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お嬢様、私に拾わせていただけませんか  作者: 松平 ちこ


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36話 飼い犬らしく

最新話カクヨムにて掲載中です

お嬢様、私に拾わせていただけませんか - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/822139840765447449

ギルド長と別れ、久しぶりに宿舎に足を踏み入れる。向かった先はティールの部屋。

部屋はそのままにしてある、と言ったギルド長の言葉通り、扉を開けたら布団が足元に転がっていた。


普段の彼女は、こんなことしない。布団を畳むことを覚えてからは、毎日畳んでいたからだ。

2人は知っていたからこそ、1度なんらかの理由で扉に来ていた。と、予想したのだ。


「……すぅ」


布団を手に取る。微かに残る懐かしいティールの香り。埃を払い綺麗に畳んで、ベッドの端に置いた。

その横、木彫りの子犬が転がっていた。それはサイドテーブルに置く。


何か手がかりが無いか、と思ったがやはり何も無いようだった。

繋がりが絶たれた今を、もどかしく思う。


森以外のルートに、彼女は居るはず。なぜなら森は、他でもない自分が、時間をかけて潰したからだ。

あの商家は人身売買にも手を出していたが、おそらく1つのルートでしかない。

拠点の方は、海との繋がりもあった。そうなると、かなりの範囲だ。

姿を消して、1日経とうとしている。


ーーそれでも。


迎えに行くのは、自分でありたい。


戻ってきたリング、それを右親指に通す。

リングに施された強化の術式が、ヴィクトルの体を巡る。銀髪が漆黒の髪へと変化も発動しているだろう。


「っ!?」


リングに熱を感じ、あまりの熱さに反射的に外そうと手を掛ければ、見知らぬ術式が浮かび上がっていた。


「……まさか」


あの時、渡された魔道具は3つ。1つはこのリング、残り2つは今、ティールが持っている。

どちらかと連動しているのか。あるいは、どちらともなのか。


リングを着けて離れたことは今までもあったが、この現象は起きたことがない。

おそらく条件下で発動するように、あらかじめ組まれていたのだろう。


浮かび上がった術式が消え、表示されたのは地図。そこに1点、光が見えた。

広域を表示した地図は、時間と共に場所を特定するように拡大していく。


「……また、オルドなのか」


かの国は、どれだけ彼女を傷つければ気が済むのか。


そして、場所を特定出来るほどの詳細の位置まで表示したそれは突然、フッと消えた。

何事も無かったように、辺りは静寂に包まれる。


違うのは、リングを通した指に感じる痛み。

焼け付くように、皮膚が煙をあげ始めていた。焦げた臭いが遅れて、鼻に届く。


「……外れない、か」


外そうとしてみたが、リングはびくともしない。

これは、警告だろう。もしくは代償か。


《適切に扱え。二度はない。肝に銘じておけ》


手紙の1文を思い出す。


強化の術式は継続している。消えてはいない。

焼け付く指から血が一筋、滴り落ちた。リングは緩むどころか、さらに締め付けてさえいる。


解除するにはおそらく、地図の指し示した場所、ティールの元に行くほかない。

指がリングによって焼け落ちるのが先か、公爵が見逃しているうちが、自分に残された時間だと理解する。


地図は消えたが、場所は脳裏に焼きつけた。

ヴィクトルは踵を返し、部屋を出る。


降りた先、ヴィクトルはギルド長を探す。


「……!お前!!」


「場所が絞れました。オルド王国の港街、その外れです。ハルドゥル副ギルド長が、場所は目星をつけているかと存じます」


執事然とするヴィクトルの姿に、何か言いかけたギルド長を遮り、迷いなくヴィクトルは口にする。

自分などよりよほど、現地指揮としてハルドゥルが最適だろう。


「先に行かせていただきます。後は、お任せしてもよろしいでしょうか?」


「っ!任せろ!!」


飼い犬は飼い犬らしく、主のもとへ馳せ参じるだけだ。


誰に言われるまでもない。公爵にだって、手出しはさせない。

例えあの人に任せた方が、ティールの安全も幸せも全てが最善だとしても。譲れるものか。


それは、自分が決めた唯一の生き方。

最終話、エピローグ

カクヨムにて掲載中です

お嬢様、私に拾わせていただけませんか - カクヨム https://kakuyomu.jp/works/822139840765447449

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