第5話 初めての戦闘②
姿が見えた。
色違いの様々な戦闘服に、質量感があるグレーの鎧? というかパワーアーマー見たいな物。それが体を覆っていた。
フェースガード付きのヘルメットに、手には大きなライフルが見える。そのライフルからケーブルが伸びており背中のランドセル見たいな物と繋がっていた。
そして、そのランドセルからもアンテナが伸びており、ピカピカと点滅している。
どうも俺が知っている兵器には見えない。
未来の兵器か?
注意しながら見守っていると、いきなり銃を構えた。
「生存者発見! 捕虜はいらん。速やかに排除せよ!」
1人だけ赤いヘルメットを被っていた兵士が周りに指示を出した。
それに答えるかのようにライフルを構える兵士たち。
問答無用というやつか。
取りあえず手を上げて敵意が無い事を見せた。
「俺はあんた達の敵ではない。道に迷ってたら偶然この場所に出たのだ。すまないが街はどっちの方向にある? 教えてくれた今すぐにこの場所を離れるが」
これ以上はここに留まるのは危険だと思い、逃げるを選択をした。
だが兵士達が、俺の周りを囲むようにして展開していた。逃がす気がないようだ。
「嘘をつくな! こんな所に一般人がいるわけがない。ここはアルマジール領第2惑星の最重要軍事基地だ。一般人の立ち入りは禁止されている。ここに居るということは偵察に来たレジスタンスに違いない!」
「え?」
開いた口がふさがらなかった。
おいおい。何て所に転送しやがったのだ、あのク○神様!
今度は軍事基地だと。争い事しか起きないじゃん。
やってくれたな!
「ち、違う。本当に迷っただけで……」
「敵は発見しだい抹殺しろと命令が出ている。全員構え! 撃て!」
一斉にライフルが光り出した。
「チッ! 聞く耳持たずか。ストーンウォール!」
俺は咄嗟に石壁を自分の周りに作り出した。
土魔法の初級になるが、弾丸を防ぐにはこれが最適だと思ったのだ。
高さ2メートルほどの石壁が俺を囲む。厚さは相手の武器を考慮し、少し厚めにした。貫通しないようにだ。
だが、俺の予想とは違い、土壁に赤い小さな穴がいくつも開く。弾丸では無い何かが飛んできていた。
「レーザー銃か!」
光りの弾が降り注ぐ。
土壁から煙が出て赤く溶け始めた。
「くっ、かなりの高熱だ!」
再度ストーンウォールを唱え、石壁を厚く補強した。
これで少しは持つはずだ。
だが、囲まれている今の状況では逃げ出すことは困難。他の手を考えなければならない。
「い、いきなり石壁が現れたぞ!」
「新兵器か!?」
誰かが叫んでいるようだが今は聞いている余裕がない。使えそうな魔法を考えていた。
「ああもう、やるしか無いのか!」
今の状況で和解は難しそうだ。
俺も来て早々死ぬわけにはいかないし、覚悟を決めるしかなかった。
「死んでも知らんからな。ファイアボール!」
頭上に火の玉を作り出し、1人の兵士に向かって飛ばした。だが、当たる寸前で何かに当り、破裂して消滅した。
「な、何だ!?」
当たる瞬間、何かが目の前に出現して防いだみたいだ。
「敵が反撃したぞ! シールドジェネレーターの出力を最大にしろ!」
背中のランドセルが強く輝くと、兵士の周りに青白い膜? 見たいのが現れた。
「シールド? あれが魔法を防いだ原因か」
ファイアボールを無数に飛ばしてみたが、全てシールドに弾かれ、誰ひとり直撃することはできなかった。
「敵の兵器の威力はたいしたことはない! このまま叩き込むぞ!」
「「おお!」」
兵士達が力強い声で気勢を上げる。チャンスとみたか。
攻撃が激しさを増した。
「魔法が効かないとは。物理的な攻撃は無理ということか」
ファイアボールで駄目なら他の魔法も駄目だということだ。
風魔法も同じようなものだし、水魔法も土魔法も物理攻撃だ。
試しに土魔法のストーンバレット、石の塊を撃ってみたが同じように弾かれた。
「チッ!。魔法が駄目とは。確かに魔法は役に立たない。文明が進むということはこれほど厄介なことなのか!」
神様が『魔法は廃れている』と言った理由がわかった。
これではダメージを与えることはできない。
だが、これは初級魔法。これが駄目ならそれ以上の物を食らわせればいい。
ちょっと派手になるが上級魔法を使うことにした。
「火の中を踊る精霊よ、風の中を舞う精霊よ、我に力を……ファイアストーム!」
炎と風の複合魔法だ。
竜巻に火を巻き付けて火力上げ、広範囲にダメージを与える。囲まれている状況では有効な魔法だ。
「ひ、火の竜巻だ! 避難しろ!」
隊長らしき者が指示を出すが、もう遅い。
辺り一面は火の海になった。
逃げようとしたが強風で歩くことさえままならず、蹲るしかない。
「お、おい! このままはでシールドが保たんぞ!」
シールドが悲鳴を上げているのか、激しく点滅していた。
「こ、これは奴らの新兵器か! 耐えろ! 長く続くはずがない! 凌ぎきれば勝機は必ずある! このような兵器、何度も使えるわけがないからな!」
隊長みたいな人物が叫んでいるが、甘い。
この魔法は俺の魔力が続く限り消えないのでな。後10分は余裕で持つぞ、ハハハ。
耐えられるかな?
すでに火花が出ているランドセルもある。
「駄目だーっ!!」
1人のランドセルが爆発するとシールドが消え、それと同時に体を炎が包む込む。
「た、助けてくれーー!!」
のたうち回っているが消える訳でも無く、やがて動かなくなり徐々に黒ずみになっていった。
「バ、バックパックがもう保たない!!」
兵士の1人が叫ぶと、次から次へとランドセルが爆発し、死体が増えていった。
長時間の持続ダメージは耐えられないのだろう。
確かにシールドは魔法にも有効だが、しかし、耐久時間に問題あり、といったところか。
気が付くと立っている者はおらず、全滅していた。
「はぁ、戦う気は無かったのにな……」
ちょっと申し訳なく思うが、俺の方から手を出したわけではないからね。
恨まないでほしい。
魔法を止めると辺りには人らしき物が転がっていた。
装備の一部がかろうじて残っていたおかげで、それが人だった物とわかるが、無ければただの炭の塊。原型を留めている死体は皆無だった。
「魔法が役に立たないかと心配したが、杞憂でよかったよ」
科学が発展しても上級魔法なら通用する。それが証明できただけでも戦ったかいがあったというものだ。こいつらには悪いことをしたが。
「しかし困ったな。今日は野宿確定か?」
空を見上げると戦闘は既に終了し、巨大な飛行船だけが浮いていた。
先程『レジスタンス』とか兵士が言っていた事から、革命軍と軍隊が戦っていたということだろう。そして戦闘機側がレジスタンスで負けたということだ。
やれやれだな。
何か情報が無いか、墜落した戦闘機の所まで戻ることにした。
ご覧いただきありがとうございます。
ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。