第82話 ダインジョンコアと話し合い①
どっと疲れたが、これで陰でコソコソと動き回る必要は無くなった。
ただ、サーバールームに行くときだけは注意が必要だ。まだダンジョンコアの存在を教えていないし、魔力のことも話していない。
一瞬、教えても、と思ったがコアが破棄されればこの船はお飾りとなってしまう。
多少は動くことはできるが本来の性能を引き出せない。解体されるのが落ちだ。
よからぬ事を考える奴は必ずいるので、まだ黙っていることにした。
艦長室を1人で出ると、その足でサーバールームに向かった。
ダンジョンコアと差しで話す必要があり、監視カメラの映像は例のごとく差し替えてもらう予定だ。
誰にも見つからないようにサーバールームに入る。
コアの前に立つと呼びかけた。
「おい、どういうことか説明して貰うぞ」
俺はちょっと怒っている。
やってくれたなと。
『……何の事でしょうか?』
「お前、ワザと見つかるようにしたな。でなければバレるはずが無かった。そうだろ?」
俺が言っているのは警備システムのことだ。
侵入した痕跡があるという話しだったが、あれはコアがワザと残したと睨んでいる。でなければ、加工した映像もバレることがなかった。
何か目的があってワザとやったのだ。
「惑星を出て最初の戦闘時の映像はバレていなかった。侵入した痕跡も残していない。なのに前回は残していた。お前にしては考えられないミスだ。そうだろ? ワザとやったのだろ?」
『それは思い違いではありませんか。私でもミスはします。ただ今回は見つかっただけの話しで』
ダンジョンコアが素っ惚けるとは。
呆れて物も言えないね。
「嘘をつくな。お前の事だ、俺のことをバラして、無理矢理艦長にしてこの船に縛り付けるつもりだったんだろ? 魔力を注げるのは今のところ俺だけだからな。俺が居なくなればまた魔力が切れて眠ってしまう。だからそれを避けるためにワザと痕跡を残した。そうだろ?」
『……』
反応がない。どうやら当たりらしい。
やれやれ、本当に困ったものだ。
「まったく……グランバーたちと話していた時に突っ込まれなくて良かったよ。面倒なことになっていたぞ」
システムに介入できるのであれば、いくらでも好きなように弄ることはできる。だから痕跡を残すなど普通に考えればあり得ないのだ。
その事を突っ込まれていたら何て説明するのか。
「それに資格って何だ? 俺に資格なんて無いと思うが」
『それは勇者のことを言っています。それを持っていないのでマスターの資格が無いとお答えしたのです』
「おいおい、勇者の資格なんて誰も持てるような物では無いぞ。最初の異世界では俺1人しか持っていなかったし、それにそれは資格で無く称号だ。意味が全然違うと思うが」
俺が最初に行った異世界では勇者の称号を持てるのは全世界で1人だけ。だから最強の力を与えられたのだ。何人もいたら、それはそれで別な問題を引き起こすはず。
勇者同士のバトルとか。
いかにも貴族が喜びそうなシチュエーションだ。
そうならないように神から1人だけが与えられる。そんなのを資格にしては誰も古代船のマスターにはなれない。冗談にも程がある、というやつだ。
『勇者で無くても良いのです。マスターの言うとおり称号があれば、それで資格は十分あります。それにそう言わないと誰でもマスターになれると思われ、いささか迷惑なのであのように言いました。私も無茶なのは分かっていますので、気にする必要はありません』
まっ、そうだと思ったけどね。
適当な言い訳が無かったということで思い付いたことを言ったのだろう。
やれやれ、ダンジョンコアという物はみんなこうなんだろうか。
図太いというか、したたかというか、付き合うこちらとしては身が持たないね、まったく。
付き合いきれないぞ。
「それでどうするつもりだ。おまけに艦長の変更もできないと言ったし。アレで俺は逃げられなくなった。しかも、あれ、嘘だろ? 魔力を持っている者なら俺じゃなくても良いはずだ。お前が欲しいのは俺じゃなくて魔力なんだから」
コアが欲しいのは魔力であって、マスターでは無い。
そもそも今まで1人? でやって来たのだから、マスター自体必要ないのだ。
なのにマスターとか言い始めたから面倒なことになった。
おまけに、俺が死なないと艦長の変更はできないとか。
殺して下さい、と言っているようなものだ。
「当然、何か考えているのだろうな。まさかと思うが無計画とかはないよな?」
『当然です。これでマスターはこの船に必要と証明できました。そのマスターが船を下りればどうなるか、私は眠りにつき、この船は元の役に立たない船に戻るだけです。そんなこと、ここの人達が許すはずがありません』
「それは当然だな。これだけの力を見せつければ手放すわけがない。最強の戦艦といっても良いぐらいだ」
この船のジェネレーターは、今のこの世界での技術を持ってしても作ることはできない。
遊ばせておくほど余裕も無いはずだ。
『ですが、それはまだ使い道があるから手放すことができないわけで、その使い道をなくせばよいのです』
コアが変なことを言い始めた。
どうせ、碌でもないことを言うに違いない。
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