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第15話 星系軍①


「市民の避難は完了したのか?」

「はい。1階部分は終わりました。今は他の階を進めています」

「居場所は摑んでいるのだろうな?」

「尾行していた斥候の傭兵部隊が、携帯ショップ店に入るところまでは確認していましたが、それからは見失ったようです」

「ちっ、使えん連中だ。ドローンで確認したんだろうな?」

「もちろんであります!」


1分隊を壊滅させたと聞いて見てみれば、たいしたことない只の一般人だ。

体は細く、どう見ても屈強な若者とは思えない。

それで全滅したということは、革命軍は強力な最新兵器の開発に成功したということだ。

対戦した兵士から送られてきた映像には考えられないような物が映っていた。

炎の竜巻。

解析班からは、火炎放射器を改良した物ではないかという話だが、何か違う気がしてならない。映像にはそれらしき武器が映っていなかったことも引っ掛かっている要因だ。

それが何なのか気になって来てみれば、このざまだ。

まともに監視もできんとは。

所詮は寄せ集めの傭兵部隊か。我々星系軍なら、もう少し何とかなったのだが。


「隊長! 市民の避難が完了しました!」

「よし。第2小隊を突入させろ。いいか、間違っても市民に向けて発砲するなよ。只でさえ市民の反発が高まっているのだ。これ以上の戦乱は避ければならない」

「ハッ!」


敬礼し、兵士が指揮車を出て行った。

たった1人の人間を捕まえるだけに、ここまでやる必要があるのかと疑問に思う。

捕まえる必要が無ければ狙撃部隊でも派遣し、射殺すれば良いだけの話なんだが、上の連中は捕獲したいらしい。何でもあの兵器が気になるとか。情報を抜き取るために、是が非でも生きて捕らえろと言ってきた。

それならこっちにもっと兵士を回せと言いたいが、現状は厳しい。各都市に警備として派遣し、反乱を抑えているからだ。今はホーンラビットの手でも借りたい。

そのせいで自部隊だけでは足りず、傭兵の手を借りないといけなくなったのは遺憾だった。

奴らは、腕は確かだが戦功を上げようと勝手なことをするので扱いづらい。我々軍の言うことを聞かないのだ。

勝手に判断し、勝手に行動する。軍と連係など取れるわけが無い。

そんな連中を使わないといけないとは。

できれば街中での戦闘は避けたかったのだが捕獲命令が出れば逆らうわけには行かない。

腹だたしいが、上の命令は絶対なのだ。


「はぁ、まったく上の連中は何も考えていない。こんな所で戦闘になったら市民の反感を買うだけだというのに」


ショッピングモールの駐車場に横付けされた軍の指揮車内。

見取図を前に重い溜息を吐いた。


しばらくすると兵士より続々と情報が寄せられて来た。

未だに発見できないという苛立ちを隠せない内容だった。

黒髪に黒目といった出立ちは目立つはず。それなのに見付けられないとは。何か不自然さを感じていた。


「8階部分まで調べましたが未だに発見できません!」


1人の兵士が報告に来た。


……おかしい。何か見落としているのでは無いのか?


報告と同時に見取図にバツを付ける。そこは確認して居なかった場所だ。

それが増えていく度に、表情が険しくなった。


「隊長。全フロアを調べましたが発見できませんでした!」

「裏口から逃げたのか?」

「裏口は最初に抑えました。逃げられるはずはありません」

「すると、この見取図に載っていない出口が他にあるということか?」

「そのような出口は存在しないと聞いておりますが。それに1階を占拠した時には、まだ3階の携帯ショップにいたと報告が届いています。我々の目を盗んで逃げられるとは到底思えません」


1階を抑えたときは男は3階にいた。

そこから逃げるとなると屋上から飛んでいくしか方法がないが……まさかな。個人用の飛行ユニットでも持っていたのか?

それにしてはそのような物を持っている感じはしなかったが。


「外で待機している傭兵部隊を引き連れ隈無く探させろ。決して逃がすのでは無いぞ」

「ハッ!」


逃げられたと知られたら上の連中が煩い。

また、始末書だ。



この後、2時間ほど掛けて探したが発見することはできなかった。

如何なる方法を使ったのか。あの男は我々の目の前から忽然と姿を消したのだ。


「チッ、逃げられたか。しかし、どうやって我々の目を掻い潜った? 下から抑えていったはずだが……」


逃げられないように真っ先に出口を抑えていった。

全てのテナントも調べた。

それなのに見逃すとかあり得ない。


協力者がいたのか?


それしか考えられなかった。


「携帯ショップで何をしていたか調べろ。店員もだ」


近くにいる兵士に命令した。


「それですが、報告によると店員は例のアンドロイドのようで……」

「チッ、奴らか。強硬な手段は使えんな。とりあえず何をしに行ったか聞き出せ。奴らは噓はつけないはずだからな。間違っても傷つけるなよ」

「ハッ!」


兵士が車から出て行くと、溜息を吐いた


「はあ、後手に回っているな。協力者がいたのであれば、もうここにはいないだろう」


雇われた傭兵に仲間がいたのかもしれない。

傭兵に任せたのは自分のミスだと後悔した。


携帯ショップで話を聞いたが、そこで最新の携帯情報端末機を1台購入したという。

このタイミングでなぜ? と思うが、買ったのであれば識別番号から追うことができる。電源が入っていれば位置情報で居場所もわかるはずだ。

すぐに調べさせたが、反応がなかった。まだ電源を入れていないのかもしれない。

とりあえず映像から男の顔を抜き出し、指名手配した。

いつまでも待っているわけにはいかないのでな。

そして、このあとすぐに情報が手に入ったが、この都市を出た後だと知らされた。




ご覧いただきありがとうございます。

ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。

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