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第14話 ショッピングモール③


「分かった買おう。ただし、お金は金貨しかないが大丈夫か?」

「大丈夫ですよ。ただし、お釣りは紙幣か電子マネーになりますね」


金貨を1枚渡し、最新の50万する携帯情報端末機を購入した。良いか悪いかわからないが、こういうのは一番高いやつを買っておけば正解のはず。

早速、電源を入れて画面を確認すると認証画面が出た。最初に使用者を登録する必要があるそうだ。


「顔認証なので持ったまま数秒ほどお待ちください。……はい、完了です。後は自働で設定してくれるので、ホーム画面が出るまでお待ちください」


カメラが付いているらしいが、レンズらしき物は見当たらない。液晶の下に隠れているのか?

液晶も綺麗で、かなり解像度が高いのがわかる。それ以外にも、3D表示が可能とのことで、液晶の上で立体映像が表示できるそうだ。しかし、それだと周りから見られてしまうので、家で使った方が良いと言われた。

簡単がだ使い方まで教えてくれた。


待つこと数十秒。ホーム画面がでた。小さなアイコンが数個あるだけで、感じ的には、ほぼスマホだった。

これなら悩む事はないだろう。後は使ってみてだ。


「それでアプリだが」

「今、入れますね」


手首のカバーが外れると、中からケーブルが伸びてきた。

それを携帯の背面と接触させてアプリを落としていた。


「……」


俺は無言になってしまった。

お姉さん、人間ではなかった。アンドロイドだった。

だからか、探知魔法に反応がなかったのだ。

何か違和感があると思ったらそういうことか。人間でいうオーラがないというか何というか。

生物じゃないんだよね。今、知った。


「はい。終わりました。後は起動してボタンをタッチすれば勝手に識別番号は変えられます。ランダムなので私たちでも知ることはできません。どうですか?」


うん、確かに凄いが、今はお姉さんのことで頭が一杯です。

どう、話せば良いか。


「ひとつ聞いて良いか? お姉さんみたいな人は大勢いるのか?」

「? お姉さんは『人』ではないですが、沢山いますよ。ただ、個人で購入されている人は少ないかと思います。お安くは無いので」


携帯会社と契約して、ここで店員として働いているそうだ。アンドロイドは人件費が安いという理由で。


「それでも買う人はいるんだな?」

「もちろん。我々は歳を取りませんから、そういった意味では側に置いておきたい男性は多いです。それに、あっちの方もできますからね」


そう言ってニコッとする。

あっちって、アレか、ダッチワイフ的な?

まあ、確かに見た目は綺麗だし、アレもできれば置いておきたいと思う男性は多いよな。

……結婚する男性が減りそうな気がするが。

やばい、異世界の闇を見た気がした。


「それじゃ、タッチしてIDを変えてください。私は見ませんので」


そう言って背を向けるお姉さん。

何回かタッチして携帯端末を渡した。

もうちょっと詳しく聞きたかったが外野が騒ぎ出したので中断した。兵士がモール内に入ってきたのだ。あまりゆっくりしている時間はなさそうだ。


「忙しくなりそうなのでもう行くか。お釣りは携帯端末に?」

「はい。電子マネーで50万ニル、入金しておきました。もう使用されても問題ないですよ」

「ちなみに電話は掛けられるのか?」

「それは契約していないので使えません。携帯電話として使われるのであれば、国際電話会社と契約して番号を貰って下さい。番号が貰えれば、どこの携帯ショップでも登録は可能ですので」

「ここではやってくれないのだな?」

「個人審査に時間が掛かりますので」


この惑星の人なら直ぐだが、他の惑星から来た人だと照会だけで時間が掛かる。だからやらないそうだ。惑星とか、スケールが違うね。それなら仕方がない。

ちなみにデータ通信は無料なんだそうだ。いつでもどこでも使えるらしい。さすがは文明が発達した世界ではある。基本的な物は全て無料なんだそうだ。


「なるほど、無料だからSIMみたいのが必要ないのか。電話番号はどうやって?」

「本体に直接書き込みます」

「携帯を変えたときは?」

「本体同士を背中合わせにすれば簡単に移せます。最初だけです。ショップに持ってきていただくのは。事務手続とかあるので」

「意外と簡単なんだね」

「何台も持っている方がいますので、簡単に移せるようになっているのです。ですが、チャージしたお金は移せないので注意が必要です。識別番号で紐付けされていますので、端末を換えても移せません」

「それはそれで面倒だな」

「詐欺を防ぐためにその端末しか使えないようにしているのですよ。データだと簡単にコピーできますので」

「パスワードを入れたら簡単に移せるようにすれば良いのに」

「そのパスワードが簡単に盗まれるので、そのようになったのです。どうしても、という場合は、識別番号ごと移すしかないですね。それでしたら、ショップとかでできますので」


専用の機械でできるそうだが、その時は身分証とかが必要になるとか。アプリとかでできそうだが、じつは識別番号は暗号化されていて読み取るの不可能らしい。その代わり書き換えることはできるので、違法アプリで上書きできるそうだ。


「ちなみにプリペイドカード式の電話はあるのか?」

「もちろんありますよ。ですがお客様、ここで買えば番号が知られてしまいますがよろしいのでしょうか? 店舗に販売履歴が残りますので」


後でこの店舗を調べれば買った番号が分かると言うことか。

なら、ここでは買えないな。他の店にするか。

それに今すぐ使う予定もないし、掛ける相手もいないしね。

しかし、よく気が付く店員さんだ。俺が何を求めているか察しているようだ。


「あー、そうだ。これは使えるのか?」


俺はポケットからスマホを取り出し、駄目元で聞いてみた。使えるのであれば使いたい。落としてある小説とか読みたいからだ。


「何ですから、それは? 珍しい携帯端末ですが見たことがないですね……」


お姉さんの目が赤く変わった。何かを調べているみたいだ。

そして一瞬、強張った表情を浮かべたが、すぐにいつもの営業スマイルに戻った。


「これはどちらで手に入れられた物でしょうか?」

「えーと、大昔に拾ったものだが……何かおかしいのか?」


俺が異世界から持ってきた物とは言えないので、適当に誤魔化した。


「いいえ。問題ありません。調べましたが、この世界では使えないようです。残念ですが」

「はぁ、やはり駄目か……せめて充電器とか手に入らないか? もしくは作ってくれるところを紹介して欲しい」

「そうですね……我々を作っている工房なら作れると思いますが、それ以外ではお止めになられた方が宜しいかと」

「どうしてだ?」

「中を分解して調べられますと壊れる危険が。我々に任された方が宜しいかと思います」

「そうか、わかった。それで、その工房はどこに?」

「この惑星にはありません。帝都に行けばありますので、そこでご依頼してください」

「帝都にね……わかった」


帝都か……。ここがどこかもわからないのに帝都とは。

時間があれば後で調べるか。情報端末も手に入ったことだし、それで調べられるだろう。


「世話になったな、ありがとう。でも、こんなことして大丈夫か? かなり危ないことをしているように見えたが」

「フフフ、大丈夫です。我々は、お客様のニーズに応えることを最優先としていますので、それでお客様が喜ばれるのであれば問題はありません。それに携帯を売った履歴しか残りませんので処罰されることはないかと。ここでの会話も録音されていませんので」

「そんなので大丈夫か? セキュリティーとか」

「個人情報の保護を最優先としていますので、録らなくても問題ないんですよ。本人が拒否したと言えば良いのですから。ですが監視カメラは行政で管理してますので消すことはできません。注意して下さい」


店舗に設置してあるカメラをチラッと見て言う。

撮られているのは最初から気が付いていたのでそれ程気にしてはいない。


お礼を言ってショップを出ると、兵士が1階を占拠していた。ちょっと長居しすぎたか。ここで俺を捕まえる作戦になったのかもしない。

市民達を見ると、兵士が先導し避難させている。


「さて、それじゃ俺もその仲間に入れて貰いますか。一般市民に化けてね」


でもその前にもう1店舗、寄らないといけない所がある。でないと、ここに来た意味が無くなってしまうのでね。




ご覧いただきありがとうございます。

ストックがある間は、小まめにアップしたいと思います。

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