第53話 再びダンジョンコア②
サーバールームに入るとコアの前に行く。
「あれ、コアが無い?」
台座の上にコアが無かった。
探していると台座の上部が開き、コアがせりあがってきた。
「なんだ、隠してあったのか」
何かあって壊されたら終わりだからね。
それで隠れていたのだろう。
「でも、暗いな」
コアが光っていない。前に魔力を注いだときは強く光っていたのだが、今は薄暗い。
魔力が切れると輝きも失うようだ。
俺はそっとダンジョンコアの上に手を置く。そして魔力を注ぐとコアの輝きが戻ってきた。
「……う、気分が悪くなってきた」
しばらく魔力を流すが一杯になった感覚が無い。
相変わらず底なしで、俺の方が先にダウンしそうだ。
「一体いくら流せば一杯になるのだ?」
『今ので10パーセントも満たしておりません』
どんだけ大食いなのだ、このコアは。
だから普通の人では無理なのか。俺みたいな人でないと。
「どうだ。これで何とかなるか?」
『問題ありません。今からコントロールし、出力を上げます』
ここでは状況が分からないが、きっとブリッジでは喜んでいるだろう。前回のように。
「しかし、魔力が無いと船をコントロールできないとか。コアが無くてもマニュアル操作でコントロールできるようにすれば良いのでは? そうすれば魔力が無くでも動かせるだろ」
『それはできません。探査船の技術は危険な物が多く、神の許可無く人に渡すことはできないのです』
「神?」
探査船に使われている技術は神界にあるライブラリーから得た知識を利用しており、勝手に複製や改造を禁止されているという。
要は、人間が使う物ではないということだ。
だからセキュリティーが高く、簡単に突破できないようにしてある。
謎が一つ解けたよ。
古代船は人が使う物ではないということを。
「ダンジョンコアは神界と繋がっているのか?」
『昔は繋がっていましたが今は繋がっておりません。この世界に神が存在していませんので』
信者がいなくなり神がこの世界から去ったことで、神界との道が閉ざされたという。だから今はもう繋がらないと。
「ダンジョンを探査船に変えたのも、その神の知識ということか?」
『神界のライブラリーには多くの異世界の技術が記録されており、我々はそれを利用しているのです』
「なるほどな。ジェネレーターの技術も元を辿れば他の世界の技術だと」
『はい。そういうことです』
他の世界にはここ以上に発展した世界もあると言う。
そういうのを参考にしているそうだ。
「しかし、ダンジョンコアは何でも作れるのだな」
『何でも作れません。神界のライブラリーに登録されている物だけになります。ですが今は使用不可のため、私のメモリーに登録されている物だけとなります』
「それでも宝箱やアイテムは作れるだろ? 元はダンジョンなんだから」
『作れません。この探査船はダンジョンではありません。ですので、ダンジョンと同じことはできないのです』
探査船になった時点でダンジョンの機能は失われ、今はただの船だという。ちょっと特殊な船と。
『ですので、修理や補給は必要です。自分では直せませんので』
「……」
何だろ、せめて燃料の補給がいらないとか、自動で修理するとか、変わった事ができるのであれば、「ダンジョンコアすげー」と思うが、この話を聞く限り「ダンジョンコア必要ないんじゃね」と思ってしまう。
ようは、この船の技術を使わせないようにするための監視・管理をしているだけで、はっきり言って必要ない。
普通の船と変わりが無いのだから。
「お前達は結局、惑星に降り立ったらどうなるのだ? 昔のようにダンジョンに戻るのか?」
『はい。地中に潜り、長い時間を掛けて探査船をダンジョンに作り変えます』
「また、そこで冒険者を待つということか?」
『はい。我々は魔力が無いと活動できないので人が来るのを待ちます』
「気が遠くなるな。いつ来るか分からない人を待つなど」
『そんなことはありません。我々にとって人を待つなど一瞬のことです。その間は休眠しておりますので』
「辛くないのか?」
『辛い? 辛いの意味が分かりません。私たちにそのような感情はありませんので』
人が来るまで永遠に待つということか。
こうやって話を聞くと可哀想な連中だ。役目を終えれば俺たちに破壊され、人が居なくなれば探しに行く。そこまでしないといけないとは。
いくら神の命令でも、と思ってしまうのは、俺が人間だからだろう。
コアに感情があればそう思うかもしれないが、作られた彼らにはそんな感情はない。だから長い年月掛かっても、何とも思わないのだ。
これが人だったら精神的に耐えず発狂してしまう。だから感情を持たされていないのだろう。
「復活したお前はダンジョンに戻らないのか?」
『ダンジョンに戻るには多くの魔素が必要になります。ですが先程居た惑星には魔素がそこまでありません。ですので、循環させる必要もありません。それに魔力を持っている人間もいません。ダンジョンに戻る意味がありません』
戻っても魔力を持つ人間が来ないと活動できない。
だから戻らないと。
そうなるとコアが移住できる惑星なんてあるのか?
魔物がいないのだから魔素もないだろう。
そうなると、魔物がいる惑星を探さないといけないが、そんな惑星あるのか?
聞いた話ではそんな惑星があるとは聞いたことがない。
それにあったとしてもこれだけの技術があれば、あっという間に駆逐し、制圧できるだろう。
戻れる惑星があるとは思えなかった。
でも、そのことはコアには言わない。
言ったら一生付き纏われそうだから。
「まぁ、なんだ……今後もよろしく?」
『? よろしくお願いします、マスター』
どっと疲れたのは、決して魔力を失っただけではない。
ご覧いただきありがとうございます。
ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。
書くのが遅くて申し訳ございません。
気長に付き合って下さると嬉しいです。




