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第148話 帰還③


「敵艦の数は?」

「戦艦が7、巡洋艦クラスが12、駆逐艦クラスが18、その他多数。かなりの数だわ。識別コードをみると星系軍と不明な物も混じっている。恐らくドラギニス軍と混合の部隊ね。私たちの進行方向に展開。待ち構えているわ」

「やはりタダでは通してくれないか……」


ワープアウトしてすぐに敵艦に見つかった。

監視衛星があるので見つかるのは覚悟していたが対応が早い。

こちらの動きを予測していたみたいだ。

迎撃態勢を整えて待ち構えている。

こうなったら引き返すこともできず、戦うしか道がない。


「シューイチを呼んでくれ。戦闘になったと」

「俺なら来ているよ。戦わないと駄目かい?」


ブリッジに入ると慌ただしい。

俺は近くのサブシートに座ると、メインモニターに映っているレーダーを見て眉を顰めた。


「数が多いな……」

「ああ、惑星の手前で待ち構えている。避けて通ることは無理だ」

「予想通りということか……行けるか?」


サブモニターに映っている女性士官、ダンジョンコアに問いかけた。


『問題ありません』


この数で即答か。

相も変わらず無表情で可愛げがない。何を考えていることやら。

だが、任せるしかないので俺はグランバーの方を向いて力強く頷いた。


「わかった。第1戦闘配置だ。艦のコントロールはAIに任せる」


それを聞いて女性士官がニコッと微笑んだ。

任されて嬉しそうだ。


『お任せ下さい』


それを聞いて不安になるのは俺だけかな。

何をやるか想像がつくだけに、やり過ぎないことを願うばかりだ。


船が勝手に自動操縦に切り替わり、主砲の発射準備チャージがされた。そしてシールドが展開される。ジェネレーターの出力が100パーまで一気に上がった。


「エミリー、メインモニターに映像を切り替えてくれ」


グランバーが指示を出すと、切り替わった映像には、30隻以上の艦が上下2列に並んで映っていた。

星系軍の船にドラギニス軍の船が混じっている。

ドラギニス軍の船は統一感がなく形はバラバラだが、色だけは揃えてある。

黒一色。

不気味だった。

それらが陣形を整えて待ち構えている。

逃がさないぞ、と言わんばかりに横に広がっていった。


「後もう少しなのに……」


誰かだボソッと呟いた。

絶望的な展開に泣きそうなクルーがいる。

普通に考えれば、1隻でなんとかなるような数ではない。俺もここが宇宙でなければとっくに逃げ出している。戦おうなんて思わない。

そんな状況だ。


「距離8万。射程距離に入るまで後3分」


エミリーの報告を聞くと同時に主砲が光った。

こちらから攻撃を開始したのだ。


「え! ちょ、ちょっと早いわよ!」


この距離だと射程外。

慌てて止めようとしたが、全弾命中したのがモニターで確認できると口をあんぐりさせていた。


「う、嘘でしょ!? 射程外から当てているわ!」


狙っていたのは大型の戦艦のようで、船体に大きな穴が開き、一瞬だが火花が白く光って見えた。

恐らく向こうの船は慌てているはず。

この距離で当たるとは思っておらす、シールドも展開していないからだ。


「おいおい、どうなっているんだ、この船は……」


この結果にロズルトも驚いて見ていた。


「なんでこの距離から当たるの? しかもダメージまで出しているわ……」


距離が遠ければそれだけ威力が減衰され、当たってもダメージを与えることができない。

それが普通と変わらない威力を出しているのだから驚くのも無理がない。


「敵艦隊、シールドの展開を確認。主砲にエネルギー反応」


サポートでブリッジに入っているミディアが冷静に報告する。

慣れているのかそれとも肝っ玉が大きいのか知らないが、慌てているところを見たことがない。それだけに彼女を見ると落ち着いてくる。

こうして改めて見ると、かなり優秀な人材だとわかった。


「敵の攻撃が来ます」


四方八方からレーザー砲が飛んでくるが、あちらも射程外のはずなので威力もなく、それに殆どが当たらず通り過ぎていった。

慌てて撃ち返したという感じだ。


「報告を」

「艦内に異常はありません」

「数発当たったみたいだがダメージはない。シールドの損耗率8パーセント。大丈夫だ」


ローズの報告を聞いてみんなが「ホッ」と安堵の表情を浮かべた。

この数で撃たれたら誰でもヒヤヒヤする。

いつかは被弾するのではないかと。

こうしている間も攻撃を続け、敵艦にダメージを与え続けていた。


「何が起きているのだ。夢を見ているみたいだぜ……」


ジャックが次々と当たる攻撃を見て唖然としていた。

射程外からの一方的な攻撃。

敵の射程に入る前に、次々と沈めていった。


「この戦艦の武装でできるはずがないんだが……」


グランバーが小声で呟くのが聞こえたが、俺は聞こえない振りをした。



ご覧いただきありがとうございます。


時間がなくて毎日アップはできないと思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

毎日ぽつぽつと書いています。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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