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第114話 帝国軍からのお誘い①


ロズルト達が出航してから2週間近くが経っている。

今は帝国軍に見つからないように星系から離れた小惑星の影に潜伏中だ。

そのせいで通信エリアから外れ、情報が何も入ってこない状態に。それが待っているクルー達を不安にさせていた。

連絡が付き、少しでも状況が分かれば安心するのであろうが……。


「上手く行くと良いですね、グランバーさん」

「そうだな……」


リュックが何も移っていないモニターを見ながら話しかけてきた。

今日、何度と聞く同じセリフ。会う奴みんなが同じことを言う。

不安なのは分かるが、毎日同じ事を聞かれてもこちらが困る。

安心させられる言葉などないのだから。


今は待機状態で、当番以外はブリッジからでている。俺も艦長室にいたが、やることがなく、ブリッジまで様子を見に来ていた。


「レーダーに反応は?」

「何もないですね。平和そのものです」


この宙域は帝国軍の巡回コースから外れているのか、レーダーに何一つ映ることはなかった。

だからなのか、ちょっと気が抜けているように感じとれた。


「博士は何をやっているのだ?」

「わしか? わしはこの艦のAIを調べておるのじゃ」


博士だけはマイペースだ。

どんな状況でも古代船のことを調べている。未だにジェネレーターの件が気になるようで、AIのプログラムを調べているようだ。


「何か異常はあったか?」

「何も。気になるようなコードはなかったのう。正常じゃ。変なコードが書かれていてそれで誤作動でもしているかと思ったのじゃが違ったようじゃ。また最初から調べんといかんのう」


博士が調べているのは、博士が取り付けたAIボックスなので、この古代船本来のAIを調べているわけではない。

そもそも博士には古代船のAIのことは話していないので知らないのだ。

だから見当違いのことをしているのだが、それを教えることはできない。

変なことをされてAIの機嫌を損ねると面倒なことになる。

それだけ自律型AIは扱いが難しいのだ。


「食料は後どれぐらい持つ?」

「試算した結果だと1ヶ月といったところですね」


ダミアンが答えてくれる。

彼らが戻ってくるまでの日数を考えると、どこかで補給を受けないと厳しいかもしれない。


「ここから一番近い宇宙ステーションはどこになる? 入管ステーションを除いてだが」

「除くとなるとバルニコフ領の近くにある交易ステーションですね。あそこは中立のステーションなので、この戦艦でも入港できるかもしれません。その代わり停泊料もそれなりに取られますが」

「中立ということは帝国軍に捕まることはないか……」


中立のステーションはどこの国にも属していないので、国の指示に従うことはない。

なので入港している間は安全ということだ。ただし、ステーションから出れば追われるので、逃げ出すタイミングが重要となる。

それに待ち伏せもあるので、安心できるというわけでない。


「最悪はそこに行って補給するしかないか。そこまでの所要時間は?」

「ワープを使って10日ほどです。何もなければですが」


何もなければとは戦闘のことか。

戦艦なので海賊が襲ってくるようなことはないが、帝国軍に見つかるどうなるかわからない。そうなったときは予定通りにはいかないだろう。

余裕を持って向かった方が良さそうだ。


「それでは2週間ほど待って連絡がないようなら補給に向かう。もしかすると行き違うかもしれないが、その時はメールでも流しておこう。時間が掛かるが、何もしないよりは良いだろう」


同じ星系内ならメールが使える。すぐに届くというわけではないが、一応は連絡がつくので行き違うこともないだろう。

ただ、メールを送るとなると通信エリア内に入る必要が出てくるので、帝国軍に見つかる可能性がでてくる。なので長時間の滞在はできない。すぐに移動しないといけなくなる。


「リュック。ここからミグラクス星系の通信エリアに入るにはどのぐらいの距離がある?」

「ワープを使って1日ほどの距離ですね。そう遠くはないです」

「ふむ、一度エリアに入って状況を調べるのも悪くはないか。ロズルト達から連絡があるかもしれないし、こちらからも連絡したい。……移動するか?」

「ですが、帝国軍に見つかるかもしれませんが大丈夫ですか? 通信エリアに入るということは監視衛星があるかもしれませんよ」

「監視衛星か……短時間ならすぐに逃げれば問題ないが、一度引っ掛かると哨戒艦が集まってくるかもしれない。そうなるとここも安全とは言えなくなるな。やはり危険か……」


哨戒艦が集まるとこの場所も見つかる可能性が高くなる。そうなるとここに留まることができなくなる。この宙域はロズルト達の集合場所にも指定してあるので、無闇に移動することはできない。

やはり交易ステーションに向かう前に行った方が良いかもしれない。


「もう少し待つか……」

「グランバーさん、レーダーに反応が」


やれやれ、楽をさせてはくれないようだ。



ご覧いただきありがとうございます。


時間がなくて毎日アップはできないと思いますが、気長に付き合って下さると嬉しいです。

毎日ぽつぽつと書いています。

ついでに評価もしてくれると嬉しいです。

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