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第24話 ミチェイエル・ボルトン②


「それはどうやればわかるのかしら?」

「簡単なのは、俺の魔力を体に流すので、それを感じ取れればなんとか。分からなければ無理でしょうね」


ミチェイエルは隣に座っているエミリーを見る。

見られたエミリーはというと……目を逸らしてやがる。やりたくないのだろう。

それでもミチェイエルが彼女の名前を呼ぶと、観念したのか、大きな溜息を吐くと俺の方を見て恨めしそうな顔をしていた。


私を巻き込まないで!


と思っているのだろうなぁ。

魔法の存在を信用していないエミリーからしてみれば、付き合いきれないというところだな。


「……それで、どうすれば良いのかしら?」


ムスッとした顔で、そんな投げやりに言われても俺が悪いわけではない。

文句があるならミチェイエル女史に言って欲しいね。俺は頼まれただけなんだから。


「両手をテーブルの上へ」


エミリーは少し躊躇したが、言われるまま両手をテーブルの上に乗せた。

魔法が使えるか調べる方法はいくつがあるが、一般的なのは魔道具の魔法石を使う方法だ。

それに触れると体内にある魔力を感じ光るのだ。それに色によって得意な属性までもわかるという優れ物。

赤く光れば火属性、青く光れば水属性、緑に光れば風属性、黄色に光れば土属性と、自分の相性が良い魔法まで教えてくれる。相性が良ければそれだけ覚えるのも早く、魔力を抑え、威力も上げられる。

便利なので、どこの教会や冒険者ギルドでも必ず一つはあったが、生憎と俺は持っていない。神様特典で全属性が使えたのでね。

なので昔ながらの古風な方法で試す。これなら魔道具は必要ない。


「俺の魔力を流すから、体の中に何かを感じたら言ってくれ」


俺は出されて両手を握ると、少し魔力を流した。

一瞬ビクッとしたがと、慣れてきたのか、表情は変わらず両手を見つめていた。


「……何かしら、少し手が熱いわね」


俺の魔力を感じているようだ。

だが、これだけで使えるわけではない。

問題はこの先だ。

それを感じないと無理だろう。


「体の方は大丈夫か? 何か変化は無いか?」


首を横に振る。

なので今度は少し多めに魔力を流す。すると彼女に変化が。

目がくわっと開き、顔が少し赤くなり震えてきたのだ。


「体の中に何かあるわ。表現できないけどモヤモヤする。……これが魔力?」


どうやら体の中にある魔力を感じているようだ。

ただ、ここまで魔力を流さないと反応しなかったので、魔素との親和性は悪そうだ。

大きな魔法は使えないかも知れない。


「感じるようなら魔法は使える。後は本人の努力次第だ」


手を離した後、エミリーはしばらく自分の両手を見つめていた。

まさか自分に魔力があるとは思っていなかったのか、呆然としていた。


「それではエミリーに魔法を覚えさせてね。私はその間、あなたの戸籍を用意するわ。それでよろしいかしら?」


俺は頷いた。


「ただし、どのぐらい時間が掛かるかわからないぞ。魔法との相性はそれほど高くはないからな」

「それでも使えるまでは面倒を見てくれるのでしょ?」

「初級魔法が使えるまではね」

「それで結構です」

「しかし問題がある。その間俺はどこに? ずっとここで生活をするのか、マスクを付けて」

「住むところは考えてあります。ロズルトに尋ねると良いでしょう。後の事は任せますがよろしいですね?」


後ろに控えていたロズルトが頭を下げた。それでミチェイエルとの会談は終わった。

まぁ、会談と言っても自分が言いたい事を言って帰っただけだが、それでも俺には有意義なものになった。

この世界で活動するには戸籍は必要になる。ただで用意して貰えるのであれば、それに越したことはない。

エミリーはというと、直ぐにミチェイエルの後を追いかけていった。何か言いたいことがあるようだが、まぁ、頑張って欲しい。

俺の知ったことではない。


「ああ、そういえば戸籍の件とは別だが、これを手に入れてね。見て貰えるか」


そう言ってポケットから数枚のカードを出す。これは戦闘機に乗っていた青年の物で、俺が持っていても使えない可能性があるので見せたのだ。


「カードか……ジョニー・ラングス!?」


ロズルトが驚いた表情でカードを見つめていた。


「これをどこで?」

「これは兵士と戦った場所の近くで拾った物だ。戦闘機が墜落して、その中で、その青年が死んでいた。その時に申し訳ないがお金とカードを拝借させて貰った。何ていったってこの世界に来たばかりで金が無かったのでね。もし、遺族がいるのであれば返してやってほしい。財布に入っていた金は使ってしまったが、必要であれば後で返すからと言ってくれ。追い剥ぎみたいな事になってしまったが、悪気はなかったと」


それで戦闘機から遺体を降ろし、近くの森の中に埋葬したこと話した。

ただというのは忍びなかったのでね。

そういった事も説明した。


「そうか。遺体を埋めてくれたか。それは感謝しないとな。あのままだったら軍に見つかって場所も分からない所に廃棄されていたか、焼却されて骨も残っていなかったかもしれない。人として埋葬してくれたことに感謝する」


頭を下げられた。


「知り合いだったのか?」

「ああ、友人の息子でね、親の敵でレジスタンスに入ったのだが、血気盛んな青年で無茶なことばかりをしていた。戦闘技術も高くないのに戦闘機などに乗って。馬鹿な奴だ、本当に……」


カードを見つめながら寂しそうに呟いた。

俺はカードをロズルトに預けて席を立った。





ご覧いただきありがとうございます。

ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。

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