第37話 戦艦での戦闘②
30分ほど飛んだのだろうか、警報が船内に鳴り響いた。
今このブリッジには全員が集まっており、辺りを警戒していた。
『後方より、巡洋艦2隻を確認。15分後に追いつかれます』
追っ手が来たようだ。
どうやら足回りは向こうの方が優秀みたいで、図体が大きい分、こちらの移動速度は遅かった。
この感じだと戦闘は避けられない。
「戦闘準備だ!」
ロズルトが指示を出す。
とは言っても経験がない者ばかりで、ロズルトに頑張って貰うしかないが。
「主砲準備」
AIに指示を出す。
ブリッジのサブモニターには主砲の姿が映っており、ゆっくりとした動作で敵艦の方へ向きはじめる。
この主砲の威力はわからないが、当たればタダでは済まないのは大きさから見ればわかる。
戦艦だけあって、武装は迫力があった。
「エミリー、シールドを展開。エネルギーを」
「OK」
外を見ると光りの膜に覆われた。これがシールドのようだ。
今、この船を動かしているのは実質この2人だ。
他のメンバーは見ているしか無かった。
「敵との距離が6万を切ったわ」
「主砲の射程距離はこちらの方が長いのだ。射程に入り次第、攻撃だ」
このまま戦闘に入り撃沈されたら、ダンジョンコアはどうすのだろうか?
ふと、そんなことが頭の中をよぎった。
「射程に入ったわ」
「よし、発射だ!」
主砲が火を噴く、とはいかない。
火薬を使っていないので光り輝くだけだ。
いくつもの光りの筋が伸びていく。
反動もないし音もしない。何だか迫力に欠ける気がするがそれは仕方がないのか?
この世界の戦闘は初めてだし、こういうものなんだろう。何だか映画でも見ている気分だ。
光りが敵に当たり、シールドに弾かれている。
威力不足を感じた。
「この船って最新艦なんだろ?」
隣に座って状況を見守っているオズエルに聞いた。
「見た目は最新艦だな。だが、艦のデータを見る限る巡洋艦よりも弱い。ジェネレーターの出力が足りない。恐らくだが、古代船に付けた制御用モジュールがうまく機能していないか、セキュリティーが邪魔をして制御できていないのだろう。古代船を制御するのは難しいからね。その性能を引き出さなければ、そこら辺の中型艦よりも劣る。君が思っているほど簡単にはいかないのさ」
この船の性能を引き出せていないのか。
それは弱った。
「そもそもどうして古代船を? そんなの使わなくても普通に作れば良いのでは?」
「古代船には未知の力があって、うまく制御できれば、この1隻で艦隊を相手できる。金を掛けてまで修復する意味はあるのさ。だが、ここの代行殿は失敗したようだが」
そう言ってケラケラと笑う。
これではただの鉄屑と同じだと。
「それじゃ、取り付けてあったAIボックスとは?」
「あれは人間の作業を簡略化するための物だ。命令を出せば、AIが人間の代わりに作業してくれる。操縦から攻撃まで全て。ただし、それは普通の船の話で古代船の場合はわからない。セキュリティーが高すぎてAIでは制御できない部分があるのだ。それを解除しないと全てのコントロールはできない。だからどこまでやれるかは俺でもわからない。実際に使ってみるまでは」
ようは、AIはセキュリティーを突破させる程の演算能力はもっておらず、そこは自分達でなんとかしないといけないということだ。
古代船のセキュリティーを突破しないことにはAIでも全てコントロールできないと。
「俺ならもうちょっと上手くできたかも知れないがな」
「それを今からは……」
「それは無理。ノートパソコンだけではこの船のセキュリティを突破できない。セキュリティーを解除し、リミッターを外さないことにはどうにもならないからね」
それから制御用モジュールを付けて初めてコントロールできるようになるとか。
専門的な事は分からないが、ここの領主代行は失敗したいうことだ。
だからなのか、どうりで警備が甘いと思った。
失敗作だから、奪われたとしてもそれほど脅威になることは無いと。
「もし生きて帰れたらこの船を弄ってみたいね。今以上に使える物にするよ」
「おいおい、死ぬこと確定か。諦めるのが早いのではないか。こちらにもシールドはあるのだから攻撃を受けたとしても……」
外を見るとシールドが激しく明滅している。なんかやばい雰囲気だ。
「シールドのエネルギーが足りないわ! こっちに回して!」
エミリーが大声で叫んでいる。
問題が発生したようだ。
「駄目だ。これ以上回すと主砲が撃てなくなる。何とか堪えろ」
敵の攻撃が当たり、シールドの輝きが弱くなっている。
これは不味いのではないか?
このまま死にたくはないが。
俺にできることは無いか思案した。
「シーカーミサイルが来るわ!」
シールドに当たると爆発音がして、船が大きく揺れた。
ミサイルは普通に火薬を使っているようだ。
「きゃ! だ、駄目、もたない!」
「くそ! 何だこの船は! 巡洋艦ともまともに戦えないのか!」
ロズルトが拳で机を叩く。思い通りにいかなくてイライラしているようだ。
こちらも攻撃しているが、ダメージを与えている気配が無い。
「このままではやられるわ! シールドにエネルギーを回して! 逃げるしかないわ!」
「駄目だ。敵を連れて基地に戻ることはできない。救援はまだ来ないのか!」
「連絡しているけど、ジャミングされてて通信ができないの!」
これは万事休す、と言ったところか。
どうしたものか……。
俺はトイレと言って席を立つと、サーバールームに向かった。
誰も聞いていないけどね。
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