第83話 ダインジョンコアと話し合い②
「……言っている意味が分からないが」
『マスターは、この船が必要な理由がわかりますか?』
「それは星系軍と戦うのに必要だろう。軍と戦うのであれば少しでも戦力は欲しいからな」
レジスタンスの戦力など高が知れている。銃は手に入っても戦艦はそう簡単に手に入る物ではない。手放すはずがない。
『それは内戦をしているから必要であり、それが終われば必要と思いますか?』
「それは……いらないな。惑星が平和になれば戦艦など持っていても邪魔になるだけだ。……なるほど、そういうことか。俺にこの戦争を終わらせろと、そう言っているのか?」
『この船の所有権を主張することはできました。この船はマスター以外使うことはできません。そんな船を欲しがるとは思いません』
「そこで俺が貰い受ければ良いということか……」
『マスターは報酬を貰う約束していましたよね?』
「その報酬で貰えと?」
『使い物にならない物を貰うのです。良い考えだと思いますが』
確かにこの内戦が終わればこの船は必要なくなるだろう。
そしてこの船は俺の言うことしか聞かない。
手放すか、俺を殺して新しい艦長になるか、その二択しかなくなる。
そして俺の命が狙われるというわけだ。まぁ、殺しても艦長にはなれないけどね。
しかも内戦を終わらせろとまで言ってきた。
人使いが荒いコアだ。
俺のスローライフはどこへやら……。
「はぁ……」と溜息しか出なかった。
『この作戦が上手くいけば内戦も終わるでしょう。それほど難しいことではありません。ただ……』
「ただ?」
『いいえ、何でもございません』
「おいおい、途中まで言ってそれだけで終わりは酷いんじゃ無いの? 最後まで話してくれ」
『お話ししてもよろしいですが、確証がありませんので』
「それでも構わない。何か気になることがあるのか?」
『はい。追ってきた帝国軍の数があまりにも少ないと思い、私で調べたところ、ニルブルク星系の宙域外に集結していることがわかりました』
「どういうことだ?」
『予測できないことが起きている可能性が高いです』
「集結しているということは戦闘が起きるということか。敵はレジスタンスか?」
『いいえ、ドラギニス軍のようです』
「帝国と敵対している国か。敵が攻めてきたということか……」
『それだけでは無いようです。星系軍と連絡がつかないとも言っています』
「星系軍と?」
敵が攻めてきて、しかも星系軍と連絡がつかない?
何が起きているのだ。
これだけはさっぱり分からない。
『謀叛が起きた可能性が高いです』
「……星系軍が裏切った?」
『情報収集した結果ですが、その可能性が高いです』
軍が裏切るなどありえるのか?
レジスタンスと内戦しているこの状況で?
そう言えばあの代官はドラギニス軍と繋がっているという噂があったが、まさかこのタイミングで裏切ったとか。軍も一緒になって裏切っていると言うことか?
益々、わけが分からなくなってきた。
「頭が痛くなってきたよ……」
次から次と、お腹いっぱいです。
聞かなければよかった。
「しかし、どうやってその情報を集めたのだ?」
『整備中に追ってきた帝国軍の通信をキャッチしました』
「ジェネレーターが止まっていれば通信は使えないだろ?」
『探査船の通信機能を使いました。これは魔力で動くので問題ありません』
「へえ、そんな便利な物があるのか」
『はい。ですが通信距離は短いので普通に使うことはありません。ですので使うことは少ないでしょう』
元々はコア同士で通信するものなので、距離は短いそうだ。。
だからデータを送ったり映像を送ることもできない。
『あくまでもコア同士で会話をするための物で、念話に近いです。それを改造して通信を傍受できるようにしたのです』
「聞くだけ、という感じかな?」
『そう思って頂いて結構です』
それだと使い道は無いな。
今回みたいな状況にならない限りは。
「さて、この情報をどうするか……」
グランバーに話しても良いが、コアが言ったとおり確証がない。振り回すのもどうかと。
それに言ったところで今の俺たちは何もできない。
取りあえず領都に行かないことには始まらないのだから。
「一先ず保留だな。引き続き情報を集めてくれ。話すときは俺から話すから」
『わかりました、マスター』
「それと、自分の事は内緒にしておけよ。コアの存在が知られたら面倒にしかならないぞ。特に博士が何をするか分からないからな。解体されてくれ、とか言われたくないだろ?」
『わかりました。私もまだ壊されたくはないので黙っていることにします。船の中では身を守る手段はありませんので』
魔物とか召喚できれば守れるが、ダンジョンの機能は失われているのでそういったことはできない。
誰かに守って貰うしか無いが、コアの存在を知られなければ壊される心配はないだろう。
できる限り内緒にするのが得策だ。
「もうお前の存在は知れ渡ることになる。余計なことは言うなよ。俺が後で困るから」
古代船にAIがあるとわかれば、博士が色んな質問をするだろう。
変なことを言わないように釘を刺しておいた。
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