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あの日見た紅い空を僕は忘れない

作者: 紫堂 マサキ



あの日の空は、澄みきった青空でどこまでも広がるあの空を眺めていた。



僕からしたら、この些細な時間はほんの1分程しかならないけれど、君からするととてつもなく貴重な時間なんだろうね…


そんな時に来た君は、大きなリュックサックを背負って歩幅の違う2人と一緒に来ていたね。

あの時僕はちっぽけな存在だったけど、それでも君は僕の事を見上げて指を指していたね。

そんな君は、僕と同じくらい小さかったけど君の見せる驚いた顔や笑った顔はとても綺麗な顔をしていた。

それに僕は見とれていた。


僕の元へ来てくれるのは、限って空が高くなる時期で、それなのに僕はみんなの元へは行けない。

ただ見送るだけしか出来ない事が悔しくてそれに寂しくて…


そんな時に来てくれた君は、僕の下で遊んでいたね。

そんな君が、僕に背を向けて遠ざかろうとした時に手を振ってくれた君の笑顔を僕は忘れない。


僕の手は、思うように動かせなくて、空に手を伸ばすことしか出来ない僕に手を振ってくれた君へ何も出来ない自分がいた。


それから何回あの透き通った高い空を見ただろう…


再び歩幅の違う2人と一緒に来たその子は、どこかあの子に似ているようで、ふとあの日の事を思い出す。


僕の手から零れた手のひらを、手に取り見上げた時に見せたあの笑顔を僕は思い出す。

「あぁ…君はこんな近くにいたんだね…」

その時君の手にある、僕の手のひらを見て僕は、嬉しさと恥ずかしさで紅く染まっている事に気づいた。


みんな、僕を見に来たのは僕の染め上がった手のひらを見に来たからなんだね。


みんなの元へ行けない僕だけど、みんなが僕の元へ来てくれる理由を知ったよ。


ありがとう。

君が教えてくれた。

大切な時間を忘れないよ。


あの澄みきっていたあの空は、僕と同じ色をしていて、僕に手を振る君の後ろ姿を見送るのはこれで何回目だろう…

またあの悔しさは味わいたくない…



そんな時に吹いた風が、僕の手を振った。

やっと僕も君に手を振り返せたよ。



そんな僕の上を覆うあの空は、僕の足元に広がる紅い絨毯と同じ色をしていた。


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