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ジュテームアラフォリ  作者: ウサギのスープ
第二章:教会の天使
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一話:鎧の男

頭が痛い。


頭が物凄く痛い。


俺は今、冒険者ギルドの食堂でひとり座っている。

理由は俺がフラフラと真っ直ぐ立つことが出来ないからだ。

なんとなく注文したレバーの炒め物(お金はディーナから貰った)を食べながら自分の右腕を眺める。


「あの時、斬られた筈なんだけどなぁ」


クララに聞いた話では、俺は血溜りで倒れていたらしいが、それだと腕が斬られたのは現実か?でも腕は付いてるし、スミスが治した訳でもないらしい。


俺が頭を悩ませていると、ガチャガチャとうるさい音が近くから聞こえる。


「お前見ない顔だナ、新入りカ?」


少し訛りがある声で話しかけられた俺は、声の方を見る。

そこには、黒い壁があった。


「ウオッ!?」


思わず声をあげてしまった。


「失礼なやつだナ」


よく見ると黒い鎧を全身に着た大男がそこには立っていた。


「あ、あぁ。悪い、急に近くにいたからビックリして」


「まぁいイ、お前新入りカ?」


「あぁそうだよ。早乙女秋人さおとめあきひとだ、よろしく」


「おレは、ボボ・シュバインだ。ボボでかまわなイ」


俺はボボと握手をした。

ガントレットを着けたままだったので、ボボの手は正直痛かった。

ボボはそのまま俺の正面に腰かけた。

「お前ハどの職業に就くんダ?」


なんとなくそんな話の流れになっていた。


「どの職業って言われてもなぁ……どんな職業があるのかも詳しく知らないからなぁ」


「それなラ、お前のギルドカードを見せてみロ」


俺は言われるがままギルドカードをボボに渡した。


「なんだこれハ!?魔色が『白』!こんなの見たことないゾ!」


やっぱりそうなるかぁ。


「俺は魔力の色が『白』だから何の職業が向いてるのかが、わからないんだよ」


「なるほどナ、魔色デ職業ヲ決められないのカ」


二人で頭を悩ませていると、ボボがギルドカードを見ながらつぶやいた。


「【スキル】のらんガかなり埋まってるナ」


「えっ!?いつの間に?」


俺が最後に見たときには、『フラッシュ』と『トランスレーション』(おそらく英語だが解らない)のスキルしか無かったのに。

俺はボボからカードを受け取り、確認してみる。


「なんだこれ!?──『ライトニング』?『妨害無効ぼうがいむこう』?『アブソーブ』?」


ひとつだけ『妨害無効』と漢字なのが気になるが、確かに幾つか増えていた。


「スキルや魔法ガかなりあるなラ、『詠唱者えいしょうしゃ』ニなれるんじゃないカ?」


『詠唱者』?なにそれ。


「『詠唱者』ハ魔法を主に使って戦う職業ダ、魔法やスキルが多いお前ニ向いてるんじゃないカ」


魔法を使って戦うって──魔法使いみたいなものか?

剣を使って戦うのは出来そうにないし、『詠唱者』か──いいかも!


「ボボありがとう、俺、「詠唱者」をやってみるよ」


「そうカ、良かったナ」


とりあえずそういう事になった。


******************


暗い夜の路地裏を歩く黒ずくめの集団がいる。

その集団の先頭を歩く痩せ細った男が、何かの気配を感じて分かれ道の方を見る。


「おや?あなたですデスか」


そこには痩せ細った男と同じ黒ずくめの男が立っていた。


「久しぶりだな、第八司教──調子はどうだ」


「この村に教会騎士がやって来たので、何人か片付けておきましたですデス。そして近々、あの教会におもむく予定ですデス──第一司教」


「そうか、了解した。他に話す事はあるか?」


互いの事を司教と呼ぶ男たちは、簡素なやり取りを繰り返す。


「そうですデスね──そういえば、変わった気配の男をこの村で見かけましたですデス。」


「変わった気配……わかった、確認しておこう」


「それでは、私たちは行くのですデス」


「あぁ、また会いにくる」


そういって黒ずくめの男たちは別々の道に消えていった。


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