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第111話 作戦会議②


「領主って大変なんだな。それって部下を信用していない、ていうことなんだろ?」

「信用しているしていないの問題ではなく、何かあってからでは遅いからだ。とても重要なことなんだよ。他の領主もみんな星系ごとに軍を分けている。ここの領主が珍しいわけではない」


星系軍の分散化はどこの領主もやっていることで、決して1人に預けるようなことはしない。とても危険だからと。


「だが、今回は軍も領主代行の味方をしている」


ロズルトは頷いた


「グランバーの話しでは、ニルブルク星系軍のトップが代官に力を貸している。だから上手くいっているのだろう。いくら亜空間通信ができなくても連絡はつくからな」


亜空間通信が使えなければ人を派遣すればよいだけの話し。

そこで現状を報告すれば代官は更迭される。

そうならないのは軍も協力して、虚偽の報告をしているからだと。


「今回は軍がやっていることも報告しないといけないのだな」

「協力しているのであれば同罪だな。報告は当然する」

「同じ軍人同士で闘うことになるのか……」

「謀叛を起こせばそういうことになるな。だが、全員がトップの指示に従うことはないので全面戦争ということにはならないだろう。中にはその指示に従わない連中もいるだろうし」


今は命令だから闘っているが、国を裏切っていると知ったらどうなるか。

全員が謀叛と知っていて闘っているわけではない。


「兵士の中には何も知らず闘っている者もいるということだな」

「指示に従っているだけ、という兵士もいるだろう。本当の事を知っている兵士のほうが少ないのでは。詳しい事はわからないが、領主殿の指示と思って闘っている兵士もいるということだ。増税も何もかも含めて全部な」


上からの指示だと言えば兵士は従うしかない。

例え不可解な指示であっても疑うことは許されない。それが軍人というものだと言う。

それについては仕方がないとしか言えない。

それで例え死んだとしても、それが彼らの仕事なんだから。


「話は逸れたが、話しを纏めると領主は知らない、ということでいいんだな?」

「恐らくは」


ふむ、そういうことなら忍び込むだけのメリットはあるということか。


「次は俺たちですね」


ニクスが手を上げ話を続ける。

思いのほか話しが長くなりそうなのでビールのお代わりを持ってきた。

エミリーはというと、帰ってきてからずっと飲んでいるので無視。空のコップが彼女の前にいくつも並んでいた。


何を飲んだらそんなに並ぶのだ?


それでも顔色1つ変わっていないのだから恐ろしい。

この部屋を選んだのも酒が飲み放題だからだな、きっと。……いや、食事もか。

高そうな料理を注文していたな。まあ、部屋代に含まれているからいいけど。


「俺たちで領主殿と面会ができるか調べましたが、市民が直接会う方法は無かったです。なにか特別なことでもして叙勲でも受けない限りは」

「叙勲って手柄を立てろということか?」

「そういうことです。なにか大きな事でもして領主殿の耳にでも入ればあるいは」

「現状は無理と言うことか……」


手柄なんてそう簡単に立てられるものではない。

それに、何をすれば、という話になる。それこそ戦争で手柄でも立てないことには会えないだろう。

今の俺たちには難しい話だった。


「城内の見取図ですが、調べましたがありました。ただ、これは一般に公開されている部分なので、領主殿の移住区に関するところまでは載っていません。あくまでも、市民が入れるところまで、ということになります」

「それには領主殿の執務室とか載っているのか?」


ロズルトが尋ねると、それなら見取図を見て話した方が早いと言うことで、テーブルの上に広げた。


「正面から入ってすぐの玄関ホールまでは一般市民に解放されています。決まった日だけは入れるみたいです。そこから周りの部屋までは見て回れます。それ以外は立入禁止区域になっています」


見取図を見ると大広間と書いてある。更に奥も広間があり舞踏室となっていた。

よく見ると領主が居そうな部屋はない。観光用に作られた部屋という感じだ。展示室とかあるぐらいだから。


「領主の部屋がないが……」

「領主殿がいる建物はここではないんです。地図を見ると第1城区と書かれているでしょ? 調べると城は第3城区まであって、領主殿が住んでいるのが第3城区で、執務とか業務で使っている部屋があるのは第2城区なんです。地図が公開されているのは第1城区までとなります」


第1城区は叙勲や陞爵など、催し物をするさいに使う城区で、そこまでは一般市民も入れるそうだ。


「すると、肝心な第2と第3城区がないということか」

「それを今調べています。もしかすると警備をしている兵士なら持っている可能性がありますが、外に持ち出すようなことはしないでしょうから、他の方法を考えています」


警備上、内部の情報が外に漏れたら大変なことになる。

持ち歩く兵士はいないという話だ。

だが、人である以上弱味はあるものだ。そこを付けばなんとかなるかもしれない。


「兵士を金で買収できないか? 警備状況もわかるといいんだが」

「金で買収ですか……ちょっと考えてみます。借金がありそうな兵士ならあるいは話に乗るかもしれないですね」


兵士がよく行く酒場とかに行って聞き込みをするらしい。

金に困っている奴ぐらいなら直ぐに見つかるだろう。


「軍に捕まらないようにしてくれよ。もし危険だと思ったら接触をしないことだ。いいな?」


ロズルトは無理するなと言った。

ここで捕まっても助けてやることはできないと。


「わかっています。危険そうだったら他を当たることにします。誰か持っていそうな人を捜しますよ」


笑顔で話しているところを見ると、そこら辺は重々承知しているようだ。

なら、俺からは何も言う必要はない。彼らに任せることにした。



ご覧いただきありがとうございます。


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