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第119話 ベルンハルド・ベイロンとの対話②


衝撃の事実を聞いてクルー達は動揺しているが、俺は冷静に話しを続けた。


「どうしてそのようなことに。我々が居ない間に何があったのでしょうか?」

『それについては我々の落ち度もある。君たちの探索に部隊を割いたことが原因で手薄な宙域ができてしまった。そこから星系内に侵攻し惑星が落とされたというわけだ。そこは弁明のしようがない。ただ、どうしてそのようなことになったのか原因を突き止めなければならない。星系内には星系軍が巡回しているはずだ。異変があれば我々にも連絡が来るはずだがそれもこなかった。我々が知ったのは駐留している星系軍からの救援要請が入ってからだ。どうしてそこまで侵攻しているのに気が付かなかったのか。それまで星系軍は何をやっていたのか。そういったことを知りたくて、貴艦に連絡を取ったのだ」


その話を聞いてピンときた。

なぜ星系軍は星系外に出るまで攻撃をして来なかったのか?

それが不思議に思っていたのだが、今の話を聞いて囮にされたとわかった。

我々に注目を集めさせ、そちらに部隊を回させることによって、あえて監視の目が届かないようにさせたのだ。

最初からそれが目的だとすると、この侵攻は最初から計算されたもので、惑星が落ちたのも星系軍が一枚噛んでいるということだ。


「恐らくですが、これは全て作戦だったのではないでしょうか?」

『どういうことだね?』


俺が今までの経緯や思っていたことを話すと、ベルンハルド・ベイロンの表情が一変して険しくなった。


『星系軍から通信が入った時はおかしいとは思っていたのだ。戦艦1隻を逃がすとは、星系軍にしては御粗末だなと。それがあえて逃がしていたとなると、貴殿の言うとおり、このドラギニス軍の侵攻も予定通りだったということか。まさか星系軍に裏切り者がいるとはな。司令部と通信ができなかったと言うのも、向こうで通信を切っていたということか。調査船を派遣していたら撃沈されていたかもしれん。向かわせなくて正解だったな』


謎が解けたのは良かったが、それ以上にもっと厄介なことになった。

星系軍の一部が謀叛を起こしたことだ。

虚偽の報告をしていたのはわかっていたが、ドラギニス軍と繋がっていることまでは読めていなかった。

だが、代官が戦艦を建造し始めたことで軍の謀叛にも気が付かないといけなかった。

軍の協力なくして開発はできない。それに代官はドラギニス公国と繋がっているという黒い噂もあった。それを考えれば軍が知らないわけがない。

星系軍も代官と一緒になってドラギニス公国と繋がっていたということだ。


『今回の侵攻は、代官と星系軍の一部が一緒になってドラギニス軍と協力したことでなしえたこと。我々だけの問題ではなくなった。ここまで話が大きくなると皇帝陛下にも報告しなければなるまい。それを聞いてベルカジーニ伯爵がどう動くか……お叱りを受けるのは確実だな。何年も前からその兆候はあったはずなのに見逃してきたのだ。かなり重い罰になるだろう』


領主の手落ちと言えばそうなるだろう。代官に任せっきりで何もしていなかったのだから、叱責を受けるのは当然だ。

後はどうなるか……。

これで帝国軍も動いてくれることになるが、侵略された惑星を奪還してくれるかはわからない。

戦争は時間も金も掛かる。

奪還するだけの価値があの惑星にあれば直ぐにでも動くが、そうで無ければ監視だけ続けて放置する可能性もある。

そうなるとあそこで暮らしている市民がどうなるか。

今は少しでも被害が及ばないことを願うばかりだ。


「それで我々はどうすれば良いのでしょう? このまま待機していてもよろしいのですか?」

『ふむ、そうだな……特にこちらからは何も言うことはない。自由にすればよかろう』

「自由ですか?」

『その船は盗んだ物と言ったが、星系軍より盗難の連絡は受けていない。だから没収する理由がない。それに貴艦は戦闘においても我が帝国軍を攻撃していない。被害がない以上はとやかく言うこともないだろう。命令に従わず逃亡した罪はあるが、あの状況では仕方がない。だから好きにすれば良いと言ったのだ』


予想外の言葉でどうすれば良いのか分からなくなったが、自由にしても良いということならロズルト達を待つしかない。

彼らを置いてはどこにも行けないのだから。


「自由と言われましても指名手配はされていないのですか?」

『それについて即刻解除するようにしよう。これで追われることは無いはずだ』

「ありがとうございます、閣下」

『だが、その艦は所属不明艦なのは変わりない。入港を拒否されることもあるかもしれんぞ。正規に登録することを勧める』


宙船管理局に登録していないので正規のIDがない。なので所属不明艦となり、海賊と変わりが無いということだ。

だから入港を拒否されて補給ができない宇宙ステーションもでてくる。

それに星系内に入るには入管ステーションに寄らないといけないのでIDは必須だ。

無いと海賊船と間違われて攻撃されてしまう。

自由に動けるようにはなったが、結局、IDが無ければ行動範囲も限られてくる。

早急に考えないといけなくなった。



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