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第41話 ブランニュー博士の実験①


船を奪取してから1週間が過ぎた。

あのまま基地に居てもやることが無く、邪魔になるので、第19都市の中にあるレジスタンスの隠れ家に移動してきたのだが、こちらでもやることが無く暇を持て余していた。


「頑張るね。もう魔法を覚えなくても良いのだから辞めたらどう?」


俺の戸籍はエミリーとは関係なく貰えることになった。だから、エミリーが魔法を覚える必要も無くなり訓練する必要はないのだが、なぜか未だに続けている。最初の頃は嫌がっていたのに。


「いいえ、やるわ。せっかくの機会だし、魔法が使えたら便利でしょ? だから続けるわ」


どうも俺が使った認識阻害魔法、インヒビションが気に入ったようで、習得しようと頑張っているみたいだ。

あれだけ堂々と歩いて見つからなかったからね。使いたくなる気持ちも分からないでは無いが。

ただ、あの魔法は闇魔法の一種だから、相性が悪いと覚えることができない。

今のエミリーには無理だと思うが、あえて言わず黙っていた。一生懸命やっているのに水を差すのもね。

まぁ、頑張って欲しい。


「ところで話が変わるけど、あの戦艦はどうなった? もう使えるようになったのか?」


こちらに来てからは一度も基地には行っていない。だから、あのダンジョンコアがどうなったのか気になったのだ。


「私が聞いた話だと上手くいっていないわね。何でもジェネレーターの出力が上がらず、空にも飛べないとか。私たちが乗ってた時はそんなことは無かったのにね」


研究者達は出力が上がらない原因が分からないらしく、四苦八苦しているそうだ。恐らくだが、ダンジョンコアが何かやっているんだろう。俺が与えた魔力が切れるのには少し早すぎる気がするからだ。


「ふーん、大変だなあ……」


エミリーが呆れた顔で俺を見る。


「なに人ごとのように言っているの。そのうち召集が掛かるわよ、私たちに」

「え?……どうして?」

「あの船を動かしたのが私たちだからよ。だから、その時と今の状況がどう違うか検証するために集められるみたい。そのメンバーには当然あなたも含まれているわね」

「……」


うわー、面倒臭いことになった。

どこかにとんずらするか、と思っていたら既に遅し。エミリーの携帯端末が鳴ってメールが届いた旨を伝えた。


「噂をすればなんとやら。召集が掛かったわよ。基地まで来てくれってさ」


眉間に皺が寄っている。エミリーも行くのが嫌みたいだ。

だが、命令には逆らえない。

AGC(くるま)に乗って基地に向かった。



*****



基地に着くと直ぐに戦艦まで案内された。


「あれ? 変わっている?」


俺が知ってる戦艦は白一色だったはず。それが赤い線が入り、カラフルになっていた。それに船首も少し変わっている気がする。

前に見た時は鋭角に尖っていたが、今は先端に何か付いている。波動砲みたいな物が。

まさかと思うがそれは無いだろう、と思いつつ、少し不安になったが聞くのも何だし、見ないことにした。何か、触れてはいけない気がしたからだ。


「早速来たな。ではブリッジに行こう」


白衣を着たお爺ちゃんがハッチの前で待っており、俺たちを見るなり先頭で歩いて行った。挨拶も無しに。

チラッと横を見るとエミリーが苦笑している。この人はいつもこんな感じなんだろう。

俺は肩を竦めると、言われるまま付いて行った。



ブリッジに入ると既に他のメンバーが集まっていた。

レジスタンスの若い2人組にロズルト、それとオズエルも。何で集まったのか理解できない2人組に、オズエルが簡単に説明していた。


「全員集まったようじゃ。でわ、早速始めるぞ!」


何を、という感じで全員が首を傾げる。

説明も無しで始めたので全員が戸惑っていた。


「博士、それでは伝わりませんよ」


苦笑いを浮かべたロズルトがフォローする。

その前に自己紹介しろよ、と思うが、誰も何も言わないところを見ると、知らないのは俺だけのようだ。

結構有名な爺さんなのかもしれない。


「ここからは僕が説明するよ」


オズエルが代わりに説明することになった。


「実はここに来てから一度も船が起動していないのです。制御用AIボックスを新しいのに変えてもです。本来であれば、それを付ければ出力は100パーセント出なくても、起動はできるはず。それが全く起動しない。それで他の要因があるのか、それとも我々のやり方が間違っているのか、それを検証したいのです」


色々とパーツを換えたりしてみたが駄目で、今までこのようなことは無かったと博士は言う。

それで、前回起動したメンバーを集め、同じように起動して欲しいと。手順が間違っているのでは無いかということだ。

やれやれ、そんなことで呼び出すとは。

恐らくだが、同じ事をしても駄目だろう。きっとダンジョンコアがマスターと認めていない人の言うことを聞くはずがない。だから起動しないのだろう。


「わかりました。やってみよう」


ロズルトがそう言うと、船長席に座った。エミリーは前回と同じで席に座り同じ事を始める。

俺も前回と同じ席に座り、ただ、みんなの作業を眺めていた。俺は何もしていないからね。他の2人組はブリッジに居なかったので、脇の方で見ていた。彼らは確か後部のハッチの守備で居なかったはず。

はっきり言って無関係なのだ。


「AI起動」


ロズルトがデスクのボタンを押すとブリッジ内の電源が入り、AIが起動した。

それを見ていた博士は唖然としていた。ロズルトは特別なことはしてなく、普通に起動しただけだからだ。


「なんでじゃ! なんで我々がやると起動せず、ロズルトがやると起動するのだ!」


激高している。

そんなことを言われても、とロズルトが困った顔をしていた。


「出力安定しています。この後、どうしますか?」


エミリーが博士に問いかけた。


「ムムム……」


博士の目が血走っている。いとも簡単に起動したことに憤慨しているのだろう。博士のプライドが傷ついたのかも知れない。


「データを取りますので、そのまま待って下さい」


オズエルがノートパソコンで何かを始めたが、博士は納得いかないのか、何か独り言のようにブツブツ言っている。


「……やはり。博士、出力が大幅に上がっています」

「な、何じゃと!?」


博士はオズエルのノートパソコンを奪い取ると、食い入るように見つめていた。


「前回より出力が上がっている? 制御用AIボックスを換えたからか? それとも制御用モジュールを取り換えたからか? ……さっはりわからん。こんな事は初めてじゃ。だが、これだけの出力があれば、あの戦艦にも対抗できるぞ。素晴らしいことだ!」


怒ってみたり喜んでみたり、一喜一憂の激しい人だ。

見ていて飽きない。


「よし、このまま空にでるぞ。管制室に連絡をしろ」

「しかし博士、今日の予定では起動実験までのはずでは」

「かまわん。せっかく起動したのだ。飛ばないでどうする。このまま戦闘データも取るぞ!」


全員が呆れている。

なるほど、だから第19都市の基地に来たく無かったのか。

この博士が無茶な事をして、周りを巻き込むからと。



この後オズエルが出航許可を要請するとすんなりと通った。

こうなることは予想していたのかも知れない。


ご覧いただきありがとうございます。

今日はもう1話アップします。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。

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