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第58話 ザイラ・バーツ大佐の作戦②


「艦が盗まれて男爵殿は怒っていたが、これも最初から計画の内。男爵殿には知らせてなかったが。フフフ」


そう言って嬉しそうに笑う大佐。

味方を騙せて喜んでいるのだ。


「それは戦艦が逃げればの話だ。帝国軍の戦力があれば戦艦の1隻など簡単に沈められる。上手く行くはずが無い」


大佐はニヤつきながら俺の話を聞いている。

これほど苛つくことは無い。


「それでも構わないさ。沈んだら沈んだで結構。そこに集まってくれることに意味があるのだから」


戦艦が亜空間ハイウェーがある宙域に行けば帝国軍の艦隊が集まってくる。最重要施設だ。嫌でも警備が強化されるだろう。それを狙っての作戦ということか。

まさかそこまで考えているとは。


「だが、今はまだドラギニス艦隊が来ていないのでね。領主殿に知られたくはないのだよ。だからコピーしたデータを返して貰おう」


大佐の作戦はわかった。

盗んだ戦艦が帝国軍と揉めている間にドラギニス軍を星系内に入れ、この惑星を占拠する。

だが、その前に領主殿に知られ別部隊が来られたら難しくなる。だからデータを回収したいのだ。


「悪いがデータは無い」

「無い?」

「もう渡した。俺の信頼する部下にね」

「写真に映っている彼かね?」

「それは教えられない。軍事秘密というやつだ」


そうやってニヤッと笑う。


「だが、大尉の部屋を見張っていた密偵からは、それらしき人物が入ったと報告は受けていないが……嘘か?」


俺は答えない。

教えてやる必要はないからだ。


「まあ、持っていても亜空間通信が使えなければ意味が無い。領主殿には届かないのでな」


大佐は送る手段が無いと思っているようだ。

だが、それは大きな間違いだ。

直ぐに送れなくても届ける方法はある。当然、口には出さないが。


兵士が近寄り両手に手錠を掛けた。

ここにいる兵士は大佐の子飼いの連中だ。俺の言うことは聞かない。


「直にこの男も捕まる。それまでは大人しく牢屋にでも入っていろ。食事ぐらいは良い物を出してやるからな」

「俺を殺さないのか?」

「殺したらお前の部下が騒ぐだろ? それでクーデターでも起こされたら厄介だからな。しばらくは生かしておく。お前は保険みたいなものだ」


俺の部下が反旗を翻す恐れがあるから生かしておくと。

生きていれば迂闊なことはできない。そう睨んでいるのだ。

考えすぎかも知れないが可能性はゼロでは無い。大佐の悪事は隊の殆どが知っている。俺が殺されたと知れたら騒ぎ出すはずだ。

賢明な判断だな。


「勿体ないな。そこまで優秀なのに」

「優秀だけでは軍では生きていけないのだよ。狡賢くなければな」


部下に指示を出すと、俺は部屋から連れ出された。

どこに収監されるか聞いていないが、殺されないと分かっただけでも安心した。




「大佐。革命軍の作戦ですが、陽動作戦でくるそうです」


部屋を探索していると若い兵士が報告に来た。新しい情報を持ってきたのだ。


「陽動作戦?」

「はい。巡洋艦を先に出して、そちらに艦が集まるように誘導するそうです」

「ふん、面倒な……」


何もせず行かせてもよいのだが、何もしないというのも、それはそれで怪しまれる。この情報を知っている者からすれば、叩くチャンスなのだから。

今はまだ裏切っていることを知られるわけにはいかない。駐留している兵士全員が、俺を信頼しているわけではないのでな。


「では、そちらに艦を集めて、1部隊だけ攻撃に向かわせろ」

「よろしいのですか? 落とされる可能性も」

「そのために1部隊だけにしたのだ。それで落ちるようなら他の手を考える。帝国軍に気づかれずドラギニス公国の艦隊を呼ぶ方法はある。今回は革命軍の作戦を利用させて貰っただけだからな」


元々は盗まれた戦艦を帝国軍にぶつけている間に呼ぶ予定だったが、それを革命軍が代わりにやってくれることになった。まさかここまで上手くいくとは。

革命軍に感謝だな。

だが、ここで艦が沈むと作戦は最初から練り直しになる。とはいえやることは変わらない。注意を他に引きつけ、その間にドラギニス軍には星系内に入って貰う。

その注意を引く物がもう一隻あるのでね。

手土産はなくなってしまうが、これも俺のため。勿体ないが犠牲になって貰おうか。


「戦闘が終わり次第報告を。もし革命軍が逃げ延びたようなら、次の手を打たないといけないのでな。彼らにはもっと働いて貰わねば。フフフ」


結局、データは見つからず、忌々しい表情を浮かべながら部屋を出るのだった。

その様子を遠くから見ていた人物がいたのも気付かずに。



ご覧いただきありがとうございます。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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