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第44話 この世界の冒険者


あれから2週間が過ぎた。

その間は、訓練用のシミュレーターで戦闘機の操縦を習っていた。暇なので。

というのは冗談で、俺も戦闘機に乗って見たかった、というのが本音だ。

ロズルトに無理を言ってお願いしたところ、すんなりと許可が下りた。

それで訓練をしているのだが、意外と難しくは無かった。

日本のゲームで慣れていたというのと、きっと元勇者ということで身体能力が高かった事が原因だろう。反射速度も、人の倍以上の数値を叩きだしていた。


「チートだな」


一番レベルが高い敵でも瞬殺だった。


「戦艦など乗らず、うちで働かないか? その戦闘技術があれば、直ぐにトップになれるぞ」


先生をしてくれたレジスタンスの仲間から御墨付きを貰ったが断った。

俺は自由に乗りたいのでね。

仲間になるつもりは無い。


今は小型の戦闘艦で訓練している。とは言ってもこれもシミュレーションで本物では無いが、基本的なことは学べると言うことで教えて貰っている。


「いいか、生命維持装置は必ず出航前に点検すること。命に関わることだからな」


レジスタンスの仲間で、元は冒険者というローズが教えてくれた。


「この世界にも冒険者がいるのか?」

「冒険者は居るぞ。ただ、君が思っている冒険者とはちょっと違うかもしれないが、俺が言う冒険者は未開拓宇宙地域に行き、新しい惑星や資源を見つけることだ。1つ見つければ一生遊んで暮らせる金が手に入る。一攫千金を夢見ている連中のことだ」


魔物を狩る冒険者のことではないのか。

だが、一攫千金を狙うという意味では同じかも知れない。

高ランクの魔物から得られるアイテムを狙って、無謀にも挑んでいる冒険者はいた。

手に入れば大金を得られるが失敗すれば命を失う。

どこの世界でも、そういう連中は一定数いるということだ。


「へえ、そんな職業があるのか……」

「ああ。見返りは大きいがその分、死ぬリスクも高いがね」


誰もいない宙域なので船が故障したら終わりとのことだ。

救難信号を送っても届かないし、近くに船など通らない。

無限の宇宙を彷徨うだけだという。

それに補給も受けられないので、無茶な計画は立てられない。何も見つからなくても帰らないといけないのは屈辱的な思いだと語った。

金だけ掛かって実入りがないのだからと。

それでも楽しく話している所を見ると後悔はしてないようだ。


「それでも又行くのだろ?」

「そりゃそうさ。有益な資源が見つかれば、それだけで一生遊んで暮らせるのだ。辞められるわけがないだろ。それで大金を手に入れて両親と一緒に他の惑星に住むのさ。平和な惑星にね」


おいおい、おかしな事を言うなよ。変なフラグが立ちそうで怖いのだが。

でもその前に、今の内戦を終わらせないといけないが。

まぁ、夢を見ることは悪いことではないのでね。


「次に水と食料の確認だ。トラブルがあって救難信号を送っても直ぐに助けてくれるとは限らない。だから食料は余裕をもって持って行くこと。最低でも3ヶ月分はあった方が良い。これも命に関わることだから」


こうしてレクチャーが進んでいき、注意事項は概ね聞いた。

後は操縦についてだが、これは戦闘機と同じような感じなので難しくは無かったが、小回りがきかない分、注意が必要だった。


「戦闘艦の方が火力が高いな……」


シミュレーターで使っている小型の戦闘艦は改造が無い標準艦なんだそうだが、小型のレーザ砲が4門と中型のレーザー砲が2門付いていた。それとミサイルポットが2つと。

ミサイルは接近戦用なので、殆ど使うことはない。

一方、戦闘機は小型のレーザー砲と4発のミサイルしか装備できない。だから一発一発の威力は低く、手数でシールドをダウンさせなければならない。それが凄く面倒だった。


「船の大きさからいってそれは仕方が無い。そもそも戦闘機は小回りがきかない巡洋艦や戦艦を相手にする物だからね、スピードが重視されている。攻撃力は期待されていない」


火力が高い戦艦では一発当たれば致命傷だ。

だから、スピードが重視され、火力は二の次になる。それは仕方が無いことだと言った。


「それに戦闘機は長距離移動はできない。ワープ機能は無いのでね。だから使うなら母艦が必要になる。中型艦クラスの母艦が。戦闘機自体の価格は安いが、母艦とセットとなると余計な費用が掛かる。それなら最初からある程度装備が整っている小型艦を買った方が安い。だから、最初は戦闘機ではなく小型艦を買うことを勧めるよ」


いくら戦闘機の戦闘技術が高くても、商売で使うのは向いていない。

宇宙で商売をするなら小型艦を買えということだ。

俺としては戦闘機のスピード感が好きなんだが。

まぁ、今、考える事でもないので頷いておいた。


「大体の説明は終わったが、基本的な事は船に搭載されているAIがやってくれる。戦艦に積んである物と違うが、慣れれば、それだけで十分だ。いいか、必ず出航する前にセルフチェックは忘れるなよ。電気系統に異常があったら終わりだからな」


整備についてだが、昔の船と違い頻繁にする必要は無いそうだが、異常があった場合は直ぐに修理をすることを勧められた。命に関わることだから疎かにしてはいけないと。


「後は宇宙海賊だが、奴らは積荷を奪うどころか、船や乗員乗客を攫って売り飛ばしているからね、気を付けることだ」

「宇宙海賊?」


宇宙には積荷を狙って襲ってくる輩がいるそうで、戦闘艦なら自分から襲ってくる海賊は少ないが、商船だと襲われる確率が高くなる。

商売をするなら護衛を雇うことを薦められた。


「そういう連中がいるのか?」

「星系軍が目を光らせているが、それでも限界はある。奴らはそういう所を狙って襲ってくるので自衛は必要だ。護衛費をケチって襲われたら割に合わないぞ。商売をするのであれば、そういう費用も計算して依頼を受けないとな」


帝国軍は治安維持の為に宇宙海賊を取り締まっているが、それでも数が多すぎて対応できていないのが現状だという。

だから、それを狩る傭兵ギルドが存在するそうで、船と技術があるのであれば、そういう職業を選ぶのもありだと言った。


「奴らに出会ったら積極的に狩ることだ。生死を問わず報奨金が掛かっている海賊は多い。遠慮はいらないよ」


俺も命がかかっているのだから遠慮はしないけどな。


今回は宇宙船について教えてもらったが勉強になった。

これだけ知っていれば何とかなるだろう。

これも今後のために。


ご覧いただきありがとうございます。

ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。

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