表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
129/204

第128話 今後の方針②


「……侵略されたというのか?」


グランバーは頷いた。


「我々も詳しいことはわからない。今は情報を集めている最中でな。ただ、最初からこういうシナリオだったのではないかと思う。我々が戦艦を盗むのも計算に入っていたのかも知れないな」


グランバーの話しによれば、我々は嵌められたのではないかと言うことだ。

確かにそう言われると思い当たる節はある。

戦艦強奪のさい警備が甘かったことや、惑星を出てからも追跡してこなかったことも星系軍は初めからこちらの作戦を知っていて、敢えて見逃していたのではないかと。

そして帝国軍をこちらに引きつけて、その隙にドラギニス軍が星系内に侵攻した。

全て作戦だったということだ。


「それじゃ俺たちは、奴らに手を貸したことになるのか?」

「結果から見ればそうなる。我々がここに来なければドラギニス軍が星系内に入って来ることはなかった。我々の追跡に艦隊を割いたことが原因だ」


なるほどね。

だから艦内があんなに暗いのか。

自分達の責任だと思っているのかもしれない。


「俺たちが余計なことをしたばっかりに、惑星が侵略されたというのか……」


ローズが小さな声で呟く。

他のメンバーはショックで言葉を失っていた。

確かにこの状態では領主に会っても意味がない。すでに惑星が侵略されていれば代官など関係なくなるんだから。


しかし、伯爵は侵略されたことを知らなかったのか?


首を捻って考える。

あの感じだと何も知らなかったように感じる。それは非常にまずい気がする。

あの時に伯爵は、


『罰を受けるとすれば星系が敵の手に落ち領内を守れなかった時だけだ』


とか言っていたから、思いっきしフラグになったわけだ。

皇帝陛下に怒られるわけだな。

降爵になるのかな? これも俺たちの責任になるのか?

でも、良く考えると俺たちの責任ではないだろ。だって、こうなるまで放置していた伯爵が悪いだけでもっと早く気付けば防げたはず。

それに、俺たちがここに来なくても結果は変わらないだろう。これが最初からの計画なら我々が来なくても他の者を寄越していたはず。たまたま利用されたに過ぎない。


「恐らくだが、戦艦が建造されていた時点で元々そういう作戦だったのだろう。俺たちが盗まなくても誰かが代わりに乗って星系軍とやりあっていたはずだ。結果は変わらないと思うぞ」


俺は思っていたことを口にした。

星系軍の目的はこの戦艦で注意を引きつけておくことで、誰が乗っていてもやることは変わらないと。


「向こうは俺たちの作戦を知って、その作戦に便乗しただけに過ぎない。俺たちが乗ってこなければ代わりの誰かを乗せて帝国軍とやりあっていた。どう転んでも結果は変わらない。俺たちが気に病むことはないよ」


気休めにすぎないが、少しだけも気持ちが楽なれば良いかと思って言ってみた。


「戦艦を建造していた時からこういう作戦だったということか?」


その効果があったかは不明だが、俺の言葉にロズルトが反応した。


「そもそもレジスタンスと戦うために戦艦を作るというのはおかしいだろ? だって、それだけの戦力はもうあるはずだし、作らなくても既存の戦力で足りるはずだ。わざわざ時間をかけてまで作ったのはそういう目的で使うつもりだったのだろう。自軍の船を使うと裏切っていることが直ぐにバレてしまうから回りくどいことをしたのだ」


星系軍の艦が帝国軍を攻撃したらそれだけで大問題だ。

すぐに領主に連絡が行き調査団が派遣されるだろう。それだけで計画は頓挫する。だから、所属不明艦を作り上げることが必要だったのだ。

所属不明艦にしてしまえば、軍との繋がりがないので怪しまれる心配はない。

帝国軍と揉めても調べられることはないということだ。


「そのためだけに戦艦を建造するとは……」

「小型戦闘艦を作っても相手にしてもらえないだろ? 1部隊を割けば良いだけの話しになる。帝国軍に脅威と思わせるには戦艦ではないと駄目だったということだ」


小型戦闘艦1隻に何部隊も割けない。

だから戦艦にしたということだ。

それに今回は古代船というイレギュラーもあった。

あれだけの攻撃を凌いだのだから、脅威と思われたのかしれない。

今回はそこを突かれたということだ。


「ふむ、何にせよ状況は最悪と言うことだ。それで我々で何ができるか考えなければならない。このまま指をくわえて見ているわけにもいかないだろう」


グランバーの言うとおり、確かにこのままというわけにはいかないか。

やられっぱなしというのもしゃくに障るし、何かひと泡吹かせないと気が済まない。

とは言っても何ができるのか……。


「でも、出来る事って限られるのではないか? 助けに行けるわけはないし……」


さすがはロズルト。無茶なこと言わない。

何も考えていない馬鹿は助けに行こうと言うが、戦艦1隻で何ができるのかと。


「今できることは情報収集だけだな。向こうの状況が分からないことには動きようがない」


俺が話すとみんなが頷いた。


「何かわかったことはないのか?」

「亜空間通信が使えないので向こうの状況がわからない。帝国軍の動きを調べたがニルブルク星系外に集結していることがわかった。亜空間ハイウェーを守る部隊だと思うが」


亜空間ハイウェーは最重要施設だから部隊を集めたのだろう。

戦に備えて準備をしているところか。


「惑星の奪還作戦はないのか?」

「そういった話しは聞こえてこない。それにやるとしても今の艦隊では数が足りない。他から集めてきてからになるだろうな」


攻めるとなるとそれなりの数が必要となるし、自拠点も守らなければならない。

亜空間ハイウェーを守る防衛部隊だけでは無理という話しだ。

それに敵の情報も必要だ。どれだけの数が来ているか知らないと艦も集められない。

直ぐに動くことはない、ということだ。


ご覧いただきありがとうございます。


毎日ぽつぽつと書いています。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ