(+α)
初代タイムマシンの廃棄処分が決まった。
それを知った清香は『ようやく機会が訪れた』と思った。
清香がそのタイムマシンで過去に戻った時、まだ存在を知らないはずのカミラと出会ったのだった。
しかしどうしてカミラがタイムマシンを使えたのか、ずっと不思議だった。今ではタイムマシンの使用は法律で厳しく制限されているし、清香が最初の実証実験を行った頃とは事情が違っていた。
しかし廃棄処分されたタイムマシンなら管理も甘くなるので、どこかのタイミングでこっそり使用できるかもしれない。
うん・・・きっと成功する。
清香はこの計画が成功することを確信していた。
なぜならそれは、自分の過去で証明済みなのだから。
★
「お疲れ様・・・どう? 大変だった?」
「ん~・・・ま、楽しかった・・・かな?」
「私は途中で帰っっちゃったから、その後のことがわからないのよね・・・兄さんとアミラさんはどうなったの?」
「あのまま地球に残りそうな感じだった、かな? ・・・それより急にあたしの姪っ子が登場しちゃってさー、もう驚いたのなんのって・・・」
「あ、鈴ちゃんね?」
「え? ・・・清香ちゃんは知ってたの? ・・・だったら最初に教えてよお」
「ごめんね・・・あまり情報を教えすぎると、それだけで歴史が歪曲する可能性があったから・・・」
「あ~、もう手遅れかも・・・結局、期限内にはパパは宇宙にいかなかったし、ママもずっと地球で暮らすみたいだし」
「あら・・・そうなると大変ね・・カミラちゃんが生まれて・・は、大丈夫か」
「あたしは生まれてくるんじゃない? ・・・弟たちはどうだか知んないけどさ」
「結局、歴史は変わっちゃったのね・・・」
「悪い歴史なら変わった方がいいのよ・・・なんか、あたしは将来離婚するとか言われて凄いショックだったのよ・・・」
「あら・・・まあ・・・そんなことまで」
「ん? ・・・まさか・・・清香ちゃん、それも知ってたの?」
「・・・・・・」
「ちょっと~、勘弁してよお・・・あたし、それで年下のママに説教されたんだから」
「えっ! ・・・あ、アミラさんに会っちゃったの・・?」
「会った会った・・・というかパパに一杯食わされたのよね~」
「・・・・・・」
「あ・・・それよりも・・・急いでママに言いにいかなきゃ」
「ん? ・・・何を?」
「もちろん決まってるじゃない・・・あたし、もう一人、妹が欲しい! ・・・って」