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”運命の神”は、俺の敵。  作者: 青山 文
第二章 わたしはこれから生きていきます
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40.捕まってドナドナ。

2024.12.05 設定ノート見て慌てて修正。回復術士見習いはマルセルとスサンナです。




 はぁ。”マーマ(ヴィルヘルミナ)”とのこと、どうすれば良いのかなぁ……?


 なんて。


 ()()()採取にやってきた森の入り口で、ひとり考え事をしていたら。




 「……へへっ。精々怨むンなら、お前の爺さんを怨むんだなっ!」




 ────わたくし、それはもう見事に、拉致ら(ドナドナさ)れてしまいました。




 いやぁ、いきなり口を塞がれ、大人の力でもって身体も拘束、そのまま麻袋に入れられ力尽くで運搬でもされようものなら。所詮は”ガキんちょ”の範疇を抜けきれぬ幼児の肉体(ロリボディ)。端から抵抗なんて、絶対無理無理かたつむり。


 ……てか、まだわりと余裕あるな、”俺”。



 まぁ、その場で殺されさえしなければ、今の”俺”ならいくらでも挽回できちゃう訳だし。口を塞がれて両手も後ろに縛られようが……って、くそ。地味に痛いな……大した障害にもならない。


 んで、今は”ヴィクトーリア”を運搬中なんだろうね。やたら揺れるわ、お腹にズンズンと自分の体重が一点に掛かるわで、なんかちょっと吐いちゃいそう。勿体無いから、絶対に胃の中身を出したりしませんがね。


 ……しかし、今回の一件を振り返ってみれば、色々と反省せねばならないことがホントいっぱいあった。


 ・ひとつのものごとに頭がいっぱいになって、つい”索敵”を疎かにしてしまった。入り口とはいえ、”森”はすでに魔物の領域だってのに”俺”は終始緊張感に欠けていた。


 ・「後ろにも目をつけるんだ」って、安室さんも言ってただろ? 少なくともあの時背後の気配を感じ取ることさえできていれば、こんな無様を晒すことはなかった、はず。


 ・咄嗟の判断が出来ず、思考から何から固まってしまったのが一番反省せねばならない点。あそこで反撃し、逆に誘拐犯を捕らえることができて丸。そいつの口を割らせることができて、そこで漸く二重丸ってところ。はっきり言って、今回の”俺”は落第だ。


 ・慎重を期すのであれば、一定時間毎にアクティブ・ソナーを行使するのをそもそも心掛けるべきであったのだ。それが例え、村の中であっても。実際、一部の村民が”敵”にまわったからこその今回の”誘拐事件”なのだから。


 って、すぐに思い付くのでこんなところか。



 逆に今無駄に抵抗しても事態が好転するどころが悪化しかしないだろうし、こうなったら成り行きに身を任せてみるつもり。少なくとも、やらかしてくれた”首魁”とは、きっとご面会させて頂けるのだろうと期待して。


 まぁ、十中八九、前村長の次男ランベルトだとは思うけど。


 ”ヴィクトーリア”は直接彼との面識は無かったが、村での評判をそれなりに耳にはしていた様だ。


 まぁ、ぶっちゃけそれを一言で表せば。



 『前村長に負けず劣らずのクズ』



 なんだそうで。



 正直、こんな話を幼女に聞かせるモンじゃねーだろって。本当に正気を疑いたく……って、考えてみたら揃いも揃って村民ども(こいつら)もクズだったね、そういえば。


 ……やっぱり、早いとこ村を出てしまった方が良い様な気がしてきた。最悪、ばぁばも一緒に巻き込んじゃう?


 いや、やっぱりそれはなぁ……”俺”の中の”ヴィクトーリア(エミュ結果)”が”否”って激しく抵抗するんだよね。



 『村を出るなら黙って、だよ』



 ってさ。



 これが”俺”の思い込みによるモノでしかないのか。


 それとも、もしかしたらこれが本当に”ヴィクトーリア”とギリギリ繋がった細い糸によるものなのか。


 そこは解らないけど、この”直感”を信じた方が良いと思う。少なくとも、今は。




 ◇◆◇




 麻袋の中に収められている現在。”俺”の視界は制限されてしまっている訳だが、アクティブ・ソナーを1回、



 『ポン』



 と放てば、そこから大凡の周囲の様子が脳内に映し出される能力を持ってるので、特に不安も不便も感じない。



 ────どうやら、現在”前村長”の家の方へと向かって移動中の様だ。その速度は、人の足であるわりにかなり速い。



 わざわざここまで()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、一体ランベルトは、何がどうしたいというのか?


 村長の座が欲しい。と云うのであれば、領都で”騎士爵”叙勲の予定を終わらせ、今頃は帰路の途についているであろうヘンドリクへの牽制の為に”ヴィクトーリア”を人質に……などという目論みなら、もうすでに手遅れだ。


 村長の”肩書き”ではなく”実権”が欲しい。というのであれば、まだ多少は頷けるところもあるけど、でも、現在ヘンドリクとは絶賛絶縁中の”わたし”なんか糞の役にも立ちはしないだろうに────って、この事情を知るのは、(クリキンのふたり含む)我が家の人間と、治療院の面々だけだったか。いや、でも。まさか、そんな単純な話だったとか?



 ああ、でもこんな馬鹿な手段をいきなり初手でやってきたってことは、やはりきっとそういう馬鹿なんだろうなぁ。



 使()()()()()()が、こんなモンじゃあ。まぁ、その程度だよね。



 実際、乱雑で無造作に運ばれているせいか、定期的にゴツゴツと腹にかかるこの衝撃なんか、もう本当に頂けないし。宅急便だったら確実にクレームものだぞ、この”配達員”は。


 てゆか、こらっ。”俺”はお前らにとって”切り札”のはずだろがいっ! もうちょっと丁重に扱えってのっ!!


 ……って、盛大にぶちかましてやりたい訳だけど、猿轡を噛まされている現状、それもできないっていう。



 なんか、もう”首魁”(ランベルト)に会ってまで話を聞く必要を、全然感じなくなってきちゃったなぁ……



 ────マイク。【クリスタル・キング】のふたりのところへ飛び、状況を報告。彼らを”俺”の元へと誘導お願い。



 たぶん、今日一日”わたし”をずっと監視してた<回復術士(ヒーラー)>見習いのマルセルがすでに治療院へと飛んで帰ってるとは思うけど。でも彼、体力全然無さそうだし、足も遅そうだし。なら、情報は新鮮なウチに必要な人に届けてしまった方が良いに決まってる。


 マルセルの存在さえ無かったら、自力で脱出しても良かったのだが、一応は、()()()()()()幼女の皮を被っていますので。流石に自重しとかねばならないだろう。


 すでにその報告先には、全部バレているのだとしても、ね?



 で、目下一番の”問題”が何かといえば。



 これ、救出された後にシゴキメニューが増やされるパターンだよね。キング、そういうの、なんか絶対に容赦しなさそうだし。




 ……ああ。やっぱり、下手()いちゃったなぁ。




誤字脱字等ありましたら、ご指摘どうかよろしくお願いいたします。

評価、ブクマいただけたら大変嬉しいです。よろしくお願いします。

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