緑、黄、青の縁
優くんをイメージして、紐を選ぶ。
真っ先に手に取ったのは、深い緑。
それは彼が大切にしているゲームの草原のようでもあり、誰にでも分け隔てなく接する、あの穏やかで少し掴みどころのない性格そのものだ。
次に、鮮やかな青。
スクーリングの青空、そして彼の冷静な判断力。スポーツで汗を流すときの、一点の曇りもないあの瞳。
私を3秒間だけ映した、あの「眼」の色。
最後に、鮮烈な黄色。
石蕗の花の色。
そして、体育祭で私の心を撃ち抜いた、あの「一番星」の輝き。
緑で彼を包み、青で彼を象徴し、黄色で私の熱を込める。
……ああ、ダメだ。
自虐の癖が、指先を止める。
『こんなヤンキー女が編んだ紐なんて、彼にとってはただのゴミじゃねーのか?』
『ギャル軍団が贈る高級ブランドの影で、私の手作りなんて、惨めなだけだろ。』
毒に侵された(と思っている)右手で、それでも一目ずつ編んでいく。
かつてプリンセスと呼ばれた時の、あの純粋な全能感なんて今の私にはないけれど。
でも、この紐だけは嘘をつかない。
私の「観察眼」が見つけた、彼の色の正解。
「……見ててね、優くん。私の独断と偏見で、あんたをこの三色で縛り上げてやるからな。」
口から出るのは、相変わらず可愛げのないバイオレンスな独り言。
だけど、編み込まれていく三色のコントラストは、驚くほど優しく、美しく、一点の淀みもなかった。




