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第73話 疑惑③



ロズルトの話を聞いて、ブリッジ内は少しザワついていた。

理由が分からず混乱するクルー。

その中で以外と冷静だったのがエミリーだった。


「で、どうするの? 映像が加工された物だとしてシューイチを捕まえるの? 容疑は何? 反逆罪? それも映像を加工したから電子データ偽造罪? でも、彼がやったわけではないからそれは当てはまらないわ。反逆罪だって私たちに何かしたわけでもないし捕まえる理由がないわね。結局はシューイチの目的が分からない事には捕まえようがないわよ。この映像だけではね」


確かにエミリーの言うとおりだ。

彼の目的が分からない事には捕まえることはできない。

なぜ、このようなことをしたのか、その理由を明らかにしないことには始まらないだろう。


「彼の仲間に心当たりは?」

「私は知らないわ。彼が誰かと話している姿を見たことが無いし、この艦に乗ってからも同じよ。部屋に籠もっていて誰とも話していない。拒絶しているみたいに殻に閉じ籠もっているわね」


理由は知らないが、顔見知りのエミリー達とも話さないらしい。どちらかといいと避けている感じさえするという。

益々怪しくなってきた。


「お前達でも知らない仲間がいるということか……」


調べるとなると厄介だ。

全ての映像を確認して、彼と接触した人物を探さなければならない。

骨が折れる作業だ。

それにチャットでやり取りされたら調べようが無い。彼の携帯端末を調べないことには。


「まぁ、今は気にする必要はないのでは無いか。それで艦に被害があったというのであれば別だが、そういった話しでは無いだろ? しばらくはほっといても問題ないはずだ」


ロズルトがボリボリと顔を掻きながら気楽なことを言う。

相も変わらずこの男は俺の苦労を知らずに。

何かあってからでは遅いのだ。だから、頭を悩ましているというのに。

それなのに誰ひとり、それに対して反論する者はいなかった。それどころか、うんうん、と頷く者さえいる。

俺は「はあ……」と溜息しか出なかった。


「それもそうね。彼の目的が分からない事には調べようが無いわ。この艦に重要な機密書類とか無いの? それを盗みに来ているとか」


機密書類か……。

考えられるとしたら()()しかないが、でも彼がその事を知っているとは思えない。

あれは俺を含めて数人しか知らないはず。

情報が漏れていると思えない。


「我々の目的は領主殿に会いに行くことだ。それ以外に何も無い」

「それじゃ尚更目的が分からないわね……」


エミリーが腕を組んで首を傾げているが、もし、あれを狙っているのであれば、なおのこと話せない。

あれがなければ俺たちは信用されない。

領都に着くまでは、その存在を知られるわけにはいかなかった。


「それよりもこの後どうするか考えよう。艦が動かなければ話にならないぜ。どうする? 投降するか?」


ロズルトの言うとおり、確かに今は彼のことを議論している場合では無い。

艦が動かなければどうにもならない。

彼の目的が分かったとしても。


「博士、どうなんだ? 動かす方法は他に無いのか?」


「しばらく待って見るのもありじゃな。食料もあることだし急いで結果を出すことも無かろう」


博士が言うには、元々は整備に2.3日掛ける予定だった。だからもう一回、ゆっくりと整備をしても良いのでは、ということだ。

帝国軍の追跡も振り切った感じだし、じっくりと時間を掛けて整備してからでも遅くは無いのではと。

確かに博士の言うことにも一理ある。

急いで領都に行きたい気持ちはあるが、ここで無理をする必要はない。

一度きちんと整備するのもありだな。


「わかった。もう1日整備に回して、故障箇所が無いか細かくチェックしよう。博士、整備の方は任せても?」

「OKじゃ。バラせるところはバラして調べてみよう。どこか見落としているかもしれんからのう」


そう言うと博士はブリッジを出て行った。今度は機関室に立て籠もるらしい。

こういう時に博士の存在は大きい。古代船の整備は経験が無い者ばかりだからな。


「博士に悪いが俺たちは休もう。寝て起きた者から艦内の整理整頓を頼む。色々と物が散乱しているだろうから」


重力制御装置を切ったことで物が散乱している。

整備が終わるまでは、そちらの作業を優先させることにした。ここには当番だけが残っていればよい。



みんながブリッジを離れるなか、エミリーだけが残った。


「結局、シューイチのことはどうするの?」

「彼が何かをしたという証拠はないし、あの映像の加工も彼がやっているわけではない。警備システムに侵入して映像を加工した奴がわかれば、彼を拘束できるかもしれないが……今のところ保留になるな」

「そうね。シューイチが何か悪いことをしているわけではないし捕まえるの無理ね。せいぜい共謀罪ぐらいかしら。それも共犯者を捕まえないことには無理ね。映像を加工した人物は分かるの?」


俺を手の平を上に向けて、お手上げのポーズをした。

さっぱり分からないからだ。

誰がどこでどうやって侵入したか何もわからないでいた。

監視カメラにも映っていないし、彼が誰かと会話している映像も見つかっていない。

捕まえようがないということだ。


「それは困ったわね……ねえ、後のことは私に任せてくれない? 私がさりげなく聞いてみるわ。こういうのは親しい人がやった方が素直に話してくれると思うの」


休憩の時にでも聞いてみると言っているが、任せて良いものか悩む。

確かに俺が直接聞くよりは良いだろうが……。


「大丈夫よ、上手くやるから」


不安げな表情が表に出ていたか。

ニコニコ顔でそこまで言うのであれば、ということで任せることにした。

今の俺には他にもやることがあるので、はっきり言って彼に構ってはいられない。それに、ロズルトが言うとおり艦に被害があったわけではない。

彼らの目的が分かるまでは泳がすのもありかもしれない。



ご覧いただきありがとうございます。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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