第7話 寂れている街
やっと街が見えてきた。
距離は相当あるがマンションが見える。
この位置から見えるということは高層マンションか?
外壁で囲まれてはいない所を見ると、街を襲うような魔物は存在しないようだ。
今まで行った異世界は、大抵は外壁に囲まれて兵士が巡回していた。
そう考えると魔物がいない世界で間違いないだろう。
まぁ、戦闘機が飛ぶような世界なら魔物も脅威にはならないか。
それから30分ほど歩き街の中に入る。
まぁ、何というか普通だな。
家がありマンションがあり、街並みは日本と同じだ。ただ、木造の家は無さそうで、プラスチックみたいな材質で造られている建物が並んでいた。玩具の家みたいだ。
家のデザインはみんな似たような物なので、最初から完成された物を並べているだけなのかもしれない。
「寂れている街だ」
人が少ない。
街の中で人を見かけたが地球人と変わらない容姿だ。
ただ、様々な人種がいるようで、金髪に茶髪、肌が白い人から黒い人まで。多種多様といった感じだ。
服装もちょっと派手だと思うが普通にズボンにスカートと変わった所はない。
人種が多いという点を除けば、ごく普通の街だった。
それよりも乗り物の方が気になった。
車と言うにはちょっと違うが、車輪が無く、空中に浮いている。あれだな、SF映画とかに出てくるエアカーだな。
中を見ても運転席にハンドルはなく、液晶パネルが付いているだけ。全て自動運転ということだ。
もしかして、運転免許とかいらない世界なのか?
自分で運転する楽しさはないが、安全面ではこっちの方が優れているのだろう。交通事故の事を考えれば、そうなるのも仕方がないことなのかも知れない。
「乗り心地はどうなんだろか? 機会があれば乗ってみたいものだ」
空中に浮いているのだから振動はないだろう。それだけでも快適に思える。エンジンなんかも違うようで、音が小さいし、排気ガスも出ないようでマフラーなども付いていない。色や大きさ、デザインは個個によって違うが、電気自動車に近い感じがした。
しばらく歩き、人通りが多い通りに出た。そこは商店街で様々な店が軒を並べていた。
惣菜屋にブティック、宝石店や家具屋に雑貨屋さん。美容室みたいな店もある。そこら辺は日本と同じ感じがした。
並んでいる商品は見かけたことが無いような物が多いが、変わらない物、宝石類なんかは日本と同じだった。ただ、加工されているが石がミスリルとかだったので、そこは異世界だった。
「普通にお店が並んでいたのはちょっと意外だな」
時代が進むと買い物は全てネット通販で、外で買い物をする必要がなくなる。そう思っていたからだ。
だが、今も普通に店があるということは流通が発展しなかったのか、もしくは別の理由があってしなかったのか。
どちらにしろ商店があったことで、買い物をするのに困ることは無さそうだ。
「おお、コンビニがあるぞ」
中を覗くと無人で、商品が並んでいるだけだった。
神様は約束を守ってくれたようだ。
ただ、キャッシュレスぽいので今の俺には買い物ができそうにない。
紙幣と硬貨しか持っていないだから。
カードもあるが、何かあると困るので使わないことにした。
「ん? あれは何だ?」
大きなペットボトルが並んでいるお店が目に付いた。
中を覗くと、棚には麦と書かれており、似たような物が並んでいた。
感じ的にはウォーターサーバーにセットする水のペットボトルと言えば分かりやすいか。
他にも野菜に肉、魚、調味料。色んな種類のペットボトルが並んでいる。
商品の横を見ると、使える機種が書いてある。
あー、あれだ、自動調理器に使う食材だ。
「まじか……」
自動調理器がここまで発展しているとは。
同じ麦でも色んな種類があるようで、ラベルには産地の他に、カロリーや成分など、細かく書かれていた。
野菜に至っては、全ての野菜が液状にされ、ペットボトルに入れられて売られている。
まさかこれをそのまま飲むとは思えないが、見た目には食べたいと思うようなものではない。
「ひょっとして、コレ専門店なのか?」
生の食材は売っていなかった。あるのはペットボトルに入った液体だけ。
ファミレスのドリンクサーバーみたいに、あんな感じに複数セットとして使うのだろうか?
出てくるのがチョコバーみたいだった嫌だな。チョコバーの形をした魚。
美味しそうに見えない。もう、携帯食に近いな。
「世界が変われば食も変わるが、こうも違うとは思ってもいなかった……」
科学が進んだ世界だから仕方が無いと言えばそうだが、食を楽しみにしていた分、何か拍子抜けしたというかガッカリした。
料理人の美味しい食事を期待していたのだが、まぁ、味が良ければそれで納得するしかない。
文明が進みすぎるのも考えものだった。
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ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。




