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お嬢様、私に拾わせていただけませんか  作者: 松平 ちこ


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エピローグ 今はただ

ここまでお付き合いいただき、ありがとうございますm(_ _)m

次は幕間3.5話、26.5話の公開になります


その後、2章スタートになります

「遅い」


「えぇ!?理不尽過ぎますって……というか、やりすぎですよ!!」


 どれくらいの時間が経ったのか、長かったのか、短かったのか。 

 軍と私兵を引き連れた部下が、地下へとやってきた。

 その部下は周囲へ指示を出しながらも、辺りをキョロキョロと見渡して、ローグルを咎めてきた。


「……私じゃない」


 やったのは、崩落を止めただけ。

 それ以外は、傍らの子どもたち。


 一人は、番を諦めて自暴自棄になり。

 一人は、番を失って壊れた。


 地下は雪に閉ざされ、生きた温もりは二人だけ。


「口だけのお前は、減給だ」


「そこ!普通ボーナスでしょ!?頑張りましたよ、僕は!むしろ休みが欲しい!」


「ほぉ?なら休暇をやろう。聖域で好きなだけ怠惰に過ごすといい」


 ニヤリと笑って部下を見つめれば、自分の失言に気づいたらしく、その顔は青ざめていた。


「なんでシグラズルの龍の聖域に!?あそこ、氷しか無くて凍死しますよ!新手の拷問ですか。普通に休暇くださいよ」


「お前は例外だろう。寒さなど感じないのだから」


 それに、と言葉を区切って念を押す。選択肢はもとより無いのだ。


「お前が目を離した不始末だ。今度はしっかり、目の届くところに置いておけ。二度あることは三度ある……アレはまだ、逃げている」


「え、あの男逃げたんですか。すごい執着してたのに……ってバカ弟子、低体温じゃないっすか。なにしてるんですか。もー」


 眠る傍らの二人の子ども。

 部下は文句を言いつつもせっせと熱を操り、温め始めた。


 あのまま死なせていたら、邪龍に堕ちていただろう。

 虫の息だったとはいえ、番も確かに生きていた。

 それにトドメを刺した罪悪感は、地下だけでなく、国を、世界を焼いただろう。


 番と別れ狂った子孫を手にかけたことは、一度や二度ではない。けれど、娘を手にかけるのは……気乗りしない。


 上位種族は世界の安寧を、それぞれ担う。その縄張りが交わることは、ほぼ無い。

 そうーー番でも無ければ。あり得ない話だった。


 死にかけた仔犬は、番に一目逢うために辿り着いた。

 幼子は、番を失わない為に眷属化で、助けることを迷わなかった。


 これから先の関係は、優しい子には辛く悩むものだろう。

 けれど最初の選択は、お互いに番として、お互いを選んでいた。


『貴方は上位種、強いけれど神ではない。貴方にも心がある。

人はそれに甘えてはいけない。貴方も施しを与えるばかりではいけない。

喜びも怒りも哀しみも楽しみも、皆、感じて生きるべき。選択した責任を、持たなければいけない。人生は本人のものだから。

だから、貴方は貴方のままでいて欲しい』


 目を閉じた裏には、愛しい我が番の笑む姿。

 アレは決して生を諦めず、死を拒むことも、またしなかった。


 龍の番は生まれ変わる度に、その身を龍に捧げ続ける。記憶があってもなくても、それは変わらない。

 その業にいつかまた、恥じぬ姿で逢えるように。




 オルド王国を腐敗させた貴族のほとんどは、地下でその罰を受けた。

 残った貴族に関しても、集めた資料で罪状を突き付けそれぞれに罰を与えた。


 国王は引退し、第一王子がその任を引き継いだ。


 ティールと婚約破棄した第二王子、その後唆されて犯した罪の数々により罰を受けた。


 シグラズル公爵家の後妻とその娘もまた、次期公爵であるティールの虐待を始めとし、薬物に関する罰を受けた。


 後妻は子どもたちは公爵との子であり不当だと主張したが、龍の血が流れていないことでローグルに一蹴されていた。


 幼い息子だけが難を逃れ、秘密裏にシグラズル前公爵の養子としてシグラズル領地へ身を寄せた。


 その領地の龍が住むとされる山、その頂の奥底に。

 誰に邪魔されるでもなく、二人の子どもが静かに眠っている。

 彼らの元に届く、領地で紡がれるシグラズルの子守唄が、優しく彼らを包み込んでいたーー。


愛しい人。恋しい人。

貴方に言葉を贈ろう。


大地に雨が降り注ぎ、やがて海が生まれた。

海には命が泳ぎ、大地には命が芽吹く。

命が溢れ、輝き、世界は色づいた。


春は命が花開き、夏は命が繁る。

秋は命が姿を変え、冬は命が紡がれる。


空は帳を開けて始まりを告げ、

夜は優しく抱き、終わりを告げる。


風は強く、優しく。

閉じることなく、すべては繋がっている。


命が散り、器を離れても。

心は世界へ羽ばたくだろう。

旅立つ先、目指す先、

降り立つ場所、帰る場所。


哀しみも、寂しさも。

喜びも、激情も。

空に、大地に、海に、

大きな腕で抱かれて。


愛しい人、恋しい人。

巡る世界の果てで別れても、

巡る逢瀬で、また巡り逢おう。


愛しい番。

恋しい番。

3.5話

26.5話

Side視点をカクヨムにて加筆しています


また第2章も公開中です

お嬢様、私に拾わせていただけませんか - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/822139840765447449

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