第134話 魔道具なの?②
「お前も魔石があれば魔力の補充も必要なくなるのではないのか?」
『それは無理です。私たちダンジョンコアは人間の魔力でないと補充できないのです』
人間の魔力と魔石の魔力では波長が違うようで補充できないそうだ。
波長とは何?
と言う話しになるが、色々と説明してくれたが、無機物から取れる魔力と有機物から放出される魔力では違う、という所までしかわからなかった。
だが、ダンジョンコアは人間の魔力でないと駄目らしい、というのはだけわかった。
まったく、面倒くせえ連中だ。
そういえば、今思い返せば魔力を流して魔道具を壊したことがあったな。
あれは最初の異世界でランプの魔道具を借りたときだった。
魔石の予備を買い忘れ、切れたときに俺の魔力を流したら『バシッ!』と変な音と共に動かなくなった。
流し過ぎたのが原因かと思っていたが、あれは波長が合わなかったのが原因だったとは。
間違った魔力を流してしまえば壊れるのも当然だな。
貸してくれた冒険者ギルドのおっさんにはすっとぼけて返した。使っていたら普通に壊れたと。
そういうことは最初に言ってくれたらそんなことはしなかったのに。いや、言っていたかな? 魔石以外は動かないと。自分の魔力で動くか試しにやってみたら壊れたんだっけ?
よく覚えていないが俺が原因なのは確かだ。
申し訳ないことをした。今度行ったら素直に謝っておこう。
まぁ、行けたらだけどね。
「駄目ということか。できれば俺が楽になるのにな」
人に見られる危険も減るし、できれば俺がこの船に乗る理由もなくなる。
そう簡単にはいかないか。
「しかし亜空間技術が魔道具とは。科学で作り出していると思っていたが」
『恐らくですが、このことは誰も知らないと思います。機密事項になっているかもしれません。扱いには注意が必要です』
「そういえばエミリーも言っていたな。古代遺跡の技術と資材を利用していると。それなら頷ける。それがまさか魔道具とか。しかし、そんな魔道具がどうしてあるのだ? ゲートが使える魔道具は他の異世界では国宝級だったぞ。それに作れる人も世界で1人とか2人だとか。そんな物がどうしてこの世界に?」
『わかりません。ですが亜空間通信には魔道具を使っているのは確かです』
ゲートの魔道具か。
確かに石のプレートに魔法陣やら魔石やらを埋め込んで作ったやつで、しかも対で使う物だ。いきたい場所に同じ物を置いておかないといけないので、使い勝手が悪かったはず。
魔法の場合は行きたい場所を想像するだけで行けるが、魔道具は決められた場所だけ。
亜空間ハイウェーが入口と出口があるのは対で必要だからということか。
しかし、そんな物がこの世界に?
誰かが作っているということだ。
「この世界にも魔道具技師がいるのか?」
『わかりません。いるかもしれませんし、いたのかもしれません。そういった情報はありませんでした』
でも、魔道具があるということは魔道具技師がいたということで、ゲートが使える旅人もいたということだ。
魔道具に魔法陣を組み込まないといけないはずだから。
魔道具は魔法陣を商品に書き込み魔力を流して使う物。
そして魔法陣は魔法の呪文を書き込み、更に、特殊な図形も書き込む必要がある。
その特殊な図形というのが魔力の流れを表すもので、実際に使っているところを見て魔力の流れを読み取らないといけない。だから使える者がいなければ作れない物なのだ。
その魔道具がこの世界にあるということは、俺以外にも魔法が使える奴がいるということだ。もしくはいたと。
どちらにしろ調べる必要はありそうだ。
「俺以外にも魔法が使える奴がいるか調べられるか? 魔道具技師の情報でも構わないが」
『わかりました。調べてみます』
何かわかれば教えてくれるということで、任せることにした。
俺じゃ調べられないものね。それに人にも頼めないし。
「亜空間ハイウェーを作った奴は魔道具と知っていて使ったのか?」
『知らなかったと思います。知っていれば魔法の研究がされていると思いますので』
「博士も魔法については何も言及してなかったな。魔法があること自体、知らないのかも。それに魔法より古代船だからね、あの人は」
『亜空間ハイウェーを作られた方も魔道具とは知らずに使ったのでしょう。恐らくですが、超古代文明の遺産、として』
「オーパーツか……」
魔法を科学で解明するのは難しいだろう。
魔力とか精霊とか言っても目に見える物ではないのだから。
「そうなると作っている人はいないということか?」
『生存されていれば魔法の研究がされ、認知されているでしょう。もしくはかなり厳重に管理されていて、一部の者にしか知らされていないとか。色々と考えられますが、ここ数十年、新しい亜空間ハイウェーが作られたという情報はありませんので、魔道具技師はいないのかも知れません』
「なるほどね。亜空間関連の施設が破壊されたら修理のしようがないと。だから最重要拠点になるわけだ。修復できる魔道具技師がいないから」
帝国軍が艦隊を派遣してでも守るわけだ。
破壊されたら二度と作れない。
「そうなると魔道具はどこから持ってきたのだろうな。遺跡の中にあったとか?」
『わかりません。魔道具と認識していないようなので情報がありません。出土品として検索していますがそういった情報もありません。魔道具に関しては秘匿されている可能性が高いです』
「でも、他の国でも亜空間ハイウェーは使っているよな。秘匿されたら作れないだろ?」
『その技術は公開されています。ただ、核となる魔道具の部分が秘匿されているのです』
亜空間ハイウェーや亜空間通信の製造方法は公開されている。
ただ、核となる魔道具の部分は公開されておらず、ブラックボックスとして公開されていた。
そのブラックボックスは各国で独自に製造しているそうだ。
「製造ね……何十年も新しいゲートウェイが作られていないんだから製造はされていないだろう。当然、研究はしているだろうが開発まではいっていないということだな」
『どこまで研究されているかはわかりません。製造されている会社にアクセスできれば調べることも可能ですが、ここからでは。同じ星系内に入らないとサーバーに入り込むのは難しいでしょう』
こいつ、サラッと恐ろしいことを言ったな。
サーバーに入り込むということはクラッキングできるということだ。
何でも有りだな、こいつは。
もう、考えないことにした。
「まぁ、そこまでしなくても。最初に言ったとおり、俺以外にも魔法が使える奴がいるか調べてくれたらいい。それと魔道具の情報もな」
『わかりました。遺跡の出土品にそういった物がないか探して見ます』
「頼むよ」
この後は、他にわかったことが無いか確認したがエミリーが持っている以上の情報は持っていなかった。
やはり向こうから情報が流れてこないので、コアでも状況がわからないらしい。
向こうに行けば、また違ってくるそうだが。
引き続き調べるように頼んでサーバールームを後にした。
魔力が空になったのでね、少しだるい。それにコアと話すと疲れる。
部屋に戻って休むことにした。
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