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第137話 合同艦隊①


「思ったよりも敵の数が多い。他の星系軍から集めてきても足りないか」

「やはり、ここの星系軍が壊滅したのが痛いですね、バディス総司令官。今、残党部隊を集めていますが、どれだけの部隊が残っているか。現状の数では対抗できないでしょう」


副官のライディー中佐が手に持った資料を見ながら話した。

その資料には全部隊のことが書かれており、頭を悩ます元でもあった。


「応援に来た部隊は指示に従っているか?」

「それが第4艦隊がこちらの指示に従わず、後方にいるようです。戦う気がないように見受けられます」

「第4艦隊ということはビブルス星系軍か。皇帝陛下から勅命だけに、嫌とは言えなかったのだろう。自分達の戦力を消耗させたくないので戦わずして後方にいるつもりだ。最初から協力するつもりはなかっということだな」


各星系軍には色んな事情というのがある。特に予算が少ない地方の星系軍は、簡単に部隊を貸したりはしない。殆どが自腹になるからだ。

場合に寄っては領主殿から褒賞金などが出ることがあるが、それで元が取れるかというと取れるわけがない。せいぜい消耗品が賄えるぐらいだ。戦艦など大破させたら大赤字だ。

だから渋る軍も多く、今回も渋って協力的でない艦隊がいくつかあった。

そのうちのひとつが第4艦隊だ。


「仕方がない。後方支援に回せ。そのぐらいの仕事ならするだろう」

「了解しました」

「他の艦隊は?」

「第7艦隊が先陣を立てたく、1番前で待機しています。それで他の艦隊から苦情が」

「手柄を立てたいのか。確か一番多くの船を連れてきたな」

「はい。5部隊ほどの大艦隊になります。だからでかい顔しているのでしょう。他の艦隊もさすがに文句は言えないようで、それでこちらに」

「はぁ、頭が痛いな。これから戦おうという時に足並みを整えられないとは」


所詮は寄せ集めの艦隊だ。上手く行くはずが無い。


「ですが、勝手に戦闘しようとしないのは現状を理解しているからでしょう。1艦隊で突っ込まれましても勝てませんから」

「敵の数を知れば、そう簡単に攻めようとは思わないだろう。馬鹿でなければ」


向こうは2000隻以上もいるのだ。単独でどうにかできるようなものではない。


「こちらの数は?」

「戦艦から小型の戦闘艦まで入れて総数1258隻になります」

「全然足りないな。帝国軍から応援を貰うか?」

「そうなりますと、伯爵様から言って頂かないことにはこちらからでは……」

「ふむ……」


伯爵殿は嫌がるだろうな。

帝国軍が介入するまでに何とかしたいと言っていたからな。

だが、現状はそうも言っていられない。

この数で戦って負けたりしたら、それこそ目も当てられない。

確実に勝つには帝国軍の力は必要だ。頭を下げてでも借りるべきだろう。


「通信回線を開け。ベルカジーニ伯爵と連絡を取る」

「了解しました。亜空間通信の準備をします」


現状を報告し、数を揃えて貰わないことにどうにもならない。

こちらかは攻められない。


「ところでバディス総司令官。例の作戦はよろしいのでしょうか? そちらの方が優先だと思いますが」


突然、一通のメールが届いた。

それには皇帝陛下の電子署名がされており、最優先で今からおこなう作戦をサポートするようにとのことだった。

伯爵様に確認を取ったが、その指示に従うようにと無茶を言ってきた。

その作戦が、惑星への侵入作戦だ。

第2惑星へ、ある小型船を侵入させろということだった。


「わかっている。しかし、第2惑星に船を出すには今の戦場を勝たなければならない。でなければ先に進めないだろ?」

「迂回させても近寄れませんか?」

「監視衛星が向こうの手に落ちている。惑星に近寄ればすぐに気が付くはずだ。単独で向かわせるのは難しい」


いくら皇帝陛下の命令でも、今の状況で惑星に忍び込むのは無理だ。

それこそこの間の彼のような技術がないことには。


まさか納品業者に化けてくるとは。

そして警備システムを落とし、一直線に執務室に来ていた。

当然、システムを落とされても巡回している兵士はいる。その兵士の前を素通りしても気が付かれていなかった。

カメレオンスーツでも着ていれば透明化し誤魔化せるかと思ったが、そういった服は着ていない。映像を見るとレイ・ジョージ社の作業着だけだ。

まるで幽霊のように存在を感じさせないとは。

我々の知らない新技術ということか。


彼に頼めば惑星の侵入も可能ではないだろうか?


……フッ、いかんな。

そんな気がするのは俺が弱気になっている証拠だ。

犯罪者の手を借りようとは。


「監視衛星を破壊していくしかないですかね」

「そんなことをしても無駄だ。破壊された時点で信号が途絶えアラームが鳴る。それに破壊させる前にデータも送られるはずだ。破壊してもこちらの位置はわかるということだ」

「監視するには便利ですが、敵の手に渡るとこれほど厄介なシステムはないですね」

「そういうための物だからな。現状では近寄ることもできないということだ」


監視衛星の網の目を潜り抜けるのは無理だろう。

そうなると正面から戦い、こちらにドラギニス軍を引きつけておく必要がある。そうすれば、向こうの防衛も手薄になる。その間に惑星へ向かうしかない。


「帝都から来た小型船の位置は?」

「後方に下げて、こちらの指示を待つように伝えてあります」

「ふむ。ライディー中佐。再度各艦隊に連絡を。こちらから撃って出るようなことはしないようにと。睨み合いを続けるようにとな」

「はっ!」


ただでさえ奪還は難しいのに、そのうえ、潜入作戦まで手伝わされるとは。

いくら陛下の命令でもかなり難しい。それに惑星に被害を出さないようと注文まで付けてきた。

そしてその理由は我々には知らされていない。手伝うようにとだけ。


「あの惑星に何があるのだ……」


皇帝陛下から命令が出ているということは、余程重要な物があるということだ。

我々が知らない何かが……。

それを知ることは我々には許されていない。



ご覧いただきありがとうございます。


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