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第38話 戦艦での戦闘③


「おい、ダンジョンコア」

『はい、何でしょうかマスター』

「ジェネレーターの出力が足りないそうだ。お前で何とかできないか?」

『確認します、少々お持ちを…………確認できました。変な物が取り付けられており、それが逆に妨げになっているようです。それを除去すれば可能ですが』


変な物?

ああ、あれか、制御用モジュールというやつか。

それをどうにかすれば可能なのか。でも後で問題になりそうな気がするが……まぁ、黙っていれば問題ないか。

よし、外そう。


「やってくれ」

『わかりました。除去し、再接続します』


待つこと1分。

もっと待たされるかと思ったが、意外とすぐに終わった。


『書き換えが無事に終了しました』

「では、出力を上げてくれ」

『かしこまりました』


話が終わるとブリッジへ戻った。



ブリッジの中では、1人を除いて歓喜に溢れていた。


「ロズルト! 突然、シールドの出力が上がったわ!」

「こっちもだ! 主砲の出力が上がっている。これならやれるぞ!」


先程までシールドが明滅していたが、今は安定して光りの膜を作り出している。出力が上がり、敵のレーザーを全て弾いていた。これで船が沈む心配は無いだろう。

後は敵を殲滅するだけだが……こちらも問題はなさそうだ。今度はこちらの攻撃で、巡洋艦のシールドが点滅を始めた。

攻守逆転。

なんとか勝てそうだ。


「おかしい。どうして突然出力が上がったのだ? しかも今までにない最高の出力を叩きだしている。データにも無いぞ。そんなことがあるのか? どうやってセキュリティーを突破したのだ? わからない。船に何が起こっているのだ……」


ノートパソコンを見て何か独り言のように呟いているオズエル。開発者として納得がいかないようだ。その原因が分からないことには。

まぁ、一生分からないと思うが、黙っていることにした。


「やった! 直撃だ!」


若いレジスタンスの2人がメインモニターを見て叫んでいる。

メインモニターには煙を吐いている巡洋艦が映っていた。

こちらの攻撃でシールドのエネルギーが飽和したのか切れたのだろう。左舷に命中し、煙が出ていた。


「敵が反転して逃げて行くわ」


離れていく敵の後ろ姿がメインモニターに映ってる。


「追っていく?」

「いや、そこまでしなくても良いだろう。回線を開いて仲間に連絡を」

「分かったわ」


敵が逃げたことで通信回線が復活したようだ。

エミリーが連絡を取り合っている中、俺は行き先を尋ねた。


「第18都市に我々レジスタンスの軍事施設がある。そこに向かう予定だ」


元は民間の航宙訓練施設で、今はレジスタンスが拠点として利用しているそうだ。

そこには戦闘機も多く配備され、船も何隻かあるそうだが、どれも星系軍のお古でさほどの戦力は期待できないと言う。

それに船を停泊できる場所も限られているので、近くだとその拠点になるらしい。


「ロズルト。残念だけど第19都市まで向かうことになったわ」


通信を終えたエミリーが少し微妙な表情を浮かべて報告した。

突然の予定変更にロズルトも苦笑している。

どうやら第19都市に何かあるようだ。


「第19都市というとあの人が居るのか。はぁ、あまり関わりたくは無いが……」

「でも、彼でないとこの船を整備できないと思うわよ。古代船は特殊だから普通の整備士では無理よ。だから変更になったと思うわ」

「はぁ、わかった。座標入力を頼む。後のことはAI、頼んだぞ」

『目標地点の座標を確認中……確認できました。向かいます』


メインモニターには女性士官が映り、ビシッと敬礼している。

さすが軍仕様。でもこれも将来的に変わるんだろうか?

この船を制御しているのはダンジョンコアなのだから。



この後は敵の追っ手も来ず、第19都市に到着した。



*****



「ブラトジール男爵様、報告が」

「……夜分どうした?」


「入れ」と言われ、軍服を着た若い士官が部屋に入った。

そこはブラトジール男爵の寝室で、大きなベッドの中には若い女性が2人寝ていた。

どちらも金髪で衣服などは着衣していない。もちろん下着もだ。

またか、と思ったがそちらには視線を向けないようにし、男爵の方を向いて敬礼した。


「わしは忙しいのだ。君の相手をしている時間はないのだが」


男爵はベッドに腰を掛けると、ニヤニヤしなが女性の方を見ている。その男爵も裸だ。

お楽しみの最中だったみたいで、サイドテーブルに置かれていたワインを口へ運び喉を潤していた。


「報告があります。実はレジスタンスが第12基地に配備していた戦艦ウリウスを奪いました」


それを聞いた男爵は一瞬何を言った分からず、きょとんとしていた。


「……どういうことだ? なぜ盗まれる。警備はしてたのだろ?」

「それはもちろんであります。ですがいつの間にかレジスタンスが基地の中に侵入しており、我々が気が付いたときには船が奪われていました」


男爵の顔が見る見る赤くなり震えていた。

またか、と思う士官。

この後のことが想像つくだけに、顔には出さないが辟易していた。


『ギャシャーン!』


ワインのコップが飛んできて背後の壁に当たり砕けた。

男爵は怒ると物を投げる癖がある。今日は体に当たらなかったが、中には顔に当たり怪我をした士官もいる。

貴族なんだから、もう少し上品な振る舞いはできないんだろうか。

士官がいつも思うことだった。


「それで船はどうなった?」

「その後、巡洋艦2隻で追跡しましたが、反撃に遭い、1隻が戦闘不能になった時点で退却しました」

「はあ?」


男爵は顔を顰めた。

あの戦艦は完全な失敗作で、巡洋艦に勝てるほどの戦闘力はなかったはず。

レーザー砲もシールドも出力が上がらず、飛行速度においても駆逐艦クラスにも勝てない。最新技術や最高の機材まで導入して、どうしてあのような物になったのか。

全てドラギニス公国の使者のせいだ。

あいつらが持ってきた古代船を改造すれば、星系軍など相手にならないと。

その言葉を信じて改造したのに、まったくもって役に立たない鉄屑ができるとは。今まで注ぎ込んだ金を返して欲しい。

だから警備も厳重にしていなかったし、気にも留めていなかった。

そしてそれが今回は仇となった。簡単に盗まれたのだ。


「なぜ、負けたのだ? あの戦艦にはそんな戦闘力は無いはずだ。お前達はわざと逃がしたのではないのか? ではないとおかしいだろ。あの戦艦が勝つなど……」


男爵は士官の言葉を疑った。

士官はそれは無いと否定したが信じても貰えず「帰れ!」と怒鳴られた。

報告に来た士官は一礼すると部屋を出て行った。

いつものことなので慣れた動作だった。


部屋の外に出た士官は大きな溜息を吐いた。

これが領主だと思うと呆れるしか無い。部下の言葉を信じないのだから。


「……この領主は駄目だな。早く見切りを付けないと」


出てきたドアをチラッと見てそう呟くと、領主邸を後にしたのだった。



ご覧いただきありがとうございます。

ストックが無くなりそうなので、1日1アップにしたいと思います。

書くのが遅くて申し訳ございません。

気長に付き合って下さると嬉しいです。

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