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第43話 辞令


呼ばれてブリッジに行ったら博士は憮然としてた。

何がどうなっているのか、分からず、周りも混乱している。

その中でオズエルだけで冷静で、俺たちを笑顔で迎えてくれた。


「やあ、みんな来てくれたね。博士がご覧の通りなので、僕が代わって説明するよ。君たちが船を下りた後、また、船が動かなくなってね。どうしてそうなったか原因を調べているが、はっきり言って分からない。博士もログなど見て調べていたが原因が分からないのだ」


あれから色々と調べたが原因がわからず、お手上げ状態だと言う。

なるほど、それで憮然としていたのか。原因がわからないからと。


「制御用AIボックスの設定は、艦長をロズルトにしてあった。前回と同じように。だから起動したのではないかと言うことですが、博士」


バトンを渡された博士が、ムスッとしたままの表情で話の続きを始めた。


「ふむ。だが、制御用AIボックスは、後から付けた物でこの船本来の物ではない。なので付け替えは可能なのじゃが、誰を艦長に設定して動かない。唯一、動くのはロズルトだけなのじゃ。こんなこと聞いたことがない。艦長が固定など」


過去にそんな事例はないとのことだ。

それで頭を抱えていた。

そういえばダンジョンコアに、ここの船長はロズルトだ、と言った記憶があるが、まさかそれが原因で固定されているとか?

でも、そんなの関係ないようなことを言っていたし気のせいだろう……いや、気のせいだ、と思いたい。

ただ気になることも言っていたな。当分はあの機械に任せるとか何とか……。

もし、あの機械の設定をそのまま使っているとしたら、機械を換えても意味がない。ダンジョンコアが勝手に元の設定に戻しているのだから。きっと、ロズルト以外の命令は聞かないようにするために。

早まったことをしたかもしれない。


「AIに頼らなくても動かせるのだろ?」


俺はダンジョンコアに頼らずマニュアルで動かせば問題ない。そう思い質問した。

そうすれば艦長設定など関係なくなるのだから。


「人によるマニュアルなら起動するが、前回出したような出力を得ることはできんかった。星系軍が出した結果と同じ。ようは使い物にならんということじゃ」


マニュアル操作だと起動はするが出力はでないと。

恐らくダンジョンコアが何かしているのだろう。

そうとしか思えなかった。


「そういえばセキュリティーを解除し、リミッターを外さないと出力は上がらないと聞いたが」

「それは我々もやっているが思わしくない。セキュリティーのレベルが高すぎて突破できんのじゃ。はっきり言って過去一番のセキュリティーじゃ。今までの古代船ならもう少し出力が出せたんだが……」


恐らく眠っているダンジョンコアと、魔力を得て復活したダンジョンコアの違いだろう。

ダンジョンコアがセキュリティーを突破されないように何か細工しているのに違いない。

何だか博士のプライドがどんどんボロボロになっていく気がして、見ていて気の毒になってきた。


「それで、どうするのだ?」

「それは私から説明するわ」


声がして振り返ると、ミチェイエル女史が入口に立っていた。

いつの間にか来ていたようで博士達を除いた全員が驚いていた。俺は別だが。

俺は探知魔法があるので近づいてくれば直ぐに分かる。

ただ、誰かまではわからないので警戒はしていたが。


「貴方たちにはこの戦艦の乗って戦って貰うことになるわね」


みんなが驚いている。特に俺が。


「博士から聞きました。この戦艦を動かせるのは貴方たちしかいないと。だから貴方たちにはこの戦艦に乗って戦って貰うわ。もちろん貴方たち以外にもこの船に乗ってフォローする予定よ。貴方たちだけでは無理ですから」


乗艦経験者を募り、人を増やすそうだ。

だが、そう簡単に集まるのか?

戦艦など動かせる人など少ないと思うが。


「あの、ロズルトだけでは駄目なのでしょうか? 1人いれば良いのでは」


エミリーが、ちょっと申し訳なさそうにして質問した。

犠牲になるのはロズルト1人だけで良いということだ。


「駄目です。それだけが原因だとは限らないでしょ? 全員で乗って貰います」


そう言って俺を見つめている。

まぁ、確かにそうだけど。

ちょっと目を逸らした。


「俺は戦艦の艦長なんてやったことがないが」


ロズルトが不安そうな顔で話した。


「貴方は座っているだけで結構よ。指示は別な人が出すから。貴方はAIに指示を出して」


なるほど。ようはお飾りということか。

AIを起動させるための。


「正式な辞令は後日出すわ。貴方たちは今日から戦闘艦部隊に配属よ。良いわね」


みんな戸惑いながらも頷いた。まぁ、逆らえないからね。

リーダーの命令は絶対だろうから。


「ちょっといいかな。俺は関係ないと思うが」


場の空気を読まない俺が手を上げて言う。

はっきりいって俺は部外者。

従う理由は無い。


「いいえ、貴方にも乗って貰うわ。一番怪しいのは貴方ですから」


おや? 何か知っているのか?

ダンジョンコアに魔力を注いでいる姿は見られていないはずだが。

何を根拠にそういうのか疑問だった。


「でも、それでも従う理由はないだろ?」

「もちろんです。だから、ただとは言わないわ。それなりの報酬は出すつもりよ」


報酬か……。

戸籍は前回の件で貰える予定でし、今のところ欲しい物はお金ぐらいだが、それも戸籍が手に入れば何とかなるだろう。命を掛けてまで乗る必要はないな。


「それでも断るよ。お金と自分の命、天秤に掛けたら俺の命の方だ大事だからね」

「別にお金とは言っていないわ。要望があれば欲しいものを用意するわ。それでどうかしら? もちろん、お金でも構わないわよ。可能な限り用意するわ」


凄い好条件。どうしても乗って欲しいらしい。

お互い諦めが悪い。


「……考えておく」


即答は控えた。

今は欲しい物は無いのでね。


「作戦が始まるまではこの基地で待機。皆さん、よろしいですね?」


全員が頷いた。俺以外だけど。


「博士には悪いけど、整備して上がる準備をして下さい。次の作戦は宇宙ですから」


宇宙キター!

と叫びたかったが、ちょっと恥ずかしかったので自重した。

よれよりも宇宙か。

宇宙は星系軍が陣取っているので上がれないはずだが、何か作戦でもあるのだろうか?

なければ犬死にだな。

だが、ダンジョンコアが目覚めたのであれば、あるいは対抗できるのかも。

ダンジョンコアの戦闘力が分からないので何とも言えないが、なぜかと不安は感じなかった。



ご覧いただきありがとうございます。

ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。

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