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第75話 ジェネレーター起動


「起動は上手くいったようだな」


ブリッジで博士の起動実験に立ち会っていた。

整備も終わり、異常が見当たらなかったことで起動したらすんなりと動いた。

今まで何だったのか、というぐらい素直に動いているらしい。


「うむ。出力も安定しておる。ただ、マニュアル操作で起動しておるから出力が低いぞ。AI制御に切り替えれば、もう少し上がると思うがのう」

「今のままで構わない。AIに切り替えて、また止まられても困るからな。しばらくはこのまま行こう」


AI制御は好きになれない。やはり昔ながらのマニュアル操作が一番だ。信用できるし確実だ。

訳が分からないことに頭を悩ませなくても良い。


「起動実験は終わりじゃ。この後どうする? このまま出航するか?」

「いや、さすがにこの時間から艦を動かすのは。明日の朝一番で出航しよう。それまでは点検と休憩を」


当番以外のクルーは就寝しているので起こしてまで出航する必要は無い。

今度いつゆっくり休めるか分からないからな。


「分かった。一度ジェネレーターを落とすが良いかのう?」

「構わないが、落としたらまた起動しなくなるようなことは無いだろうな?」

「それは大丈夫じゃ。ここまで起動すれば問題なかろう」


上機嫌で博士は機関室に向かった。

ジェネレーターが起動して一番ホッとしているのは博士だろう。古代船の第一人者として、責任者を感じていたのだから。


「後は任せたぞ、ダミアン」


今の当直はダミアンがしている。

何かあったときは連絡を貰うようにして自室へ戻った。



*****



明朝、ブリッジに入ると既に他のメンバーは集まっており、笑顔で談笑していた。

ジェネレーターが動いたと聞いて安心しているのだろう。

博士だけはその輪に入らず、モニターを見詰めている。

何か不安があるのか、思わしくない表情を浮かべていた。


「博士、ジェネレーターの調子は?」

「問題ない。たが、出力が上がらん。いくら調整しても今以上は無理だ」


やはりマニュアル操作では今の出力が限界のようで、戦闘になったとき不安が残ると言う。


「構わない。こちらで操作できればいい」


それだけ言って座席に座る。

モニターを確認するが全てのシステムが正常と表示されていた。


「出航準備だ。第2戦闘配置」


艦内放送が流れ、全員が席に座りミニターを見詰める。

そして各部署と連絡を取り始めた。

AIを使っていないので、操作は全て手動。確認作業に追われていた。


「博士。ジェネレーター起動」

「了解じゃ」


古代船の良いところはジェネレーターの稼働音がしないことだ。

ブリッジにいると動いているかいないか分からないぐらい静かで、振動もほぼ伝わってこない。この技術だけでも大した物だ。

だが、マニュアル操作で制御できないのであれば意味は無い。

我々が求めるのは、常に最高のパフォーマンスを出すジェネレーターなのだから。


「この宙域を出る。航路確認。ダミアン、ワープの準備を」

「了解、チャージ開始」


艦がゆっくり動き出す。

大小様々な小惑星の脇を抜けて、小惑星帯から抜け出した。


「ルートを確認。座標を入力。博士、チャージに掛かる所要時間は?」

「この調子だと3時間は掛かるぞ。気長に待つしか無いのう」


マニュアルで動かしているのでジェネレーターの出力が上がらない。

このままの状態で待機となった。


「AI制御に切り替えたらどうだ?」


ロズルトが痺れを切らして言うが、


「AIにしたら動かなくなりそうでな。それに人手で動かした方が安心する。しばらくはこのままだ」


緊急でもない限りこのままに行くことにした。戦闘にならない限り、今の出力でも十分足りる。チャージが終われば更に余裕もできるだろう。


「ますます俺の仕事が無いな」


そう言ってぼやくが仕方が無い。

AIを起動しなければロズルトの仕事は無い。

彼はそのため()()に乗って居るのだから。


「レーダーの方は?」

「異常なし。この宙域に帝国軍は居ないわ。見逃してくれたのかしら?」

「それは無いだろう。だが、艦の数が少なかったことが気になる。あの数でこの宙域を捜索するのは無理だろう。もっと数が必要だと思うが……」


エミリーの言ったとおり見逃してくれたのか?

だが、それ程帝国軍は甘くは無い。どこかで待ち伏せしているかもしれない。


「警戒を怠るな。ワープに入るまでは気を抜かないように」


直ぐに対応できるように待機した。


ご覧いただきありがとうございます。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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