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第126話 合流


長い廊下を歩いてく。

俺の前にはレーザー銃を持った兵士が歩いている。

さすがお城だけあって綺麗に掃除されている。

これだけの広さなのに埃ひとつないのはさすがだと思った。


途中で数人の兵士と擦れ違ったが、全員が怪しむ目で俺を見ている。

こんな所を歩いていればそうなるか。

普段は関係者以外は入れないところだからね。


「お前はどうやって入ってきた? 俺たちが扉の前で見張っていたはずだが」


兵士のラディックが前を向いたまま話しかけてくる。

あそこにどうやって入ったのか気になったのだろう。

伯爵を守るのが仕事なのにみすみす侵入を許したのだから、気にならない方がおかしいか。

素直に答えておくことにした。


「窓から入ってきたが」

「窓?」


執務室の窓でも思い浮かべているのか、しばらく考えていた。


「2階の窓にどうやって入った?」

「ジャンプして」


振り返り俺の恰好をジロジロと見る。

男にジロジロと見られるのは気分が良くない。

思わずムスッとしてしまった。


「パワースーツは着ていないようだが」

「パワースーツ?」

「パワーアーマーの軽量版だ。アーマーに比べて防御力は落ちるが、身体能力を上げることができる。それにコンパクトで服の下に着れるのだ。それを着て2階に上がったのでないのか?」


普通に考えれば一般人が2階までジャンプできるはずが無い。

何か補助的な物を使ったと思ったようだ。


「いや、普通にジャンプしただけだが」

「……」


ジロリと睨まれたが、嘘をついていると思われたのかな?

本当の事を言っても信じて貰えそうもないので、これ以上は話さないことにした。

お互い嫌な思いをするだけだからね。

時々ラディックが独り言のように話しているのが聞こえたが、無線か何かで連絡を取り合っているのだろう。

被っているヘルメットのせいでハッキリとは聞こえないが、あまり良いことを話しているようには見えなかった。

こちらをチラチラ見ながらではね。



城門まで来ると、そのままラディックは何も言わず踵を返した。

はっきり言ってお互いの第一印象は最悪と言ったところだな。

まぁ、二度と会うことは無いから良いんだけどね。

さて、この後の事なんだが、無事に出られたら空港で待ち合わせすることにしてあったので、そちらに向かうことにした。

ここからだったら地下鉄が繋がっているのでそんなに時間はかからない。


「ん? 探知魔法に反応があるな」


自分を中心に赤い反応が複数ある。敵意がなければ青色なので敵ということだ。

でもまぁ、誰だか想像は付くので驚くことでもない。


「付けてきたか……」


城を守っている衛兵か何かだろう。

侵入者をタダで帰すわけがないからね。その正体を突き止めるために後を付けてきたのだ。


「服装は……私服だな。アーマーを着て歩くわけないか」


目立たない恰好をして歩いている。

間隔も一定だし慣れている感じだ。

専門の機関でもあるのかもしれない。

今は気づいていない振りをして歩き続けた。


「さて、このままみんなと合流はできないな。どこかで一度まかないと」


俺の服装は目立つからね。レイ・ジョージ社の作業着で歩けば遠目でも見分けが付く。だからどこかで着替えないといけないのだが、替えの服は侵入するのに着替えたのでレイ・ジョージ社の物流倉庫の近くに隠してある。

取りに戻るか悩むところだ。


「どのみち巻かないといけないので戻るか。レイ・ジョージ社に」


地下鉄に乗り物流倉庫の近くに行く。

道路脇のゴミ箱に隠してある服を取ると、そのまま物流倉庫に侵入した。


「さすがに中までは付けて来れないだろう」


塀を跳び越えて物陰に隠れる。誰も見ていないことを確認し、反対側まで歩いて行った。そこで着替え、探知魔法を使い誰もいないことを確認してから外に出た。

服も回収でき、兵士を巻けたので悪くはなかった。そして最後にミラージュの魔法を解く。赤髪に赤い目を元に戻す。

これで遠目で見ても気がつくことはない。

地下鉄に戻り、空港へ向かった。




空港の出発ロビーで待っているロズルト達と合流した。

任務が成功したことで全員が笑顔で迎えてくれた。


「よくやったな!」


ローズが俺の肩をバンバン叩き、褒めてくれる。

ちょっと痛いですけど!

ロズルトは笑顔で握手してきた。


「よくやってくれた。これで俺たちも大手を振って帰れるよ」


大げさだな。

まぁ、喜んで貰えているのだから良いけど。


「さすがです、シューイチさん!」


ジャックとニクスも褒めてくれる。

悪い気分ではないね。逆に恥ずかしいぐらいだ。

でも、1人足りない気がするが……。


「ああ、シューイチさん! お疲れ様。上手くいったようね!」


背後からエミリーが声をかけてきた。

両手には大量の荷物を抱えて。


「エミリーもお疲れ。それで何を買ってきたのだ?」

「お土産とか船の中で食べる物。他にも出発前に届くと思うから受け取ってね」


ニコッと笑顔で話す。

この笑顔は作戦が成功した笑顔ではなく、買い物をして良い物を買った時に見せる笑顔だ。俺が1人で頑張っている間に買い物を楽しんでいたようだ。

他のメンバーを見ると全員が目を逸らした。

お前らも共犯か?

恐らくだが、ロズルトは止めたと思うが言うことを聞かなかったのだろう。待っている間は暇だからとか言って。

まぁ、済んだことだし怒らないけど、そういうのは俺が戻ってくるまでに終わらせるものだ。

仕事はできるが、ちょっと常識が抜けているところがあるんだよね、エミリーは。

今始まった事では無いけど。


「それじゃ戻るか。グランバーたちが待っているはずだ」

「良いのか? 結果を見なくって。領主がどうするか気にならないのか?」

「気にならないのか、と聞かれたら気になるが、だが、すぐに動くことはないだろう。軍を動かすとなると時間がかかるものだ。今日明日で結果が出るものでは無いよ」

「確かにそうだが……」

「それに、俺たちが何者なのか血眼になって探しているかもしれない。城から出るとき付けられたからね。面倒ごとになる前に惑星を出た方がいいだろう」


伯爵は見逃してくれたが他の連中は違う。

城に侵入することは重罪だから捕まえに来るかも知れない。

それにあの警備を潜り抜けたのだから、守っていた連中にしてみれば面白くない。プライドが傷つけられたわけだ。

そうやすやすと逃がさないだろう。


「ここにも兵士が来るかも知れない。捕まる前に出発しよう」


全員が頷いた。

ローズは出航手続きのために港湾管理局へ向い、残った俺たちは船に向かった。



読んで頂きありがとうございます。

投降が遅くなり申し訳ございません。


文章が長くなり話しが纏まらず時間がかかっています。

でき次第少しづつアップしましので気長にお待ちください。



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