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第133話 魔道具なの?①


サーバールームに来るとコアが台座の上で待っていた。

実は帰ってきてから一度も顔を出していない。

出入りしている所を見られたくない、というのもあるが、俺の精神衛生上、よろしくないからだ。

なんというか、コアを見ていると『イラッ』とするんだよね。別に嘘や間違ったことを言っているわけでも無いのだが、一言で言えば、胡散臭い、という感じで信用できない。

俺にまだ何か隠している気がしてならないのだ。

多分だが、聞かれたことに対して答えるが、それ以外は黙っている。そんな感じがするのだ。


「調子はどうだ?」

『マスター、魔力の補充をお願いします。残り1割を切りましたので』


相変わらずピカピカしながら話す。


「会って最初にこれか。まぁ、いいけど」


コアの上に手を乗せて魔力を流す。

俺の殆どの魔力を持っていった感じだが腹一杯にはならない。

毎回、これだとこちらが疲れる。他に方法がないか考えないと。


『ありがとうございます、マスター。これでしばらく保ちそうです』

「それは良かった。ところで俺が居ない間に何かあったか? 帝国軍と接触したと聞いているが」

『はい。帝国軍の艦隊と接触しました。そこで面白い物を発見しました』

「面白い物?」

『亜空間通信艦と言われているものです。あれを解析しましたが、魔法のようなものが使われていることが判明しました』

「魔法? でもこの世界は魔法を使える者はいないと聞いたが」

『魔法ではなく魔道具の一種ではないかと思われます。魔法と同じような流れを感じましたから』


魔道具か。

それなら使える人がいなくても関係ないか。

あれは魔力がない人でも扱える物だからな。


「亜空間通信艦が魔道具だとすると、かなりでかい魔道具だな。どうやって作ったのだ? この世界に魔道具技師はいないだろ?」

『どうやって作ったかまではわかりませんが、魔道具自体はそれ程大きくはないはずです。魔力を増幅するために様々な機械が繋がっており、それで大きくなっているだけだと思います』


細かなところまではわからないそうだが、魔力を供給する機関とかもあり、それであの大きさになったのではないかということだ。それで大きな出力を出せるようして通信をしているとか。でなければ遠く離れた場所まで繋ぐことはできないという話しだ。


「なるほど。しかし何の魔道具だ? この世界に魔道具があるとは聞いたことがないが」

『推測ですが、転移門という魔法具ではないかと。他の場所と繋ぐために作られた魔道具だと思います』

「転移門? ……ゲートか! 確か転移魔法の上位版だったはず。それを魔道具に埋め込んだ?」

『恐らくはそうではないかと思います』

「亜空間通信はゲートを使った魔法ということか?」

『亜空間通信だけではなく、亜空間ハイウェーもそれを使ったものなのかもしれません』


ゲートの魔道具を使った移動ということか。

これは面白いことを聞いた。

ゲートの魔法が使えれば俺も移動できるということか。しかしゲートの魔法ね。俺、使えないんだよね。あれは特別な職業に就いた者だけが使える魔法で、元勇者で賢者であった俺でも覚えられなかった。というか、覚える時間がなかった、と言った方が正しいか。


ゲート魔法が使えるのは『旅人』いう職業が必要で、定住地を持たず、ずっと旅をしている人が貰える特殊な魔法だったはず。

取得するには旅を始めて10年以上はかかると言われており、1ヶ月以上は同じ場所に滞在してはいけないという特殊ルールがあった。家を持たず、旅を続けないといけないことから取得できる人がおらず、幻の魔法とまで言われていた。

そもそも魔物が蔓延っている世界で旅をするのは命懸けで、おばちゃんの老後の旅行とはわけが違う。移動は徒歩とか馬車になり、野宿は当たり前。時には道なき道を歩かなければならない。そんな世界で旅をする人など殆どいない。

そういう世界だからこそ、ゲート魔法は貴重で、商人が喉から手が出るほど欲しがる魔法だった。


ゲート魔法の最大の特徴は一度に大勢の人を移動させることができることだ。転移魔法は本人しか移動できないが、ゲート魔法はゲート(門)が開いている間は何人でも通れる。荷物も大量に送れるのだ。それに距離は関係なく消費される魔力は一定で、転移魔法と違い、魔力量に左右されることはない。転移魔法は魔力が少ないと遠くまで飛べないという欠点があった。

ゲート魔法は転移魔法の上位互換といったところになる。

とても便利な魔法で需要も高いが、その反面、危険も多く付き纏っている。

犯罪者に捕まれば強盗や逃亡の手助けすることになり、自分も追われる身になったりする。

だから持っていても内緒にする人が多かった。転移魔法も同じ理由でみんな隠して使用していた。

便利な魔法ほど悪用されやすい。

そのゲートが魔道具としてあったのは、ちょっとした驚きだった。


「ゲート魔法で移動していたのか……」

『魔道具の転移門では10秒ほどしかゲートを開いておけません。長時間、開いたままにするには魔力を流し続けるしかありません。何らかの方法で魔力を供給していると思います』

「俺以外にも魔力を供給できる者がいると?」

『いいえ。人では魔道具に魔力を供給することはできません。ですのでそれ以外のもの。例えば魔石とかで供給しているのかもしれません』

「ああ、魔石ね。あれには魔力が込められているんだっけ?」

『はい。魔物や魔素が濃い鉱山とかで採れます。魔道具の材料にも。もしかするとそういう鉱山があるのかもしれません』

「魔素が多い鉱山か……魔物がいるかもしれないな」

『どうでしょうか。魔物がいても直ぐに駆除されていそうですが』

「採掘の邪魔になるならそうだろうな。期待しない方がいいか」


人を襲う魔物がいれば真っ先に駆除されるだろう。

採掘の邪魔にしかならない。


ご覧いただきありがとうございます。


時間がなくて毎日アップはできないと思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

毎日ぽつぽつと書いています。

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