君にもう一回、姉貴と呼んで欲しかったんだよ!
はい、ぶっちゃけますと資格の課題から逃避してきた高月怜です。
題名から分かるように私が格闘中の資格は介護の資格になります。現職は違いますが会社の休みの日にコツコツと通っておりますが、私の資格勉強を阻むもの……。それが8月末から元気になってきた私の弟君です。
昼間はあまりスイッチが入らない彼は夜……よく夕方になるとスイッチが入ります。
「ただいま~」
仕事から帰ると夜な夜な彼の他害行為に疲れきった家族と元気な彼に遭遇します。つい先日は帰ってたら弟に愛の歌を捧げていて、家族の安眠のためにお母さんに眠剤を盛られていました。うん……それは君が悪い。いつも顔を見て、声をかけたらスイッチが入る前に彼の部屋の扉を締めます。
さて、こんな彼ですが、3年前までは普通の社会人でした。風邪を引いて、髄膜炎になって髄膜脳炎で入院するなんてその時の私には一切、予想がつかないことでした。
脳の炎症が酷くて、意識がなくなって。それでも生きて欲しくて選択した気管切開で声が聞けなくなって早3年。
それでも私は彼に生きてて欲しかったんだよ!
「姉貴」
病状が急変したその日、北海道に向かった私を呼んだ彼の声が今も私の耳にはこびりついています。だから、私は誰に何と言われても彼の命を誰よりも諦めたくなかった。辛い時期は毎日、返信のない君の携帯にメールもしたよ。まだ読まれてないけどね……。
そこに刻んだ言葉は今も忘れない
もう一度、姉貴と呼んで欲しい
これはそんな彼と私の介護日記かな……
今、「植物人間」になると言われた君がまだまだ誰かの手がないと日常生活は営めないけど、大きな声で私を「姉貴」と呼ぶ声を聞くと嬉しくなる。
ー生きててくれて良かったー
本当にそう思う。
いくら介護に疲れた母親を買い物に連れ出して帰ってきたら君がテレビのタレントが食べる“ざるそば”を見て「ざるそば食いたい」と叫んでも動じやしないよ。
たとえ、いきなり部屋から手拍子つきで「よそはよそ、うちはうち」と歌いながら出てきたってね!
お母さんが速攻で「よくお分かりで」と返したその一言に吹き出して……。
介護生活を楽しもう……その言葉がようやく分かりつつある。
これを書きながら初めて君のために泣いたような気がします。今までは歯を食い縛ってきたからね……
こんな介護日記を不定期にぽつりぽつりと挙げていけたらと思う