親と出会うのは、僕が清香とカミラの存在を知らない世界での自分だった。僕が未来のシナリオを意識して行動パターンを変えてしまうと、カミラの母親と出会わない可能性も出てくる。父親としては娘のためにも母親と出会う義務がある。それにカミラは文句のつけようのない美少女だったので、その母親なら間違いなく美人だろう。つまり僕の運命の人は美人なのだ。この世に美人を嫌いな男はいないし、もちろん僕も美人が好きだ・・・大好きだ・・・とっても・・・うわーい。
と、いうわけで僕はウキウキしながら学校に向かったのだが、そんな僕に変質者の気配がしたのか近づいてくる女性はいなかった。それどころか地下鉄を降りる際に、体がぶつかったOLさんに物凄い目で睨まれた。チカン扱いされなかったのは幸いだったと思う。
こうして普段通りに行動しようと思っていても、逆におかしなテンションになってしまった僕だった。
もちろん登校した後もその影響は強くて『今週、女子大生が教育実習にこないか?』とか『若い女性教師が代休でこないか?』なんて情報を聞いて回ったりもした。しまいには『男子校に潜入した、男装の宇宙人がいるのでわ』なんてトリッキーな設定を求めて校内をうろついたりもした。
もちろんこうした僕の行動は全て徒労に終わった。
「あんまり変なことはしなでよね」
というのは昨日のカミラの言葉だった。
「パパが変な行動をすると、ママが気味悪がって近寄ってこないかもしれないから」
ごもっともな話だった。
それでも僕はヒントが欲しかったので、そこでカミラに訊いてみた。
「僕たちの馴れ初めとか・・・そういうのは知らないのか?」
「聞いても教えてくれないのよねー」
カミラが不満そうに『照れる年でもないだろうにさ』と付け加えた。それを聞いた清香がカミラに言った。
「でも・・・それは・・・知っていても教えない方がいいわよね?」
「まー、そうね」
カミラは納得したように頷くと、やおらソファーから立ち上がった。
「じゃ、清香ちゃん・・・行こっか?」
「行く?」
清香が不思議そうに訊いた。
「・・・どこに?」
その二人の会話を聞いて僕は悟った。
「そうか・・・これで、二人がここにいる理由がなくなったんだな」
清香が過去に戻ってきたのは僕の失踪を未然に防ぐためだった。しかし僕の失踪はカミラの母親が原因なので、カミラの誕生には必要不可欠な事故だった。そしてカミラの誕生を望んでいるのは当のカミラだけではなく、カミラを過去に送り込んだ未来の清香も同じなのだ。
そのことに気づいた清香も独り言のように言った。
「そうか・・・もう私の役目は終わったのね」
「そうそう」
カミラがお気楽な調子で言った。
「だから今日のところはおいとまして、明日から二人でこの時代の観光に行こうよ」
「観光?」
清香が思わず首を捻っていた。
カミラが急かすように清香の腕を引っ張った。
「そう、観光。そのためのお小遣いも清香ちゃんがくれたじゃない」
「未来の私が?」
「あ、そっか・・・こっちの清香ちゃんは知らないよね」
僕を蚊帳の外に置いて盛り上がっている二人だったが、そんな叔母と姪っ子の団らんに僕が口を挟んだ。
「二人ともコッチにきたばかりじゃないのか?」
これから一週間は家に僕一人なのだ。
「そんなに慌てて家を出る必要もないような・・・」」
「だってパパは家でやることがあるでしょ? だから初日はなるべく邪魔しないようにって言われてるのよ」
「それは誰に・・・と、そうか清香がそんなことを言ったのか」
僕が清香の方を見ると、清香は困った顔で横に手を振っていた。ま、たしかに現代の清香に聞いてもわかるはずがない。
「清香ちゃんが言うにはね、パパには身の回りを整理整頓する時間が必要なんだってさ」
「あ・・・そういうことね」
僕より先に清香が言葉の意味を理解した。
「つまり兄さんは一週間後に失踪するのよ? だからその前に部屋の掃除をするとか、自分の部屋に隠し持っている・・・その・・・よからぬ物を処分するとか、そういうことよね」
「・・・僕はよらぬ物なんて何も持っていない」
僕は至って正常な男子高校生なので、健康的な雑誌しか部屋には置いていない。けして人に言えないような趣味嗜好はないので誤解されたくない。
「失踪したパパのベッドの下から強烈なエロ本が発見されたら衝撃的よね」
「・・・僕は普通の本しか持っていないぞ」
それに隠してあるのは本棚の裏だ。
「あまり部屋を綺麗にしすぎるのもやめてね?」
清香は未来の自分が立案者なだけあって、問題の本質をよくわかっているようだ。
「身の周りが整理整頓されすぎてていると、兄さんは計画的に失踪したように思われるのよ?」
「なるほど・・・了解」
僕は清香の言葉を聞きながら、頭の中で処分する本のリストアップを開始していた。善は急げというし、残された自由時間は少ないだろう。
僕にはやるべきことがたくさん残っていた。
けして詳細は語らないが・・。
★
そんな作業を夜遅くまで行っていたせいで、僕は朝からテンションがおかしかったのかもしれない。
午後の授業は睡魔との闘いだったし、それは放課後になっても続いていた。学校を出る頃にはだいぶ頭がぼんやりしていたが、おかげで体の変な力みは消えていた。結果として普段の僕ではありえないくらいリラックスもしていたのが皮肉だった。
僕はそれが幸いしたのだと思う。
「すいません・・・道をお聞きしたいのですが」
その少女は背後から急に現れた。
「・・・はい?」
僕が地下鉄の駅に入ろうとしていた時のことだった。
あ、この人だ・・・と、すぐにわかった。とにかく外見がカミラにそっくりだった。服装は上品そうなロングスカートで髪も背中までのロングだったが、そこにいたのは身長も含めてカミラに生き写しの少女だった。
「あの・・・この辺りに図書館があると聞いたのですが、ご存じでしょうか?」
話し方こそ丁寧だったが声もカミラそのものだった。あまりにもカミラに似ていたので、僕は変装したカミラに騙されているのではないかとさえ思った。
ほんの数秒ほどだったが、僕は彼女に見とれていた。
「あの・・・どうかなさいましたか?」
「な・・・なさってないです」
カミラと同じ外見であっても明らかにカミラより育ちの良さそうな少女が目の前に立っていた。
「えーと・・・この辺りの図書館だと、たしか近くに区立図書館があります・・・」
僕は努めて冷静に図書館までの道のりを説明していた。眠くてぼんやりしている頭が良い感じで僕の緊張感を和らげていた。
「ここから歩いて五分くらいだと思いますよ?」
普段の僕ならこういう対応をするはずだ。しかしスムーズに説明できすぎて逆に気持ち悪いくらいでもある。
「わたし・・・最近こちらに引越してきたばかりで・・・実はあまり道に詳しくなくて」
「・・・・・・」
この場合はどう対応すればいいんだ・・・?
「それに極度の方向音痴なもので・・・地図を読むのも苦手なんです」
「案内・・・しましょうか?」
「まあ・・・本当ですか?」
僕の言葉を聞いて少女の顔がぱっと明るくなった。
「お願いできますでしょうか?」
「はい・・・喜んで」
「ありがとうございます」
そう言って少女は丁寧にお辞儀をした。
これは・・・現実か?
僕はシナリオの決まっているベタな恋愛シミュレーションゲームをしている感覚に陥っていた。普通に生活していたらこんなイベントはまず発生しない。少女と並んで図書館への道を歩きながら、僕はこの状況が不思議でたまらなかった。狐につままれたような気分というのはきっとこういうことをいうのだろう。
とりあえず僕は一般的に思いつくであろう質問を少女にしてみた。
「あの・・・失礼になるかもしれませんが・・・外国の方ですか?」
「はい。カナダから参りました」
「・・・そうでうか」
ま、そういうことしておこう。
そこは地球にやってくる宇宙人なのだから、地球でのプロフィールは必要だろう。
「カナダにも・・・ドッキリ番組ってありますか?」
「は? ・・・はあ・・・わたしは苦手ですけれど、あのような番組は世界中のどこにでもありますよね」
僕は今この瞬間がドッキリのような気がしている。急に美少女に声をかけられたかと思ったら、その美少女と並んで道を歩いている。僕の知っている恋愛ゲームなら、この後でお茶に誘っても断られないだろう。
「あら?」
そう言って少女は急に足を止めた。
「通りの反対側にお洒落なお店がありますね?」
「・・・最近オープンしたばかりの喫茶店ですね」
ここは通学路なので当然僕もその情報は知っている。
「ケーキが美味しいらしいです」
「まあ、そうなんですか? ・・・わたし甘いものに目がないんですよ」
「・・・・・・」
これって新手のハニートラップなのかな?
「あ、そういえば・・・」
そう言って少女はバックの中から一枚の紙を取り出した。
「先ほど配っていたビラをもらいましたけれど・・・これは、もしかしたら・・?」
「・・・うわあ偶然ですねえ・・・それは、あの喫茶店の半額クーポンですよお」
「あら、そうなんですか? ・・・それじゃ、図書館の帰りに寄ってみようかしら?」
「・・・・・・」
ここまでくると本当に何かの罠を仕掛けられそうな気もする。ここで幸せになれる壺を売りつけられたら買ってしまいそうで怖い。しかしこの少女がカミラの母親=未来の僕の奥さん、なのは疑いようがないところだった。たしか、世をしのぶ仮の姿は海外から日本の大学にきた留学生らしいから、僕と同い年くらいに見えても、カミラ同様に僕よりはお姉さんなのだろう・・こういうお姉さんもいいなあ。
僕たちが再び図書館への道を歩き始めたところで、少女が思い出したように言った。
「あ、そういえば自己紹介がまだでしたよね」
なぜ道案内をしただけの男子高校生に自己紹介をするのだろう・・?
「わたしはアミラと申します」
「アミラさん・・・? ・・・カミラの知り合いですか?」
「カミラ?」
「あ、いえ・・・すいません・・・と、遠い親戚にそういう名前の子がいまして」
やばい、やばい・・・あまりにも都合よく話が展開しすぎて頭の中が軽く麻痺してきた。
僕の言葉を聞いたアミラさんは不思議そうに首を傾げたが、カミラの件を僕に聞き返してくることはなかった。
とりあえず僕も自己紹介した方がいいのだろうと思い、横を歩くアミラさんに顔を向けた。
「えーと・・・僕の名前は・・・」
と、僕がそう言いかけたところで、アミラさんが急に足を止めた。
「・・・あら?」
アミラさんはそう言いながら辺りをキョロキョロと見回し始めた。
「そんな・・・わたし以外に・・・誰かしら・・?」
アミラさんは明らかに誰かを探していた。
「アミラさん? ・・・どうかしましたか?」
「あ・・・いえ、その・・・ちょっと・・・知り合いがいたような気がして」
「お友達ですか?」
「いえ・・・大学はこの秋に入学したばかりなので、まだお友達も少ないんです・・・けど」
なるほど海外の新学期は秋だから留学生は大変だな、なんて考えかけた僕だったが、それが宇宙にも当てはまるのかは定かでない。
「アミラさんの・・・外国のお知り合いですか?」
まさかとは思ったが念のために聞いてみた。アミラさん以外にも地球に宇宙人がいるとすれば、その人物が僕の拉致に関係してくる可能性もある。
「いえ・・・そんなことはありえないんです・・・わたし以外は、誰も来ていないはずなんです」
アミラさんは不思議そうにそう言った。
そう言ったアミラさんを見て、僕は驚いていた。
やはりアミラさんは宇宙人だった。
「あ・・・アミラさん?」
僕はアミラさんにどう声をかけるべきか迷っていた。
アミラさんの前髪が立ちあがって、動いていた。
僕はそれを見て咄嗟に猫の髭を連想していた・・・いや、どちらかというと猫の尻尾の方だろうか?
アミラさんの前髪の一部分だけアンテナのように立ち上がり、それが生き物のようにウネウネと動いていた。
「ま、ま、前髪が・・・前髪の一部が・・・風になびいて・・・そ、そよいでいます、よ」
これが僕の精一杯だった。
アミラさんにありのままを伝えるとすれば『前髪の一部分がアンテナのように立ち上がって、それが独立した生き物ように自由自在にに動き回っていますよ』だった。
「・・・えっ!?」
僕の言葉を聞いたアミラさんが慌てて前髪を押さえた。前髪のアンテナはアミラさんの両手の下でくしゃっとなっていた。
「ま・・・街の中は・・・ビル風が強いですよね」
僕はそう言って何も見なかったことにした。
アミラさんの前髪は今は普通の状態に戻っていた。
「髪の毛が長いと・・・手入れも大変なんじゃないですか?」
「そ・・・そうですね」
「あそこの図書館は空調がキツイので・・・エアコンに髪を流されないように気をつけた方がよいかと」
「・・・そうですね」
「じゃあ、先を急ぎましょう」
僕はそう言ってアミラさんを図書館に急かした。
僕には急いでこの場から離れなければならない理由があった。
つい先ほど理由ができた。
僕は見てしまったのだ。
アミラさんの前髪が動いたことには僕も驚いたが、本当の問題はその先にあった。アミラさんの前髪が動いて、おそらく反応したのは喫茶店のある反対側の歩道の先・・・そこにカミラがいた。僕は何食わぬ顔で歩いているカミラと清香の姿を発見していたし、直感的にアミラさんが探しているのはカミラだと気づいた。
僕は未来人あるあるの観点からも、この二人は顔を合わせてはいけない二人だと思う。
「さあ・・・急いで図書館に行きましょう」
「え? ・・・はい・・・えっ? えっ? ・・・ええっ?」
僕に与えられたミッションは、とにかく急いでこの場から離れることだった。
おそらくカミラと清香がここにいたのは偶然ではないだろう。二人は僕の通学路を知っているし、僕がこの時間帯にここを通ることは容易に想像できたはずだ。僕に普段通りの生活をするように念を押したのも、もしかしたらこのためだったのかもしれない。
僕は娘と妹の野次馬根性には少々、呆れていた。
そしてこの時の僕は先を急ぐあまりアミラさんの手を引っぱって歩いていたのだが、残念ながらワクワクもドキドキを感じる余裕はなどなかった・・・ハラハラのドキドキは、あったかもしれない。
★
「ママは戦闘タイプだから、索敵範囲が広いのよね」
カミラが世にも物騒な単語を口にした。
「・・・戦闘タイプ?」
「王族の直系だから能力が高いのよ」
「・・・王族?」
ここにきて新事実が続々と出てきた。
「あれ? あたし言ってなかったっけ?」
「僕はそんな設定は何ひとつ聞いてないぞ?」
「たぶん・・・それは言っては駄目な情報じゃないのかしら?」
うちの家族でもっとも常識のある清香が言った。
「それを聞いても兄さんだって困るでしょ?」
「ん~・・・まあ、ある程度は慣れてきた・・・かな」
昨日の僕だったらドン引きしていたかもしれないが。
先ほどアミラさんを図書館に案内した僕は、そのあとダッシュで二人を追いかけた。そのまま街中をウロウロしていたらアミラさんに見つかる可能性もあった。
その後、二人はすぐに見つかった・・・というか、二人は僕を尾行していたのだ。尾行距離が絶妙だったらしく、アミラさんには気づかれずに済んだようだ。
そして僕らは逃げるように我が家に戻ってきた。
「昔のママって髪が長かったのよね・・・写真でしか知らないから、ちょっと感動した」
「綺麗な人だったわね」
今でも二人はソファーで呑気そうにしているが、もしカミラとアミラさんが出会ったらどうするつもりだったのだろう?
アミラさんの補足情報としては、今のアミラさんは十八歳ということなので、自分より年下の母親を見たいといカミラの気持ちもわからないではない。
「カミラはアミラさんに見つかったら、絶対に駄目なんじゃないのか?」
「うーん、本当はそうなんだろうけどね・・・遠くから眺めるだけなら見つからないと思ったのよ・・・まさかママのレーダー機能に探知されるとは」
「道を挟んで二十メートルくらいは離れていたけど、その前か気づかれていたみたいだぞ?」
「うん。これから気をつけるよ」
昨日から感じていたことではあるが、カミラは未来人あるあるの意識が低いよな気がする。この場合は、宇宙人あるあるも追加されるのだろうか?
「カミラちゃんからアミラさんを発見することはできないの?」
「あたしは身体能力は高いけど、そういう能力系は弱いのよね」
カミラは困ったように言った。
「ママは遠くからでも地球人の中に紛れ込んだ宇宙人を感知できるけど、あたしはよっぽど近づかないと無理」
そして付け加えるように『その代わりに猛禽類並みに目はいいよ』と言った。だから遠くからでもアミラさんを見つける自信があったし、同時にアミラさんに見つからない自信もあったらしい。
「それでも兄さんは、無事にファーストコンタクトに成功したのよね?」
清香の口調は僕を冷やかすものだった。
「・・・まさか兄さんから女性の手を握るとは」
「それは・・・状況判断だよ」
正直、その時のことはよく覚えていないのが実情だ。
「あのままだとカミラが見つかりそうな気がしたんだ・・・とにかく強引にでも図書館に連れていかないと」
頭がぼんやりしている中での咄嗟の行動だったが、あれが普段の僕だったらどういう対応をしていたんだろう。
ここでカミラも野次馬の顔になった。
「・・・で? 次に会う約束なんかはしたの? ・・・どこかでデートとかしないの?」
「そんな余裕なかったよ」
それは君たちのせいなのだが? ・・・と思ったが口にはしなかった。
「・・・順調にいけば、図書館の帰りに二人で喫茶店に行けたかもしれないのに」
「え~? ちょっとお・・・それじゃ駄目じゃないのよ」
カミラが口を尖らせた。
「あたしの運命をどうしてくれるのよ?」
「どうしてくれると言われても・・・まさか運命が変わったら、カミラの体が少しずつ透明になっていったりするのか?」
僕もタイムトラベル物の作品ではそういう設定を見たことがある。しかし清香がすぐに否定した。
「ここにいるカミラちゃんは消えないわよ」
「そうなのか?」
「消えるのは別の時間軸に存在するカミラちゃんであって、つまり兄さんとアミラさんが結婚しない未来での出来事よ」
「じゃあ、ここにいるカミラには影響しないのか?」
「もちろん」
「たとえば僕が死んだとしても、ここにいるカミラにはなんの影響もない、と?」
「そうだけど・・・あんまりそういう例えは使わないで欲しいなあ」
「・・・・・・」
僕は清香の話を聞きながら考えていた。
それなら未来を変えなくてもいいのではないか?
今ここにいるカミラが消えないのなら、カミラはこのまま元の時代に戻って普通に生活すればいいし、清香も元の世界に戻って一年後に帰ってくる僕を待てばいい。
この世界での出来事が二人の未来に影響しないなら、僕は自分の意思で未来を選んでもいいのではないか?
もちろんアミラさんのような美人と仲良くなれるのは嬉しいが、その代償として死にかけたり宇宙に連れていかれたりするのはあまり嬉しくない。どうせなら僕は普通の地球人としてこのまま地球で生活したい。
これは僕のエゴなのだろうか?
僕はそのことを清香に聞いてみようと思った。
家のインターホンが鳴ったのはその時だった。




