第1話 異世界送還
「おい、ここは何処だ?」
気が付くと森の中で倒れていた。
起き上がり辺りを見るが何もない。木々と雑草が生い茂っているだけだった。
「もう少し良い場所に送れなかったのか、あの神様は」
異世界はこれで三度目になるが、必ずといって良いほど辺鄙な場所に送られる。
これも試練なのか? と思うほどに何も無い。
「はぁ……」と溜息を吐くと歩き出した。
「マップが使えればよいが」
マップ魔法を使うが、何も表示されない。
マップ魔法は、一度行った場所でないと表示されないのだ。なのでマップに何も表示されないということは、ここは未知な場所で、初めて訪れる異世界だということだ。
「神様は約束を守ったということか……」
さすが3度目になると嫌気が差し、異世界に行くことを拒んだ。
異世界は魔法があって楽しいが生活環境が最悪なのだ。
コンビニはないし飯はまずい。だから勘弁してくれ、とお願いした。そして今度行くならコンビニがある世界にしてくれと懇願した。
神様も、さすがに三度目となると申し訳ないと思ったのか、俺の願いを適えてくれた。
そしてこの世界に送られたのだが、コンビニのコの字も見当たらない。
もうちょっと何とならないか、あの送還術。せめて街の近くに送ってくれよ。
1回目は森の中に送られ、ゴブリンに追いかけ回された。
2回目も森の中に送られ、化け物と戦う羽目にあった。だっていきなり襲ってくるんだもの。
後で知ったが、あの蛇の顔を持つ人型の化け物は、討伐依頼が出ており、討伐推奨ランクはAランクだった。どんだけの化け物だよ。
人間の言葉が通じず戦うはめにあったが、あの時魔法が使えなかったら詰んでいたよ。2回目の召喚で助かった。本当に。
そして今回はどんな化け物と出会うのだ?
二度あることは三度あるというし、嫌な予感しかしなかった。
しばらく歩いていると、空から「キーン」と甲高い大きな金属音が聞こえた。
「え? あの音ってまさか……」
空を見上げると飛行機が飛んでいた。しかも見たことが小型の戦闘機だ。
エイの形をした戦闘機には翼に小さな機銃みたいのが付いていた。
何事かと思いしばらく飛んでいった方向を見ていたら、次から次へと飛行機が飛んでいった。ざっと数えても20機以上だ。
これは何かあると思い、飛んでいった方向に向かって走って行った。
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