第29話 地下トンネルの戦闘②
「おい! このままだとここを突破されるぞ。隊長に連絡を取り、応援を貰え!」
突然、土壁ができたことで驚いていたようだが、直ぐに兵士側も体勢を整えて撃ち返してきた。
壁があろうともお構いなしに撃ってくる。
数では向こうの方が有利なのでごり押しでくるようだ。
「エミリー! 顔を出すな! こちらは敵を引きつけるだけで良いのだから、無闇に撃ち合う必要はない!」
「わ、わかっているわ!」
こちらは応援も来なければ補給もない。エレルギーが切れたら、それでおしまいなのだ。
だから慎重に行動しなければならない。
「しかし、初級魔法ではあのシールドを破る方法はないのか?」
時折、俺も魔法を撃って牽制しているが、ダメージが通らず少し焦っていた。
威力が高い魔法を使えば倒せると思うが、仲間を巻き込むものが多くて使えない。
魔法で仲間を巻き込まずに敵を倒す方法はないか思考を巡らせた。
「シールドを破るには一瞬でシールドのエレルギーを消耗させなければならない。ファイアストームは持続的にダメージを与え続けるからエネルギーを消耗させられたわけだが……一瞬となると厳しいな」
初級魔法でも数を撃てば消耗させられるが、それだとダウンまでに時間が掛かる。
簡単に倒す方法を考えなければ。
「火の槍を敵を討ち滅ぼせ……ファイアランス!」
火魔法を撃ってみた。
威力はファイアアローよりも高いので、かなり消耗させられるはずだ。
敵兵のシールドに当たり、激しく点滅する。
一瞬でかなりのエネルギーを消耗させたようだ。
「シ、シールドバックのエネルギーの残量が少ない! 一旦、下がり、エネルギーパックの交換をしろ!」
当たった兵士が後退を始める。
この調子でファイアランスを撃ち続け、兵士を少しずつ後退させた。
「ふむ、この魔法でも敵を倒すのは無理か……」
ファイアアローよりは有効だが敵を倒すまではいかない。
他の魔法も試すか。
「ん?」
探知魔法に反応あり。背後からも敵兵が集まってきた。
「エミリー! 背後から増援だ! このままでは挟まれるぞ!」
「わ、分かったわ! みんな! 引くわよ!」
俺たちの役目はここに兵士を集めて時間稼ぎをすること。玉砕するつもりはない。
エミリーの一言で全員が来た道を引き返した。
俺はというと、殿を勤め、兵士が後を追ってこられないよう土の壁を作り道を塞いだ。
「これで時間は稼げるだろう」
こちらに兵士が集まってきたことで、敵の進行速度が遅くなる。
十分に時間稼ぎはできただろう。後は逃げるだけだ。
「あなたのおかげで死者は1人も出さずに済んだわ。ありがとう」
仲間に追いつくと、エミリーにお礼を言われた。
他の仲間を助けたのはついでみたいなもの。なので気にする必要はないのだが、ここは素直に受け取ることにし頷いた。
エレベータで地上に上がった後、そのエレベーターは使えないように電気回路を壊しておいた。それでも時間を掛ければ登ってこれるので安全とは言えないが、逃げるまでの時間は稼げる。
AGCで一斉に逃げ出した。
「博士達はどうなった?」
「連絡がないわ。まだ、研究施設に居るのかも」
「包囲されて逃げられないのか?」
「わからない。ただ、こちらから連絡すると、向こうの居場所が特定される危険があるので何もできないわ。向こうから連絡が来るまでは」
安全になれば向こうから連絡が来る手はずになっているので待つしかないと言う。
まぁ、無線なんていくらでも傍受する方法はあるからね。下手に連絡を取り合わない方が安全だということだ。
「俺たちはどうする?」
「アジトを移動するわ。監視カメラで追跡されている可能性があるからあのアジトには戻れない。迷惑が掛かるからね。どこかでAGCを乗り換えて、他の街に行くことになるわ」
この車も安全ではないという。
街の至る所に監視カメラがあるので追跡しようと思えばいくらでもできる。
文明が進むと逃げるのも容易ではない。
「他の連中も?」
「そうなるわね」
「荷物なんかは?」
「私は手伝いでここに来ていただけだし何もないの。他の人たちは後から送ってもことになると思うわ」
大きなビルの地下駐車場に乗り入れると、そこで車を乗り捨て徒歩で移動となった。
非常口から建物内に入ると地下通路を通って隣のビルへ。そこで用意されていた新しい車に移乗して街を後にした。
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