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第129話 今後の方針③


「話しが大きくなったな。すでに領内だけの問題ではなくなっている」

「皇帝陛下にも話しがいっているはずだから、もうここだけの話しでは済まされないだろう。そのうち何らかの指示が出るのではないか」

「一番上までいったか。結局、俺たちの努力は無駄だったということか。無理して会わなくても皇帝陛下が知ってしまえば同じこと。そっちから指示がでるということか」


なるほどね、それで帰って来いというメールだったんだ。

俺たちが領主と会おうが会わなかろうが関係がない。

もう、そういう次元ではないからだ。


「だが、まったく無駄と言うことはない。データカートリッジは渡せたのだし現状は理解したはずだ。だからここの星系軍にも動きがあったぞ。第2惑星にある駐留軍の基地に部隊が集まっている。恐らくニルブルク星系に向かう艦隊だろう。それだけでも行った意味はあると思うが」


ほう、部隊が集まっているのか。

それは俺が話したから集めたのか?

それにしては行動が早いような気がするが……。

いや、恐らくだが皇帝陛下から指示があったのだろう。

逆にこれだけ行動が早いということはそういうことだ。普通は軍隊を動かすとなると時間がかかるものだから。


「部隊が集まっているということは、奪い返すつもりなのか?」

「それはわからない。ただ、各星系軍から艦を集めているのは確かだ」


領地を奪われたのだから、そのままというわけにはいかないか。

奪われたら奪い返すしかない。

それが領主の勤めというものだ。


「帝国軍と星系軍の合同戦闘になりそうだな」

「それはどうだか。両軍ともあまり仲が良くないからな。勝手にやるかもしれないぞ」


帝国軍は貴族の子弟が多いのでエリート意識が強いとか。だから星系軍を見下す傾向があり、いつも問題を起こす。

それに星系軍は帝国軍に入れなかったような連中が集まるから、対抗意識が強すぎて命令を聞かないとか。

そういった連中なので共闘は難しい。

誰が指揮を取るかで揉めるので、作戦など立てられないと言う。


「それは厄介だな。揉めるぐらいなら別々に戦った方が良いのか? でもそれだと戦場がめちゃくちゃになりそうだが」

「敵味方が入り乱れて乱戦だな。ださなくてよい被害をだすかもしれない。褒められた事ではないな」


別々に戦うというのも数の有利を失うので有効な作戦とは言えない。

同じ国なのに困ったものだ。ひとつに纏めればこんな問題も起きないのに。


「それよりも今後なんだが、一度ニルブルク星系に行くのはどうだろうか? ここじゃ向こうの情報は入ってこないし何かあっても移動に時間がかかる。向こうで待機しているのも有りでないかな」


動くにしろ調べるにしろここでは何もできない。

亜空間通信が使えないので向こうの情報が手に入らない。同じ星系内に入れば、光通信が使えるので星系内のことだけならわかる。

ただ、通信設備が生きていればの話しだが、それまで壊されたらどこに居ても調べようがない。それこそ惑星に潜入しないことには。


「向こうで待機すると言ってもドラギニス軍がいるから無理じゃないのか?」


ロズルトが危険だと言うが、そんなことは重々承知の上だ。

ただ、全部の宙域が危険になるわけではないので、安全な宙域にいればよい。

そういう場所はあるはずだ。


「もちろんわかっている。だが、亜空間ハイウェーは落とされていないのだろ? それならその近くは安全ということだ。帝国軍が守ってくれる。向こうの入管ステーションはどうなっている? そこまで行けないのか?」


全員がグランバーを見る。

そこら辺の情報は持っているだろう。


「残念ながら今のところ向こうの入管ステーションの情報はない。落とされたとは聞いていないので大丈夫だと思うが、行ってみないことには何とも。ただ、例え無事でも入れるかはわからないぞ。戦闘宙域になるかもしれないので入港を禁止されるかもしれない。非難指示がでているかもな。それこそ行ってみないことには何とも」


入管ステーションは亜空間ハイウェーの近くにある。ドラギニス軍が攻めてくれば巻き込まれる可能性が高いという話しだ。

だから安全のため入港を拒否されるかもしないと。


「まぁ、ここで悩んでいても仕方がない。行って駄目なら引き返して来れば良い。行けるところまで行こう」


俺の意見にみんなが同意した。


「だが、その前に問題がある」


そう言ってグランバーが俺を見る。

何か嫌な予感がするが。


「この船を登録しなければならない。そうしないと宇宙ステーションに入港できない」


この艦は所属不明艦ということで、今は宇宙海賊と変わりがない状態だという。

なので正規のIDを所得し艦を登録しなければ入港もできず補給もままならないと。

そういうことはもっと早く言って欲しい。

どう考えてもそっちのほうを先に片づけないといけない案件だろ。

移動も何もできないのだから。


「それで誰の名前で登録するのか、という問題だが、普通であれば、この戦艦を建造した星系軍が所有者になるのだが、この艦は自分の物ではないと否定している。帝国軍に追われていたからな。だから所有者が白紙の状態なのだ。補給を受けるには誰かの名前で登録しないといけないのだが……」


なるほど。それで俺を見たのだな。

所有者にならないかと。


「それだったらミチェイエルに頼んだらどう? リーダーだし、何かあっても対応できると思うわよ」


エミリーが建設的な意見を言うが、その案はすでに駄目だとグランバーが言う。


「俺もそうしたいのだが本人と連絡がつかないと駄目らしい。今の状況ではそれは無理だ。その他にも工場で検査し、問題ないという船検書が必要なんだとか。それが揃って初めて審査が受けられる。だから直ぐに登録できるというわけではない」


船検書は製造した工場が発行するそうで、本来であれば買ったときに添付されるそうだが、この船は内緒で作られた物なのでそんなものは存在しない。だからどこかの工場で検査し、発行して貰わなければならない。車でいう車検証みたいな物だな。

行けば直ぐに登録できるという物ではないらしい。

それで困っていたそうだ。


「それじゃ補給ができないということ?」

「この艦ではな。だから必要な物は小型艦で買いに行って貰うしかない。面倒だが、それしかないということだ」

「それじゃ工場で検査をして貰えば? その方が早いのでしょ?」

「それは構わないが時間がかかるぞ。審査や検査で2週間はかかると言われたが、その間は何もできない。エミリーは、それでも良いのか?」

「そ、それはちょっと……」


そう言われあたふたしているが、今の状況で2週間も何もできないのは辛いだろう。

家族や友人が心配だろうし、せめて状況だけでも知りたいはずだ。

ジッとしてはいられないだろう。



ご覧いただきありがとうございます。


時間がなくて毎日アップはできないと思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

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