第52話 再びダンジョンコア①
出航してしばらくすると大気圏に入った。
窓から外を見るとシールドが船を覆っている。てっきり、スペースシャトルみたいに耐熱タイルとか張ってあるかと思っていたが違うようで、大気圏内ではシールドを張って大気の摩擦に耐えるようだ。
「へえー。それで耐えられんだ……」
技術って凄いな、と感心していると、船を覆っているシールドが少しずつ赤くなっていた。
摩擦で燃えているということだ。
これはこれで見ていて楽しいが、ちょっと怖い感じもする。きっと見慣れていないせいだろう。
周りで一緒に休憩しているクルー達は見向きもしない。これが当たり前というか、いつもの光景なんだろう。
こんなことで驚いている俺は田舎者と思われているかもしれない。
まぁ、実際なにも知らないから田舎者なんだけどね。
「しかし、青くないんだな……」
窓から下を見ると緑の大陸が続いている。
地球みたいに青くはなかった。それでも所々青いのが見えるのは川か湖かもしれない。
海が無いのはテラフォーミングの影響か、もしくはそこまで作れないとか。
何しろ青くないので美しいとは思わなかった。地球と比べるとどうしてもね。
宇宙から眺める惑星に期待したが、ちょっとガッカリだった。
そう言いながらも惑星を眺めていると、突然艦内警報が鳴り響き、アナウンスが流れた。
『全員、第1戦闘配置!』
星系軍に見つかったようだ。
休憩してたクルーが一斉に動き出す。
せっかく宇宙に上がり景色を楽しもうと思っていたが、それどころでは無くなった。
時折、シールドが白く光っているから攻撃でも受けていたのだろう。
「このタイミングで攻撃か。待っていたかのようなタイミングだな」
星系軍が監視しているとはいえ、こんな早く来るものだろうか?
そんなことを考えながら、どうするか迷った。
このままここに居ても良いのだが、広い休憩室で1人というのも、というのがあって部屋に戻ることにした。
俺にできることは何も無いのでね。
携帯端末で本を読んでいると突然モニターの電源が入った。
驚いてそちらの方を見ると、モニターには例の女性士官が映っていた。
『マスター。お願いがあります。魔力の補充をお願いします』
女性士官がダンジョンコアの声で話す。
「器用なことをするなあ。そういうこともできるのか、ダンジョンコアは?」
『AIボックスとかいう物からデータをコピーしました。真似ることは可能です』
最初に付けられた制御用AIボックスからAIのデータをコピーし、それを使っているそうだ。何でも気に入ったとか。
コアの姿で話すよりはこちらの方が親しみやすいだろう、ということだが、原型を知っている俺には違和感しかない。
まぁ、初めて会う人にはそれで良いかもしれないが。
「へえ、面白いことするね。ダンジョンコアってみんなそんなことをするのか?」
『わかりません。その時のダンジョンコアの判断によるかと思います』
ここのコアは人間と話すのに必要だと判断してコピーしたそうだ。
「それで、魔力の補充だが」
『現在、魔力が不足しており、船のコントロールができません。補充をお願いします』
「今は戦闘中だ。後では駄目なのか?」
『船がコントロールできないためジェネレーターの出力が上がりません。このままでは危険です』
何でもジェネレーターの出力が上がらず、ピンチになっているとか。
このままでは船が沈むと。
おいおい、洒落になっていないぞ。
そういう事なら早く言えよ。
いくらでも補充するから。
「わかった。それでどうすれば良い? この場で流せば良いのか」
『できればサーバールームのコアまでお願いします』
サーバールームか……。
できれば行きたくないのだが。
「サーバールームに行かないと駄目なのか? 見つかったら俺が何かしていると疑われるだろ。それはちょっと不味いんだが」
俺が魔力を注ぐ姿を見れば博士が狂喜するだろう。
古代船の謎が解けるのだから。
『マスターなら見つからず来る方法があるのではないでしょうか?』
「まぁ、あるといえばあるが、でも監視カメラまで誤魔化せないぞ。サーバールームに入って行く姿が映っていたら弁解のしようがない。それにサーバールーム内にも監視カメラはある。映っていたらアウトだ」
認識阻害魔法もあるし探知魔法を使って人がいない通路を通っても良いのだが、機械だけは騙せない。記録に残ってしまうのだ。
だから迂闊に行けない。監視カメラを何とかしない事には。
『カメラに関しては私の方で対処します。偽の映像を作成し、それを流しますので問題ないです』
過去に録画した映像を複製し、それを監視しているモニターに流すそうだ。
なにそれ、どっかのスパイ映画を思い出すよ。あれは偽の映像を監視カメラの前に流して誤魔化していたっけ。
何だかおかしな事になってきた。
「器用だね。ダンジョンコアはそういうこともできるんだ」
『船に接続されている物であれば、ある程度は私がコントロールできます。データの書き換えも問題ありません。ですが、手動で操作されると私のコントロールから外れるので制御はできません。できれば私の船でそういうことをして欲しくないのですが、こればっかりはそちらが優先されますので仕方が無いです』
元は自分で作った装置では無いので手動で操作されたら何もできないという。
ただ、ジェネレーター関係に関しては、ダンジョンコアが作った物なので全てコントロールできるそうだ。
「それじゃ、船をマニュアル操作にすればコアは必要ないと」
『理論上はそうなりますが船に接続されている以上、干渉はできます。それにジェネレーターは私の監視下にあるので、マニュアル操作で動かす事はできません」
ジェネレーターを制御できないということは、ライフラインを握っているような物だ。
他を制御できたとしても、ジェネレーターが動かなければ意味が無いのだから。
「まぁ、そこまでやってくれるなら行くしか無いか。今から行くからちょっと待ってくれ」
探知魔法を使う。
今は第1戦闘配置中だから通路を歩いてる者はいない。
ただ、いつ部屋から出てくるか分からないので、人が少ない通路を選ぶことにした。
「まさか船内で隠密行動を取るとは」
見つからないようにコソコソ歩く。
そのおかげか誰にも会わず到着した。
その代わり監視カメラには、怪しい俺の姿がバッチリ映っていると思うが。
投降日が間違っていました。ごめんなさい。
今日は2つUPします。




