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第8話 安いホテル


しばらくを街を散策して気が付いたことがある。

この街に警察はない。街の警備をしているのは全て軍人だ。

グレーの服に小型のレーザーガンを装備している。そいつらが街の中を巡回していた。


「軍事基地が近いせいか?」


セキュリティーのことを考えて兵士が警備しているのだろう。

なんだか軍事政権下の街に来たみたいだ。

この国ではこれが普通なのかもしれない。変に緊張している市民もいなそうだし。

そこら辺のことも調べないといけないだろう。



日がだいぶ傾いてきた。

腕時計の時間を見ると15時となっている。15時でこの感じだと、日没が早いのか?

いや、腕時計とここの世界の時間がずれているだけかも知れない。時差といった方が分かりやすいか。

後で調整が必要だろう。


「そういえば携帯は?」


ポケットからスマホを取り出した。

まぁ、案の定、圏外。

日本じゃないのだからそれは諦めていた。

それでも辞書変わりには使えるし、落としていた本は読めるはず。後は充電だが、規格が合うとは思えない。


「電池が切れたら終わりだな」


科学が発展しているので充電器ぐらい簡単に作れそうだが、持っていても通信ができなければあまり意味がないだろう。それに、替わりになりそうな物もいくらでもありそうだし、使い続けるメリットはない。

そっと電源を切って胸ポケットにしまった。もしかしたらコレが異世界人の証になるかも知れない。使えない機械がね。

それよりも今日の泊まるとこを決めないといけない。

とは言ってもある程度は決めてある。

散策している途中で何件かのホテルを見つけたのだ。

20階建ての大きなホテルから3階建ての小さなホテルまで。

ランクがいくつかにわかれているようで、大きなホテルほど内装も綺麗で従業員の教育も行き届いている感じがした。

だが、そういう所は高い。

この世界の物価事情が分からな以上は、そういう所には泊まれない。


「ボロくて安そうな所にするか」


途中で見かけた3階建てのボロホテル。

看板の塗装が剝げて落ちており、外壁も薄汚れていた。


(こんな所に泊まる客はいるのか?)


と思っていたら、結構な人が入っていった。

安いからなのか、需用はあるようだ。


中に入ると正面に受付があるだけで、中年の男性が座っていた。

てっきり無人かと思ったが、人はいるようだ。


「一泊したいんだが、いくらだ?」


おっさんは俺の方をチラッと見ると無愛想に答えた。


「一泊5000ニルだ。食事はない。近くの飯屋で食べてきな」


ここは素泊まりだけのホテルらしい。いや、ホテルというよりは宿屋というった雰囲気だな。

異世界でもこんな感じの宿屋があった。冒険者向けの安い宿屋が。


「これでいいか?」


亡くなった青年から貰った? お金で支払う。紙幣で10000と刻印されているお札を渡した。

受け取ったおっさんはお釣りをよこした。5000と刻印されているお札だ。

ニルはこの国の通貨単位で間違いないだろう。そして刻印されている金額がニルだ。日本円と同じように考えれば困惑することは無いはず。

後は小銭だが、見れば何となくわかるので聞かなかった。金貨が一番額が大きいのだろう。500円ぐらいか?

食事でもしたときに確かめることにした。


お釣りを受け取るとおっさんは小さな機械を俺の前に出した。

俺が首を傾げている「人差し指を出せ」と言ってきた。

人差し指を機械の上に載せると機械に登録完了と表示された。

指紋認証方式でドアが開くようだ。

カードキーなど使わないのは、文明が進んだからなのか? それとも指紋を採ることで、犯罪者はお断り、とかしているのか?

閉め出される心配がないのは良いことだと思う。


「204号室な」


階段で2階に上がり、204と書かれているドアの前で確認する。

ドアの脇にセンサーがあり指紋のマークが点滅している。そこに触れろということだ。

そこへ人差し指でタッチすると『シュッ』という音とともにドアがスライドし、自動で開いた。

さすが未来といった感じかな。ドアは全て自動ドアのようだ。


「……ふむ、狭いな。値段なりといったところか」


中は6畳ほどの広さだが、それなりに掃除は行き届いているようで、シーツは綺麗だし布団は柔らかかった。寝るぶんには問題なさそうだ。

トイレもシャワーも完備してあるし、一応、テレビもある。ビジネスホテルに近い感じだ。

前回行った異世界は酷かった。

シーツは無いし、ボロボロの布団が敷いてあるだけ。そういう宿が多かった。

それと比べたらここはどれだけ天国か。

こっちの世界に来て良かったと思った瞬間でもあった。



ご覧いただきありがとうございます。

ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。

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