表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Teens in midnight  作者: あい
4/5

生温い春休み

前述した通り、彼氏とも別れ新しい土地で友達もいなかった私は西くんと春休みの大半を過ごした。彼にとっても4月初めにある18歳の誕生日まで別段やることも無く、都合が良かったのだろう。


一日中シングルベッドの中でレンタルDVDとツマミと酒を貪り、腹が減ればコンビニに行き、また布団に入る。アルコールが入った頭、カーテンを締め切った昼も夜もない薄暗い部屋で、私たちは何日も過ごした。


「ねぇ、あいちゃん、お出かけしよーよ」


西くんがそう言ったのは、私の学校が始まる数日前だった。


私と西くんの、最初で最後のデート。


春の生暖かい風が吹く渋谷で、私たちは自由だった。エイチアンドエムで西くんに入学祝い、とリュックを買ってもらい、薄汚いセンター街をふらつき、激安の焼肉屋に並んで満腹になるまで食べた。


後にも先にも、お互い1ミリの下心も無しで過ごしたデートは、私の人生においてこの1回だけ。


TVでやってる純愛物語も、昼ドラみたいな不倫も、映画化されるような親子愛も、全部嘘っぱちで、この頃の私と西くんの間柄っていうのが本当の純愛ってやつなのではないか、と未だに思う。


あの頃の私達には、利害関係なんてなかった。ただ、寂しければ手を繋いで、楽しければ笑いあっていた。


そして私の大学が始まると同時に、西くんは歌舞伎町へと巣立った。


奇跡みたいな春は、いつでも一瞬。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ