第64話 この世界の戦争②
「そういえば最初に見た時は戦闘機で戦艦と戦っていたな。破れないと知っててどうして?」
俺がこの世界に来た初日。戦艦と戦闘機が戦っていたことを思いだした。
結果は全滅だったが、今の話を聞くと、どうして?、という疑問が残る。
戦艦のシールドは破れないのだから。
「シューイチはあの戦闘を見ていたのよね」
「ああ。一方的だったな。あの作戦は何だったんだ?」
「あれは戦艦が完成すると脅威になるので、その前に何とかしよう、ということで奇襲したんだけど、結果はご存じのように全滅。……今思えば無謀だったかも知れないね。戦艦に挑むなんて」
目を伏せてちょっと辛そうに話すには犠牲になった友人がいたのかもしれない。
無駄な犠牲だったと作戦を指示した指揮官は今も悔やんでいると言うが。
「こういうことは割り切らないとな。戦争だから」
他の異世界でも人間同士の争いはあった。
理由はくだらない事が多かったが、今回のように悪政で苦しむ人が立ち上がり、貴族と戦うようなこともあった。クーデターというやつだな。
勇者は人間同士の争いに関わらない。
召喚された際の約束事で俺は争いに参加はしなかったが、数多くの友人や知人が巻き込まれて死んでいったことを思い出した。
神様に会ったことで全ての記憶を取り戻した俺は、時々、参加すれば救えた命もあったのでは、と思うことがある。今更ではあるが……。
だから今回も何だかんだ言っても手を貸している。知り合った友人が死ぬ姿を見たくないのでね。
「……そうね。割り切らないとね」
無理に笑顔を作って微笑んでいた。
そういえば最初に会った時に誰かを生き返らせたかった感じだったが、その作戦で死んだ友人なのかもしれないな。俺の勝手な想像だけどね。
「戦艦にはレーザー砲とミサイルしか積んでいないのか」
「機関砲や散弾砲も付いているわよ。対ミサイル用だけど」
レーザー砲は連射ができないので、こういうのが付いているという。
対空砲火ということだな。
「魚雷とかは?」
「魚雷? 宇宙で?」
エミリーがクスクスと笑う。
あれ? 笑われてしまったよ。
それなら普通にミサイルで十分だと。
魚雷とミサイルの違いは空か海かの違いと推進力。
魚雷はスクリューで水の中を進むが、ミサイルはロケットエンジンやジェットエンジンで飛んでいく。
当然、宇宙に水はないのでスクリューで進むことはできない。最近では水圧で進むポンプジェット式なんていう物もあるそうだが、結局は水がなければ意味が無い。
そう考えると、宇宙空間で魚雷? という話になるわけで、笑われるのも仕方が無い。
漫画やアニメでよく見る魚雷は、結局は架空な物で、実際に作るとなるとミサイルで十分という話になる。態々魚雷を改造する必要は無い。
「確かに魚雷の意味はないな。でも魚雷という響きにワクワクするんだよね。厨二心がくすぐられるというか何というか。そういうのは無いのかね……」
「魚雷じゃないけど、対反応ミサイルと言うのがあるわ。これはミサイルにシールドを装備して敵のシールドにぶつけるの。シールド同士をぶつけることでシールドのエネルギーを飽和して奪うのよ」
シールドとシールドをぶつけることで相手のシールドの損耗率を故意に上げるそうだ。
シールドがぶつかっている間はエネルギーが消耗しているわけで、それで早くダウンさせるという。
なかなか面白いが、その代わり艦に直接ダメージを与えることはできないのが欠点と言う。
「シールドと一緒に爆薬を積んでも駄目なのか?」
「駄目ね。結局は自分のシールドが前面にあるので、それで威力が半減してしまうの。シールドでシールドをダウンさせても、今度は自分のシールドで相手の艦を守ってしまうの。だから爆薬は乗せられないのよ」
対反応ミサイルは前面にシールドを展開しているので、敵艦に当たっても自分のシールドが敵艦を守ってしまう。だから爆薬は積めないと。
「シールドがオン・オフできれば解決すると思うけどな」
「それも無理。シールドを常時展開していないと撃ち落とされてしまうわ。オン・オフなど付けても意味が無いのよ」
そういえば機関砲とかあるとか言っていたな。
シールドで守っていないと撃ち落とされるということか。
「それにね、一発の値段が高いのよ。1億ニル。そんなミサイル何発も撃てるわけがないでしょ。いくら帝国軍でも予算がないわ。だから使わないんだけどね」
性能が良いミサイルほど値段が上がるからね。
それにシールドを落とすだけなら大口径のレーザー砲だけでも十分だ。数多く当てれば落とせるのだから。
まぁ、結局は使えないというわけだ。
でも、考え方によっては使い道はあるかも。
戦闘機に付けて飛ばすとか。
それでマニュアル操作とか。
なかなか良い考えだが。
「あ、言っておくけど戦闘機には付けられないわよ。馬鹿でかいから」
普通のミサイルよりシールドが内蔵する分巨大らしい。だから積めないと。
そういうことね。納得した。
「なかなか上手くいかないものだね」
「みんな考える事は同じという事よ」
戦艦のことは色々と教えて貰ったが結局はシールドという物があるかぎり、戦闘機の出番はないということだ。
だから戦艦同士で撃ち合うわけで、地球での戦闘とは大きく違うことを知った。
「ちなみにだが、惑星を一発で破壊するような兵器はあるの?」
「無いわね、そんな危険な兵器。ただでさえ資源が乏しい宇宙で、そんな兵器を使う馬鹿はいないわ。特に移住可能な惑星を破壊するなど、全世界を敵に回すようなものよ。それだけ貴重なんだから」
アニメや映画のように、そのような兵器は存在しないのか。
それを聞いてちょっとガッカリした分、安心もした。
そんな兵器が出回るようでは安心して惑星に住めないものね。
そんな話をしていたら、いつの間にか時間が経っていた。
エミリーは一度ブリッジに寄って状況を確認してから寝るそうだ。
俺も付き合うかどうか迷ったがやめた。
状況を知ったところで24時間は動かないことを知っている。なので部屋で休むことにした。まだ、読んでいない電子書籍は沢山あるのでね。
ご覧いただきありがとうございます。
書くのが遅くて申し訳ございません。
気長に付き合って下さると嬉しいです。ついでに評価もしてくれると嬉しいです。




