40話 水晶姫の戦い方①
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スタスタと男の前、テーブルまでティールは歩いて立ち止まる。
ーー先手必勝。出し惜しみなんてしない。まずはトップに会うのよ!
左小指の指輪を外し、さらにワンピースで隠していたネックレスも外す。どちらもテーブルの上に置いた。
椅子に座る目の前の男、僅かにその目を見開いた。後ろでも、案内役の男の驚いた気配がする。
ぼろぼろのネックレスはともかく、リングを外したことに男たちが驚くのは予想通りだ。
攻撃用か防御用か警戒していた魔道具を、本人から外すだけで意表がつける。
ーーまぁ。壊れるか外すかで、発動する探知型の魔道具もあるけどね。
「私をお疑いでしたら、どうぞご覧になってくださいませ。ここらの娘に、これらが身に付けられるとお思いでございましょうか?」
ーー元々、魔力は使いきったようなものよ。
リングを外したところで、魔力の暴走なんてしないはず、……たぶん。
それよりも、まだ持っているのでは?と身体検査される方が困る。
ティールが持つ魔道具は、実はもう1つある。耳につけたピアスだ。
ピアスは魔力制御として強力な物で、絶対に外さないようにと、ヴィクトルから度々念押しされている。
短かった頃なら、隠し通せたかどうか分からなかった。
長い髪がある今は、やり方次第で隠し通せるだろう。
下手に探られるより、最初に2個出してしまい、もう無いと思わせた方がいい。
「なんてお聞きになったかは存じませんけれど。私はオルド王国、シグラズル公爵が娘でございますのよ。貴方様がたの仰るボスに、私は面会を願い出ますわ」
口角を上げて、美しいご令嬢とティールは演じてみせた。
ーー魔道具は高級品。食いつけ。
「……お言葉に甘えて、見せていただこう。これは所有者以外が触れば、危険を起こすもの、ではないだろうな?」
男は、探るように聞いてくる。
ティールはそれを微笑みで返し、どうぞと手で促した。
男はそれを鼻で笑うと、信じてないのだろう。
黒の手袋を取り出し、手につけた。おそらく魔道具の起動を阻害する物だろう。
両手に手袋をはめ、ネックレスとリングを検分し始めた。その目が、徐々に真剣に細められる。
ティールは、その間じっと待った。
「ああ、まさしくシグラズル家のお嬢様の物だ。家紋入りだな。……残念だ。独自の魔術式が組まれていて、俺では読めん。しかし……」
魔術式まで読み取ろうとしていたのか。男は装飾品を置くと、手袋を外し目元を揉む。
開いた目で男はじっと、ティールを見た。まるで嘘や誤魔化しは、通用しないとでも言うように。
少しの機微も見逃さない、といった目だった。
ーーなにを言うつもりよ?
ティールはその視線を真正面から受け止め、微笑んで返した。
胸のうちは不安でいっぱいだった。
最終話、エピローグ
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