異世界狂想曲
初投稿です。よろしくお願いします。
神聖ラーナ教国、女神ミカを信仰するアケリス大陸最大の宗教国家である。
宗都ラナリアの大神殿には女神ミカの御神体が安置されている。
御神体は、少女の姿をしており、万人が美少女と評するであろう美貌、透き通るような白い肌、銀髪のロングヘア。
寝ているだけにも見えるそれは、生命体として必要な、呼吸や、心拍が無いにもかかわらず、何百年も変わらない姿で大神殿に存在するのである。特定の癖を持つ層から偶像として狂信的に奉られてはいるが、幅広い層に深く信仰される理由は決して御神体の美貌だけが理由ではない。この御神体、数年に一度、動くのである。
「ふあーーー!」
奇妙な掛け声と共に女神は大きく伸びをする。何度も繰り返した降臨。
周りを見渡し、いつもの大聖堂では無いことを確認する。御神体は大聖堂に置いて一般に公開しておくよう言っておいたのだが、どうやら言い付けは守られなかったらしい。
ふと、神官の女性と目が合う。
「め、め、、女神様!おはようございまふ…」
あ…噛んだ。私はいつも通り軽く微笑んで、
「食事をお願い。」と短く告げる。
案内された部屋で食事を取る。教国一の料理に舌鼓を打ちつつ、
「どーしたもんかなぁ」と独り言を言ってみる。一見、豪華に飾り付けられた部屋から感じる魔力は、魔術牢。対象の魔力を使い牢の中に封じる魔法の一種である。
無理矢理通っても女神の精神に害を与える事はできないだろうが、御神体の方は持つまい。
どうせ3日間は居るのだ、今は料理や御菓子を堪能しよう。
食事が一段落した頃、教皇が現れる。
「初めまして、女神ミカ様」
大きくお辞儀をするが、魔術牢の外側に陣取っている。
「教皇よ…言い付けを破り、我の御神体を大聖堂に安置しないばかりか、我を魔術牢に入れるとは大層な歓迎だな。」
「女神ミカ様、お気を悪くしないでください。我々は貴方様に長く滞在していただきたいのです。聖雨を長く頂戴したいのでございます。」悪びれもせず開き直る教皇。
「多すぎる薬は、毒と心得よ。」短く警告する。
「下等な魔物を祓う貴方様の聖雨が毒などと…」
「彼らにも与えられた役割有る。根絶すると思わぬ影響があるかも知れぬぞ?」
警告はしたが、教皇は考えを改める気は無いらしい。
薬が毒になった頃に改めて警告しますかねぇ