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第55話 つかの間の休憩


休憩室で休んでいると、次々とクルーが集まってきた。

第1戦闘配備が解除され、みんな休憩に来たのだ。

その中にブリッジで働いてるエミリーの姿もあった。


「シューイチも休憩?」


俺の前に座ると、ピンク色をした紅茶みたいな物を美味しそうに飲み出した。臭いからして紅茶だと思うが、どう見ても体に悪そうな気がして手が出なかった物だ。

それを目の前で飲まれるとこっちのお茶まで不味くなる。まぁ、俺が飲んでいるのも青色した紅茶みたいな物なので、同じといえば同じなんだか。

この世界で未だに慣れないのは飲み物の色。カラフルな物が多くて困る。

珈琲みたいな物が赤かったり、オレンジジュース見たいなのが白かったりと、どうしても慣れ親しんだ物が違う色だと戸惑うのだ。

それで不味ければ飲まないのだが、これが結構美味しかったりするので困ったりもする。

飲まず嫌いというのも何なのでいつかは飲みたいが、それでも慣れるまではまだまだ時間が掛かりそうだ。


「第1戦闘配置が解除されたのでお茶を飲みに。戦闘は終わったのか?」

「ええ、何とか。かなり危なかったけどね」


ジェネレーターの出力が上がらず、かなり危険な状態だったと説明した。


「でも、突然出力が上がり何とかなったわ。運が良かったわ」


疲れた表情で話す姿を見ると、本当に大変だったのだろう。

周りのクルーを見ても、みんな疲れ切った表情を浮かべていた。


「運ね……」


確かにあの時にダンジョンコアが声を掛けてこなかったらどうなっていたか。

そういう意味では、運が良かったのかも知れない。


「シューイチは何をしていたの?」

「俺か? 俺は邪魔にならないよう部屋に籠もって電子書籍を読んでいたよ。この世界の事を知るには本が一番だからね」


本当の事は言えないので誤魔化したが、知識を得るという意味では本当のことだった。


「そう、良いわね。気楽で。こっちは寿命が縮まる思いをしていたのに」

「ハハハ……」


ジト目で睨まれた。本当はこの船を助けたんだけどね。

コアに魔力を流さなかったら今頃は沈んでいたかもしれないが、そんなことは言えない。

黙っているしか無かった。


時々、本当の事を話せば、と思う時がある。

だが、そんなことをすれば古代船を所有している国から狙われる可能性が高くなる。

魔力を注げるのは今のところ俺だけみたいだからな。

それに監視されるのも嫌だし、何かと絡まれるのもなあ……。

スローライフを目指す俺としては関わりたくはない。これが本音だ。

だが、もう遅いけど。

だから、隠し通せる間は何も言わず黙っていることにした。

バレるまでは。


「この後は?」

「ワープをして星系外に駐留している帝国軍に接触する予定。上手くいけば亜空間ハイウェーが使えるかも知れないからね」


それが使えれば移動日数を大幅に減らすことができる。

かなり期待しているようだが、そう上手くいくだろうか?

今の状況を考えると無理そうな気がするが……。


「今度は帝国軍と戦うことになるのか……」


やれやれ、という感じでボソッと呟いた。


「ん、何か言った?」

「いや、何でも無い」


両手を振って誤魔化した。

確証が無いが、そんな気がしたからだ。


「それで、そこまで行くのにどのくらい時間が掛かるんだ?」

「さあ、私にも分からないわ。博士によると、今はジェネレーターの出力が安定しているから結構な長時間を飛べるのではないかということだけど、正確な日数までは分からないと言っていたわね。古代船だからスピードも違うし、他の船のデータは役に立たないと」


ワープのことを詳しく聞いたが、無限に飛び続けられるわけでは無いという話だ。

チャージしてあるエネルギーが切れればそこで終わるわけで、エネルギーが続く限りは飛び続けることができる。

一般の船はジェネレーターで作られるエネルギーよりも、ワープで消費するエネルギーの方が多いので、どうしても途中でチャージしなければならない。だから、何回かに分けて飛ぶことになるという。

ただ古代船の場合は、ワープで使うエネルギーよりも作られるエネルギーの方が多いので、止まらず飛ぶことが可能と言うが、長時間の航行はワープ装置に負荷が掛かるので、途中で休ませる必要があると言ってた。

だから、飛んでみるまでは正確な日数は分からないと。


「古代船も機械だからね。途中で整備は必要よ。ワープ装置が壊れたら着くまで何年もかかってしまうから無理はさせられないのよ」

「なるほどね……」

「でも普通よりは早いと思うわよ。チャージする回数が減るわけだから。でもまぁ、それでも2.3日減るだけだと思うけどね」


あまり期待していないのか、そう言って肩を窄めてみせる。

それでも早く着くには越したことがないが、だが、不安が無いわけでない。


「追っ手の方はどうだ?」

「今のところ無いわね」

「それはそれで気になるな……」

「どうして?」

「だって俺たちが向かう先はもう分かっているのだろ? だったら全力で阻止に来なければ身の破滅になる。悪事が露見するわけだから。だったらゆっくりしている余裕など無いはずだ。追っ手を直ぐに差し向けて沈めに来るだろう。普通なら」

「んー、そう言われるとそうよね。なぜ、追っ手が来ないのかしら?」


首を傾げて不思議がる。

警報が鳴らないということは、現時点でレーダーに反応が無いということだ。追っ手を差し向けている気配はない。

ちょっと不気味に思えた。


「もしかしたら、どっかで待ち伏しているのかも知れないな……」

「この先でってこと?」


俺は頷く。


「目的地がわかっているのであれば、先回りはできる。それに星系軍だって、あの惑星だけにいるわけでは無いだろ? 他の惑星にも駐留しているわけだし、そっちから回せば俺たちよりも早く着く。何も追いかけてくる必要は無いわけだ」


この星系にはいくつかの惑星があって、星系軍は重要な拠点には駐留している。

特に有益な鉱石資源がある小惑星帯には、星系軍が巡回しているはずだ。宇宙海賊に狙われやすいから。

そういった艦隊を回すことは可能だ。

追いかけてくる必要はない。


「なるほどね、その可能性はあるわ。後でグランバーと相談してみるわ」

「言わなくてもグランバーならそのぐらい分かっていると思うが」

「そうね。念のためによ」

「まぁ、任すよ。俺の取り越し苦労なら良いがね」


余裕が無くて来られないのであれば良いが、それ以外にも手段があるから追ってこないということも考えられる。

まぁ、深く考えてもしょうがない。来た時に考えればいいさ、グランバーが。



ご覧いただきありがとうございます。

ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。

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