第45話 作戦内容①
「ロズルトから連絡が来たわ……第1ホールに集まって欲しいって」
飽きもせず魔法の訓練をしているエミリーが話しかけてきた。
あれからも練習を続けているが発動まではいかない。やはり魔力が低くてそこまでいかないのだ。
だが、魔力を感じられるようにはなったので、後は自在に動かすこと。今はそれに集中しているところだ。
「何の用事だ?」
「次の作戦についてじゃないかしら? 私も詳しくは聞いていないけど、取りあえずクルーは集まったみたいだから」
クルー集めに難航していると聞いていたが目処が立ったのか。
戦艦を動かせる人となると限られてくる。
探してもそう集まるものではないからな。
「ところで俺の戸籍はいつ貰えるのだ?」
連絡は全てエミリーの端末に来るようになっている。戸籍が無いので通信会社と契約ができない状態なのだ。さすがにそれは不便なので何とかしたいのだが。
「さあ?」
そう言って首を傾げる。
エミリーも知らないようだ。
くれると言っているのだから、それを信用して待つしか無いか。
言われた通りに第1ホールに行くと、既に他のメンバーが集まっていた。
今回、戦艦に乗るクルーのようで50人近くがいた。
「大勢いるんだな」
「そう? これでも少ないと思うわ」
戦艦を動かすには最低100人以上は必要だという。
オペレーター以外にも整備士や雑務をこなす人など、この人数では足りないそうだ。
ある程度はAIで補えるが、正常に稼働しているかの確認は目視が必要で、各機関に人を配置しておく必要がある。それにAIで動かせないときはマニュアルで動かす必要もあるので人手は必要になるそうだ。
「それじゃ、この人数では動かせないと?」
「動かせないということは無いけど、何かあった時は対応できないと思うわ。だからもっと人を集めると思うけどね。それに、ここにいる人だけが全てでは無いと思うわよ。来れない人もいると思うから」
ああ、用事があって来られない人もいるから、この人数だけではないと。
それなら安心した。
人手不足で俺まで駆り出されてはたまったものではないからな。
俺たちも空いている席に座り、始まるのを待つ。
すると、少し遅れてグランバーが入ってきた。大股で歩き壇上に立つと、鋭い視線で全員をゆっくり見渡していた。
「忙しいところ集まって貰って感謝する。今回の作戦を立案したグランバーだ。早速だが貴公らに作戦を伝える」
会場に響き渡るよう大きな声で話す。
今日はグランバーだけでリーダーのミチェイエルの姿はなかった。
「我々は戦艦ウリウスに乗って惑星外に出る。そして帝国軍と連絡を取り、場合によっては領都に向かうことになる」
周りがザワつき出した。言っている意味が分からないからだ。
グランバーは右手を上げ、静かになるのを待ってから話を続けた。
「代官のブラトジール男爵がやっていることは誰でも知っていると思うが、増税に造艦。どれも代行としての権限を越えている。だから、それを領主殿に知らせるのが目的だ。そしてそれで内戦が起きている事も伝える予定だ」
代官の仕事は内政だけで星系軍のトップは領主になる。なので軍備の増強や補給などは領主が行うことになる。勝手にやることはできない。
それに増税も領主の許可がいる。あくまでも代官は預かっている身なので勝手なことは許されないのだ。
そういえば前にエミリーが言っていた事を思い出した。
ベルカジーニ伯爵と戦うために資金を集めていると。
はっきり言ってそれは謀反だ。
だからそれも知らせるのだろう。今更の気がするが。
「ベルカジーニ伯爵は我々との内戦は知らないのか?」
俺は手を上げて質問した。
「恐らく知らないだろう。でなければとっくに増援が来て我々は壊滅している。それだけの戦力が向こうにはあるのだ。それが無いということは、そういうことだろう」
グランバーの話によると、虚偽の報告をして誤魔化しているそうだ。戦っているのはレジスタンスではなく、ドラギニス公国にして。
「おいおい、そんな嘘、直ぐにバレるだろ?」
「フフフ。それがバレていないのだ。情報部が調べたところ、星系軍の幹部でやけに金回りのよい奴が数人いた。政務次官のマッシュ・ロザースと指揮官で大佐のザイラ・バーツ。この2人が代官から金を貰って虚偽の報告をしているようだ」
指揮官のザイラ・バーツ大佐が虚偽の報告書を作成し、その内容を監査役の政務次官マッシュ・ロザースが承認する。
このトップ2人が組めば、虚偽の報告書を書いても、すんなり通るということだ。気が付く人はいないと。
そこまで星系軍が腐っているとは思わなかった。
ご覧いただきありがとうございます。
ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。
書くのが遅くて申し訳ございません。
気長に付き合って下さると嬉しいです。




